カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

10月16日

投稿日:2009年10月17日

6時、十勝川温泉「ホテル十勝川」の朝湯に入る。この朝湯の気持ちよさといったらない。7時朝食、7時30分出発。

今年一番の寒さとのことだが、強烈なパンチを食らう。出発時の気温は2度。それでも晴れているのでまだよかった。ところがやがて濃霧に突入。スズキDRーZ400Sで切り裂く霧はまるで氷のよう。電光掲示板は気温0度。DRのハンドルを握りながらガタガタ震えてしまう。R241で足寄へ。昨日もかなり立ち止まった「セイコーマート」でホットのカンコーヒーを買い、しばらくはそれを両手で握りしめていた。脳天に響くほど手がジンジンとしびれて痛む。もうここまでだと観念し、グローブを冬用に変えた。

足寄からさらにR241を行く。霧が晴れると雲ひとつない快晴で、前方には雪を抱いた阿寒の山々が見えた。足寄峠を越えて阿寒湖へ。湖畔に立ち、阿寒湖を見たあと、阿寒湖温泉のアイヌコタンを歩いた。10時、弟子屈に到着。気温は8度まで上がっている。やっと地獄のような寒さから解放された。体がまだ冬モードに入っていないので、よけいに寒さがこたえたのだ。弟子屈から美幌峠へ。北海道一の絶景峠からすばらしい風景を眺めた。眼下には屈斜路湖が広がり、その中には中島が浮かんでいる。対岸にはちょこんと頭を突き出した摩周岳が見える。左手には雪化粧をした斜里岳。スキーッと透き通った透明感あふれる風景。美幌峠を下ると屈斜路湖畔を走り、北海道遺産の摩周湖を展望台から見下ろし、弟子屈に戻った。

弟子屈からはR391で釧路湿原の東側を通り、釧路の和商市場に直行。名物の勝手丼を食べたかったが、ここは北海道遺産優先で、「釧路ラーメン」にした。「カニ足ラーメン」を食べる。カニ足たっぷり、コーンたっぷり。釧路からはR44で根室へ。その途中では北海道遺産の霧多布湿原に立ち寄り、湿原の木道を歩いたが、すでにすべてが枯れた冬景色になっていた。根室到着は16時30分。タタタタと音をたてるかのように夕日が落ちていく。時間との勝負で納沙布岬へ。日本本土最東端の納沙布岬に着いたときにはすでに夕暮れ。悲しくなるくらいに暗くなるのが早い。暗い海峡の向こうでは、北方領土の島の灯台の灯が点滅していた。納沙布岬から根室駅前に戻る。これをもって「北海道一周」の第1ステージ、「函館→根室編」終了。

「函館→根室」は1340キロだった。すぐさま第2ステージ「根室→稚内編」をスタートさせる。R44で厚床まで戻り、そこからR244を北上。野付温泉「うたせ屋」に泊まった。今日の走行距離は585キロ。東京・日本橋を出発して以来、最高。「うたせ屋」の源泉かけ流しの湯にどっぷりつかりながら「函館→根室編」を終えた喜び、1日585キロを走った達成感にひたるのだった。

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