カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

10月24日

投稿日:2009年10月25日

さかずき温泉「もいわ荘」の朝湯に入る。ここには1階と2階に浴場があるので、階段を上り下りして、1階、2階の湯につかった。2階には露天風呂もある。湯から上がると朝食。サケの焼き魚つき。サケの本場の北海道だけあって、薄塩のサケ。これがすごくうまい。

8時30分、「もいわ荘」を出発。うれしいことに澄んだ青空が広がっている。積丹の海は青空を映してよけいに青い。泊漁港前の「にしを御殿とまり」を見学する。ニシン漁の親方とヤン衆たちが漁期の間、一緒に生活をともにしたニシン番屋は豪壮な建物。柱や梁の太さには目をうばわれる。ニシン漁がこの地にいかに莫大な富をもたらしたかがよくわかる建物だ。泊からはいったんニセコ連峰の山裾の岩内に行き、そこからR5の稲穂峠へ。「余市ー倶知安」間の峠で、トンネルの入口でスズキDRーZ400Sを止めた。

稲穂峠の「稲穂」は旭川・近文のアイヌ記念館などでも見た、儀式や神事に使う「イナウ」からきている。それに「稲穂」を当てる発想がじつにいいではないか。アイヌ語地名な北海道遺産になっているが、全道の地名の8割がアイヌ語地名というなかで、その代表ということで、室蘭の地球岬につづいて稲穂峠にやってきた。峠で折り返し、R5で倶知安へ。倶知安峠を越えると蝦夷富士の羊蹄山の大きな山容が目の中に飛び込んでくる。

倶知安からは羊蹄山を右手に見ながら走り、京極へ。北海道遺産になっついる「京極のふきだし湧水」を見る。膨大な水量。湧水口からわずかな距離で、あっというまに、かなりの流れの川になる。大勢の人たちがポリタンを手に水くみに来ている。それもすごい光景だ。倶知安に戻るとR5沿いにあるオーストリアの軍人、レルヒ中佐の一本スキーをはいた銅像を見る。レルヒ中佐はこの地にスキーを伝えた人、「スキーとニセコ連峰」は北海道遺産。そのニセコ連峰へ。ひらふやチセヌプリのスキー場を見、ニセコ五色温泉の前を通って峠へ。そこでDRを止め、目の前にそびえるニセコ連峰の主峰、ニセコアンヌプリを見た。ニセコを下り、R5で目名峠を越える。北海道らしい直線路が延びるゆるやかな峠。この目名峠を越えて黒松内町に入ると、植生が大きく変わる。「歌才ブナ林」へ。ここが日本のブナ林の北限になっている。「ブナセンター」でブナにかかわる展示を見たあと遊歩道を歩く。

展望台に立ち、黒松内の町並みを見下ろしたあと、山道を歌才川へと下っていく。川を渡ったその先が天然記念物にもなっている「歌才ブナ林」だ。紅葉したブナは夕日を浴びて黄金色に輝いていたが、その光景は北海道というよりも、青森あたりの東北の山中を思わせるものだった。黒松内からは太平洋側の長万部へ。長万部温泉の「丸金旅館」に泊まった。

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