アドレス日本巡礼[188]
投稿日:2014年11月21日
おいでやす
醒井宿を出発。国道21号から左に入っていく番場宿は「番場の忠太郎」で知られているが、蓮華寺には番場宿で生まれた忠太郎の像が建っている。といっても「番場の忠太郎」は実在の人物ではなく、フィクションの世界の主人公。番場宿からは摺針峠を越えて国道8号に出、鳥居本宿へ。宿場の入口には「おいでやす」と刻まれた中山道のモニュメントが立っている。「おいでやす」の一言で、ゴールの京都・三条大橋が近いことを実感するのだった。
鳥居本宿に入っていくと、有川家の建物が目を引く。ここは旅の携帯胃薬「赤玉神教丸」の販売元。かつて鳥居本宿には何軒もの「神教丸」を売る店があったが、今では有川家のみ。旧街道の情緒が凝縮されたような鳥居本宿の名は、多賀大社の鳥居があったことに由来するという。
鳥居本宿は北陸への玄関口だ。ここで中山道と北国街道が分岐する。北国街道は米原宿、長浜宿を通って木之本宿で北国脇往還と合流し、中央分水嶺の峠を越えて疋田宿から日本海の敦賀宿へ、敦賀からは福井、金沢、富山と通って新潟まで通じている。鳥居本宿の古い町並みをアドレスで走りながら、新潟までの北国街道を無性に走ってみたくなるのだった。
ところで現代版中山道の国道21号は米原で北陸に通じる国道8号と分岐している。高速道路の名神と北陸道が分岐するのも米原JCT。鉄道も米原駅で東海道本線と北陸本線が分岐している。米原は今の時代の中山道と北国街道の追分だ。それだけに興味を引かれる。中山道の帰路では米原をしっかりと見てみよう。