流氷とガリンコ号
投稿日:2010年3月31日
流氷に挑んだ思い出
国道244号から道道1083号で網走に入っていくと、道の駅「流氷街道網走」の前を通る。「流氷の町・網走」らしいネーミングの道の駅だ。1月から3月の流氷の季節には、この道の駅のすぐ前、網走川河口の「おーろらターミナル」から流氷観光の砕氷船、「おーろら」が出ている。
「流氷とガリンコ号」は北海道遺産になっている。
「ガリンコ号」というのは紋別港から出る砕氷船で、一面の流氷の海をガリガリ音をたてて進んでいく様子がその名前から容易に想像できる。
道の駅「網走流氷街道」には流氷に関しての展示はないが、ここには観光案内所があり、網走の特産品の販売コーナーがある。
道の駅「網走流氷街道」からは、網走の市街地を一望する天都山へ。
そこにある「オホーツク流氷館」を見学。「流氷体験館」では青白く光る本物の流氷を見た。マルチハイビジョンシアターでは流氷の中を行く「おーろら」の映像を見た。
道の駅「網走流氷街道」に戻ると、今度は海沿いの道を12キロ走り、能取岬に行く。 知床半島突端の知床岬から日本最北端の宗谷岬までのオホーツク海の海岸線は単調で、岬らしい岬というと、この能取岬があるだけだ。高さ5、60メートルの海食崖で囲まれた岬の先端に立つと、オホーツクの海越しに巨大な島を見るような感じで、知床半島の山々が見える。
能取岬には白黒2色に塗り分けられた灯台が建っている。以前は流氷が接岸する1月から、流氷が離岸する3月までは休灯していたという。いかにも「流氷の岬」らしい話ではないか。
流氷といえば今から30年以上も前になるが、無謀にもカソリ、流氷上をバイクで走ろうと厳冬の北海道に行ったことがある。
400?のオフロードバイク、スズキ・ハスラーTS400を走らせ、東京から北海道へ。函館に上陸すると札幌→旭川→網走と走り、オホーツク海岸の止別まで一気に行った。当時は止別駅の近くに民宿「カニ族の家」があり、そこに泊まり、止別を拠点にして斜里に向かって流氷上を走ろうとしたのだ。
だが、何と、深い雪にはばまれ海岸に出られなかった。
「これは無理だ…」
と、早々に流氷上を走るのを諦め、流氷見物に徹することにした。
雪の中をズボズボもぐりながら歩き、オホーツクの海岸に出た。その瞬間の驚きといったらない。広いオホーツクの海が水平線のかなたまで白一色。びっしりと流氷で覆われていた。
それは日本で見た光景の中でも、一番の驚きといっていい。寒さも忘れ、時間も忘れ、感動してオホーツクの流氷を見つづけた。
翌日はさらに驚きのシーンを見た。
南風が吹き始めると、流氷はあっというまに岸を離れた。流氷の先端はストンと海の中に落ち込み、崖のようになっている。荒波がぶち当り、波しぶきが空高く舞い上がる。砕けた流氷が波間で揺れ動き、轟音をたててぶつかり合っている。畳何畳分もあるような巨大な流氷が、まるで踊るかのように立ち上がったり、ひっくり返ったりしている。我を忘れ、オホーツクの天然ショーを見つづけるのだった。