カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第142回 男鹿半島

投稿日:2011年10月30日

2010年 林道日本一周・東北編

日本の油田に寄り道

 白神山地が日本海に落ち込む須郷岬から秋田県に入る。すぐに道の駅「はちもり」。ここでは名水「お殿水」を飲む。冷っとしたうまい水。国道101号沿いには八森いさりび温泉「ハタハタ館」があるが、その手前で海沿いの道に下り、八森温泉「湯っこランド」(入浴料300円)の湯に入る。入浴客は自分一人。大浴場の湯につかりながら目の前の日本海を眺めた。
 八森温泉「湯っこランド」からは海沿いの道を走り、八森の椿漁港を見、国道101号に出た。
 ビッグボーイを走らせ、国道101号を南下。国道沿いの鹿の浦展望台では南へと延びる日本海の海岸線を一望した。
 秋田の大河、米代川を渡り、能代の町に入っていく。
 ここからさらに国道101号を行く。国道7号との重複区間を過ぎると日本海の砂丘近くの狭路になる。ちょっと寄り道して福米沢油田を見る。日本にも油田はあるのだ。秋田県は日本一の原油産出県。近くの申川油田が日本最大の油田になっている。

「なまはげ」「しょっつる」と古い文化が半島に残る

 男鹿半島に入っていく。
 国道101号から男鹿半島一周路で入道崎へ。
 天下の奇祭「なまはげ」で知られる男鹿半島は東西28キロ、南北20キロ、その最北端が入道崎である。
 男鹿半島は「男鹿島」ともいわれる通り、大昔は島だった。それが秋田県の二大河川、米代川と雄物川の運ぶ土砂によってつくられた砂丘で陸続きになった。北の米代川がつくり出したのが能代砂丘、南の雄物川のが天王砂丘である。
 入道崎は秋田県内でも屈指の観光地。大駐車場は観光バスや乗用車で満車状態。凝灰岩や集塊岩から成る海岸段丘が海に落ちる崖っぷちでは子供たちがたこ揚げをし、若いカップルたちが肩を寄せ合って海を見ていた。
 岬の先端に立つ高さ24メートルの白黒2色の灯台に息を切らせて登ると、岬周辺の海岸線を一望。眼下には水島を見下ろす。

 入道崎のすぐ近くに畠漁港がある。急坂を下って漁港に降りてみた。この辺は冬のハタハタ漁で知られている。
 港の漁師さんに秋田名物の「しょっつる」について話を聞いた。
「昔はどの家でも自家製のしょっつるをつくっていた。しょっつるを買うなんて考えられなかったよ。それが今ではどの家も醤油を買っている」
「しょっつるはハタハタだけでなく、コウナゴからもつくっていたな。ハタハタやコウナゴを半年から1年、桶に漬け込んで塩辛にして、袋に入れて搾った汁がしょっつるだ」
 男鹿半島の「しょっつる」は、能登半島の「いしる」と並んで、日本に最後まで残った魚醤油。半島というのは、古い文化の残るところなのだ。

日本海を真っ赤に染める

 入道崎からは男鹿半島東海岸の海岸美を見ながら走り、最後に寒風山に行く。山上から男鹿半島を一望。真山、本山、毛無山の男鹿三山がよく見える。目を反対側に向けるとスーッと弧を描いて弓なりの海岸線が秋田方向に延びている。
 寒風山を下ると国道101号から海沿いの県道55号で秋田へ。その途中では日本海を真っ赤に染めて男鹿半島に落ちていく夕日を見た。すばらしい夕日だ。
 秋田駅前に到着。急ピッチで整備が進む東口の「東横イン」に泊まった。夕食は同じビル内にある「のんべぇくうべぇ」で。まずは生ビールをキューッと飲み干す。真夏の炎天下、一日走ったあとだけに腹わたにしみこむような生のうまさ。ひといきついたところで、秋田の地酒をヒヤで飲みながら「刺身定食」を食べた。

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今回のエリア:昭文社ツーリングマップル東北 82→77→71→70→71→65

須郷岬→八森→能代→入道崎→寒風山→秋田市街

国道101号の道の駅「はちもり」の「お殿水」
八森温泉「湯っこランド」


八森温泉「湯っこランド」の湯
八森温泉「湯っこランド」前の日本海


八森の椿漁港
福米沢油田


男鹿半島最北端の入道崎
寒風山へ


寒風山を間近に眺める
寒風山の妻恋峠


寒風山の山頂近くからの大展望
登ってきた道を見下ろす


男鹿半島に落ちる夕日
秋田駅前に到着


秋田駅東口の「東横イン」に泊まる
夕食の「刺身定食」


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