カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

10月18日

投稿日:2009年10月19日

7時、朝食。8時、出発。明け方には激しい雨が降った。天気予報は雨マーク。「今日は雨だな」と覚悟していたら、なんともありがたいことに日が差してきた。

北見郊外の信善光寺へ。ここには「屯田兵人形」がある。ご住職にお願いして見せてもらった。すごい、これは。本堂には高さ60センチほどの屯田兵人形が全部で75体、置かれている。北方警備と北見の開拓を兼ねてやってきた屯田兵だが、屯田兵人形の一体一体には名前がついている。その末裔たちが今、北見地方の大農場主になったりしている。この屯田兵人形を見たことによって、北海道の歴史には欠かせない屯田兵というものが、実感をもってとらえられるようになった。信善光寺前の道を登り、北見ケ丘展望台に立ち、北見の町並みを見下ろした。

さー、出発だ。スズキDRーZ400Sを走らせ、R39で留辺蘂へ。そこからは遠軽経由で丸瀬布の「いこいの森」を走るSL、「雨宮21号」を見る。丸瀬布の人たちが大事にしている「雨宮21号」は北海道遺産。乗客を乗せて走る「雨宮21号」を見たところで、丸瀬布から留辺蘂に戻った。留辺蘂からR39で北見と石狩の境の石北峠に向かっていく。北見の大農地を一直線に貫く道。やがて山中に入り、峠道を登り、高度を上げていく。そして標高1050メートルの石北峠に到達。驚いたことに、まるでぼくの到着を待ち構えていたかのように、女性がカメラを構えて立っている。カブタンだ。「300日3000湯」のとき、何度も出会ったカブタンだ。あまりの劇的な再会に手をとって2人で喜びあった。カブタンはカブタン旦那に無理をいって旭川から車で石北峠までやってきた。さっそく峠の茶屋でカブタン夫妻と一緒に山菜、キノコ入りの「石北ラーメン」を食べた。チャーミングな笑顔を振りまくカブタンは北海道遺産の生き字引のような人で、じつに詳しい。今回の「北海道遺産めぐり」もカブタンの影響が大きい。石北峠からは、今日一日、同行してくれるというカブタン夫妻と一緒に、旭川に向かっていく。北海道遺産の石狩川最上流部の流れを見、柱状節理の峡谷、大函を見、紅葉の層雲峡を見ながら上川盆地に入っていく。

16時30分、旭川に到着。間に合った。カブタン夫妻の車の先導で近文の「アイヌ記念館」を見学。そこに展示されているアイヌ文化の数々には目を奪われた。その中にはサケの皮からつくった冬用のブーツがあったが、あらためて北海道の「サケ文化」のすごさを見せつけられた。そのあと、カブタン夫妻おすすめの「蜂屋」で、「旭川ラーメン」を食べた。旭川駅前の「東横イン」に部屋をとると、カブタン夫妻との飲み会、開始。駅近くの「梁山泊」で旭川ならではのものを食べながら生ビール、旭川の地酒「国士無双」と飲む。鹿肉の燻製、アイヌネギ、熊肉のステーキ、さらには豚肉のチャップ、若鶏の新子焼と、カブタン夫妻と一緒になって食べまくった。2次会に突入。旭川駅近くの店に移り、飲み直す。そこへ名寄から佐々木さんが駆けつけてきてくれた。かわいらしい若い女性も一緒だ。やはり、「300日3000湯」のときに何度も出会った佐々木さん。何ともうれしい再会。そんな佐々木さんはかわいらしい若い女性を連れてきた。バイクツーリングでタンデムしている女性なのだという。そうか、佐々木さんはそんないい思いをしているのか。我々の宴会はあやがうえにも盛り上がり、日付の替わったところでお開きになった。旭川駅前での、みなさんとの別れには辛いものがあった。歩きながら思いっきり手を振った。

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