カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[283日目]

投稿日:2020年4月10日

「ジュットラー」への道

北海道編 59日目(2007年10月18日)

 松之山温泉「凌雲閣」の朝湯に入る。大浴場と露天風呂。ほぼ無色透明の湯で塩分を含んでいる。湯から上がると、ご飯、味噌汁、温泉卵、煮物、サラダ、菊、昆布、ナス、漬物、グレープフルーツの朝食を食べ、9時30分に出発する。

 まずは辰の口温泉「渓泉荘」に行ったが、休業中。次の鹿渡温泉「しかわたり館」も入れなかった。

 第1湯目はまつだい芝峠温泉の「雲海」。高台上の大規模な温泉施設で、大浴場と露天風呂に入る。内風呂は無色透明の湯。露天風呂は黄緑色の湯。露天風呂からは山間の風景を一望する。

 湯から上がり、広い駐車場に戻ると、DRのハンドルにはビニール袋がぶらさがっていた。中には「リポビタンDスーパー」と「天津甘栗」、「うずらたまご」が入っていた。あたりをみまわすと、秋田県の「にしめの湯っ娘」で出会った「長谷川さん」が駆け寄ってきてくれた。長谷川さんは「私もジュットラーの仲間入りをしたいのです」という。

 ということで、今日は一日、長谷川さんと温泉めぐりをする。

 次に天王山温泉の一軒宿「天王山温泉」に行ったが、まだ湯を沸していないということで入れなかった。

 第2湯目はじょんのび温泉「楽寿の湯」。大浴場と露天風呂はともに黒湯。その後の月湯女温泉は「本日休業」。松葉沢温泉は天然温泉ではないとのことでパスした。

 第3湯目は千手温泉「千年の湯」。川西の町中にある日帰り湯。大浴場と露天風呂は黒湯。

 第4湯目は下条温泉「みよしの湯」。ここは内風呂のみで、半透明の茶色っぽい湯。湯量は豊富で湧出量は毎分2000リットル。浴室からは信濃川流域の田園風景が見える。湯から上がると遅い昼食。「クリームコロッケ定食」を食べた。時間はかかったが、揚げたての熱々コロッケは美味だった。

 下条温泉を出発したのは15時30分。長谷川さんの10湯達成はきわめて厳しい状況。だが、諦めない。

 これから秋山郷に突入していくのだが、新潟側、長野側、両県にまたがる秋山郷の温泉、すべてに入れれば10湯を達成できる計算だ。

 津南で国道405号に入り、秋山郷へ。

 第5湯目は逆巻温泉の一軒宿「川津屋」の湯。到着は16時30分。ここでは混浴の「洞窟風呂」なら入れといわれた。長谷川さんはまったく躊躇しないで入った。10湯に賭ける熱い想いを感じた瞬間だ。無色透明の湯。飲泉可。クセのない、飲みやすい湯だ。

 第6湯目は結東温泉「萌木の里」の「栃の実館」。ここの豪雪ポールがすごい。平成18年の豪雪の記録で、高さは5メートル60センチ。露天風呂もあるが、すこし離れているので内風呂に入った。無色透明のやわらかな湯。浴室からは秋山郷の谷間を一望。狭路の国道405号を見下ろした。ここまでが新潟側になる。

 県境を越え、長野側に入っていく。

 快晴の夕空を背に、鳥甲山を中心にした2000メートル級の山並みは目に残る風景。

 第7湯目は小赤沢温泉の日帰り湯「楽養館」。ここは大浴場の内風呂のみ。強烈な赤湯。寝湯もある。打たせ湯もある。

 第8湯目は屋敷温泉「秀清館」の湯。内風呂に入る。きれいな緑色の湯。泉質は硫酸塩泉。源泉かけ流し。飲泉可で苦味ばしった味がする。

 第9湯目は上野原温泉「のよさの里」の湯。すでに日帰り入浴の時間を過ぎていたが、受付の人は「いいですよ」といって入らせてくれた。「やった!」。これで長谷川さんの「ジュットラー」への道は大きく開けた。
 第10湯目は和山温泉「仁成館」の湯。長谷川さんにとっては第9湯目。ここでは混浴の露天風呂に入った。湯につかりながら満天の星空を見上げる。天の川も見える。それにしてもスゴイ星空だ。湯から上がると、宿の主人は赤々と燃える薪ストーブの前でお茶を入れてくれた。茹でた山栗や梨ももってきてくれた。
「夕食、まだなんだろう。ウチで食べていきなさい」

 とまでいってくれたが、その時間がないのが残念…。

 第11湯目、秋山郷最奥の切明温泉に到着したのは20時20分。ここには「雄川閣」をはじめとして3軒の温泉宿があるが、この時間なのでどこも入らせてはくれない。そこで河原の露天風呂に入りに行く。懐中電灯の細々とした明かりを頼りに山道を歩き、河原に出た。湯気が立ち上っている。さっそく河原の湯につかる。といってもしゃがんでも腰ぐらいまでの深さしかない。

「やったねー、長谷川さん!」
「やりましたねえ、カソリさん!」
 と、我々は大感動。

 長谷川さんはついに10湯を達成したのだ。

 切明温泉を出発したのは21時過ぎ。

 狭路、難路の国道405号を飛ばし、津南へ。

 長谷川さんは車の運転が上手だ。ほとんど間隔を置かずにDRについてきてくれる。そして22時、津南に到着した。

 国道117号との交差点の手前でDRを停めると、長谷川さんは氷のように冷たくなったぼくの手を一生懸命になってさすってくれた。

 長谷川さんと別れたあとは22時過ぎの「宿探し」。

 何ともラッキーなことに、一発目の電話で宿がとれた。朝、行ったときには入れなかった鹿渡温泉「しかわたり館」だ。到着は22時30分。第12湯目の「宿湯」に入って冷え切った体をあたためた。湯から上がると夕食。長谷川さん差し入れの松之山温泉名物の「志んこ餅」と佐渡の「柿一番」を食べた。長谷川さん。ありがとう!

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 松之山温泉「凌雲閣」
朝食 松之山温泉「凌雲閣」 ご飯、味噌汁、温泉卵、煮物、サラダ、菊、昆布、ナス、漬物、グレープフルーツ
9時30分 松之山温泉「凌雲閣」を出発
辰の口温泉「渓泉荘」(休業中)
鹿渡温泉「鹿渡館」(入れず)
2964湯目 まつだい芝峠温泉「雲海」(500円)
出会い 長谷川さん
2965湯目 じょんのび温泉「楽寿の湯」(450円)
月湯女温泉(休業中)
山中峠(峠越え)
松葉沢温泉(天然温泉ではないので入らず)
2966湯目 千手温泉「千年の湯」(500円)
2967湯目 下条温泉「みよしの湯」(400円)
昼食 下条温泉「みよしの湯」クリームコロッケ定食(600円)
2968湯目 逆巻温泉「川津屋」(500円)
2969湯目 結東温泉「栃の実館」(500円)
長野県に入る
2970湯目 小赤沢温泉「楽養館」(300円)
2971湯目 屋敷温泉「秀清館」(500円)
2972湯目 上野原温泉「のよさの里」(300円)
2973湯目 和山温泉「仁成館」(500円)
2974湯目 切明温泉「河原の露天風呂」(無料)
新潟県に入る
22時30分 鹿渡温泉「しかわたり館」(1泊朝食6500円)
2975湯目 鹿渡温泉「しかわたり館」
夕食 長谷川さんの差し入れ 「志んこ餅」と「柿一番」
本日の走行距離数 185キロ
本日の温泉入浴数 12湯

松之山温泉「凌雲閣」の朝湯に入る「凌雲閣」の朝食「凌雲閣」を出発

松之山温泉「凌雲閣」の朝湯に入る 「凌雲閣」の朝食 「凌雲閣」を出発

辰の口温泉「渓泉荘」は休業中鹿渡温泉「しかわたり館」は入れずまつだい芝峠温泉「雲海」

辰の口温泉「渓泉荘」は休業中 鹿渡温泉「しかわたり館」は入れず まつだい芝峠温泉「雲海」

「雲海」からの眺めじょんのび温泉「楽寿の湯」千手温泉「千年の湯」

「雲海」からの眺め じょんのび温泉「楽寿の湯」 千手温泉「千年の湯」

下条温泉「みよしの湯」に入る「みよしの湯」の「クリームコロッケ定食」逆巻温泉「川津屋」

下条温泉「みよしの湯」に入る 「みよしの湯」の「クリームコロッケ定食」 逆巻温泉「川津屋」

結東温泉「栃の実館」「栃の実館」の湯長谷川さんの差し入れの「志んこ餅」と「柿一番」

結東温泉「栃の実館」 「栃の実館」の湯 長谷川さんの差し入れの「志んこ餅」と「柿一番」

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