カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

V-Strom1000で行く日本[19]

投稿日:2015年11月20日

南郷人のやさしさ

2015年9月14日(福島一周)

 翌朝は片貝温泉「ホテル南郷」の朝湯に入り、朝食を食べて出発。V−ストローム1000を走らせての「南郷探訪」の開始だ。

 まずは国道289号の旧道で駒止峠へ。狭路の峠道を登っていくと、絶景ポイントからは東北第3の高峰、会津駒ヶ岳(2132m)が見える。ヘアピンカーブの連続する峠道を登りきると、駒止峠(1135m)に到達。この峠が南会津町の旧田島町と旧南郷村の境になっている。峠にまつられている石仏に手を合わせ、旧田島町に入り、渓流に沿って峠下の集落の針生へと下っていく。

 ここは我がなつかしの地。今からもう40年以上も前のことになるが、針生の小学生たちに、日本人ライダー初となるバイク(スズキ・ハスラーTS250)での「サハラ砂漠縦断」(1971年〜72年)の話をしたことがある。小学生たちは目を輝かせて聞いてくれた。そんな針生から国道289号の新道で駒止峠のトンネルを抜け、南郷に戻った。南郷では食堂「秋華」で「坦々麺」を食べ、「奥会津博物館」を見学。そのあと南郷スキー場の上まで登り、伊南川の谷間を見下ろした。

 次に国道401号で新鳥居峠に向かっていく。峠の手前で国道を左折し、高清水自然公園へ。ふんだんに湧き出る名水の「高清水」を飲み、新鳥居峠を越えて昭和村に入った。狭路の国道401号を走り、国道400号に出ると、道の駅「からむし織の里しょうわ」に寄っていく。ここでは古代織の「からむし織」を体験できる。もう1ヵ所、映画のロケ地にもなった喰丸小学校跡にも立ち寄り、国道401号を走って喰丸峠(トンネル)を越え、昭和村と会津美里町の境の博士峠まで行った。ここは博士山(1482m)の登山口。博士峠越えのルートは難路だが、距離だけでみると奥会津から会津若松への最短路になっている。博士峠で折り返し、国道400号に戻ると、今度は舟鼻峠を越えて田島へ。田島からは再度、国道289号で駒止峠を越えて南郷に戻るのだった。

 南会津の南郷はぼくの大好きなところ。いままでに何度も行ってるが、昨年(2014年)の3月にスズキの250ccバイク、グラストラッカーで行った時のことは忘れられない。田島までは晴れていたが、駒止峠に向かうと天気は崩れ、吹雪になった。あっというまに国道289号は雪道に変わった。必死の思いで雪の峠道を登り、峠のトンネルに入ってホッとした瞬間、ツルンツルンのアイスバーンでステーンと転倒。なにしろ滑るのでバイクを起こすこともできない。そんな時に通りがかった車が止まり、一緒になって起こしてくれた。トンネルを抜けて南郷側を下っていくと、スノーシェルター内のアイスバーンで2度目の転倒。するとさきほどの車が戻ってきてくれたのだ。その人は「(この雪では)バイクでは無理だ」といって、バイクを路肩に止めると、車で民宿「田吾作」まで送ってくれた。「南郷人」のやさしさにふれて感動するカソリ。翌朝、民宿「田吾作」のご主人にバイクを止めた地点まで送ってもらったのだ。

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▲「ホテル南郷」の朝食

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▲国道289号の旧道で駒止峠を登っていく

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▲駒止峠の石仏

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▲食堂「秋華」の「坦々麺」

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▲「奥会津博物館」の南郷館

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▲「奥会津博物館」の展示

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▲「奥会津博物館」の移築民家

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▲南郷スキー場からの眺め

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▲名水の「高清水」

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▲国道401号の新鳥居峠

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▲道の駅「からむし織の里しょうわ」

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▲道の駅「からむし織の里しょうわ」の「からむし織体験館」

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▲映画のロケ地にもなった喰丸小学校跡

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▲2014年3月21日の駒止峠越え

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