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生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本一周 east[43]

投稿日:2013年9月1日

三途の川を渡って

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2008年11月27日

 川内で陸奥湾岸の国道338号に出ると、むつ市の大湊、田名部とは反対方向の脇野沢まで行く。さらに道の行き止まり地点の九艘泊に向かってアドレスを走らせると、波静かな陸奥湾に浮かぶ鯛島が見えてくる。見れば見るほど鯛にそっくりな形をしている。この島には坂上田村麻呂と村の娘の悲恋伝説が伝わっている。
 蝦夷征伐でこの地にやってきた坂上田村麻呂は、村の娘と恋仲になり子を孕ませた。しかし田村麻呂は役目を果たすと都へ戻ってしまい、悲嘆に暮れた娘は子供を生んだ後、自ら命を絶っった。哀れんだ村人たちは少しでも田村麻呂に近づけるようにと、この鯛の形をした島に娘を葬った。
 ところが鯛島の周囲では遭難がつづくようになり、娘の祟りだと恐れられるようになった。後の南北朝時代、都落ちした藤原藤房がその話を聞き、鎮魂のために鯛島に弁天の社を建てたという。
 九艘泊漁港の岸壁にアドレスを止めると、歩いて北海岬へ。遊歩道を歩き、切り立った断崖が海に落ちる岬の風景を眺めた。ここが下北半島の南西端になる。
 来た道を引き返し、川内からむつ市内まで行くと、県道4号で恐山へ。
 県道4号沿いの名水、「恐山冷水」を飲み、恐山の外輪山の峠を越える。神秘的な宇曽利山湖を見、三途の川を渡って恐山に到着。
 862年に慈覚大師によって開山したといわれる恐山は、「日本三大霊場」のひとつとして知られている。「日本三大地獄」のひとつにもなっている。
 広い駐車場にアドレスを止め、入口で入山料の500円を払い、菩提寺を参拝し、地獄を歩いた。地獄の風景の中には無数の風車が回っている。そのあと境内にある混浴の温泉「花染の湯」に入った。入山料を払えば、だれでもがこの硫黄泉の名湯に無料で入れる。ヒバの湯屋、ヒバの洗い場、ヒバの湯船と下北半島らしい温泉だ。
 名残り惜しい恐山を後にし、むつ市内に戻ると、国道279号で野辺地へ。
 野辺地からは国道4号で青森に向かっていく。すると冷たい雨が降り出した。
 国道4号沿いの台湾料理店で「台湾ラーメン&チャーハン」(780円)食べ、22時15分、青森駅前に到着。駅前の「東横イン」に泊まった。

第8日目:斗南温泉→青森
2008年11月27日
走行距離:355キロ(合計2310キロ)
費用:
ガソリン 635円
下風呂温泉 300円
大間温泉 370円
昼食 1,500円
ガソリン 665円
恐山 500円
夕食 780円
宿泊 5,250円
合計 10,000円
総計 77,947円


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陸奥湾の海岸に出る
陸奥湾岸を九艘泊へ


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九艘泊漁港
北海岬


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恐山の名水「恐山冷水」
恐山の菩提寺


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恐山の地獄を歩く
恐山の宇曽利山湖


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恐山の「花染の湯」
恐山の三途の川


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夕食の「台湾ラーメン&チャーハン」
雨の青森駅前に到着


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