旭橋
投稿日:2010年5月3日
10年に1度しか見られない!? モザイクの旭橋
旭川到着の翌朝は、石狩川河畔の常磐公園を散歩した。公園内を抜け出ると、石狩川の河原だ。右手には北海道遺産の旭橋(昭和7年の完成)がかかっている。
旭橋といえば札幌の豊平橋、釧路の幣舞橋と並ぶ「北海道三大名橋」で知られているが、架橋当時の姿をとどめているのは旭橋だけ。ということで、今では北海道一の名橋。北海道遺産・全52件の中でも、橋で選ばれているのは旭橋だけである。
そんな名橋の旭橋を見て、
「おー、何だ、何だ!」
と、思わず声を上げてしまった。
橋全体がすっぽりとモザイク紋様の工事用カバーで覆われているではないか。10年に1度の塗り替え工事中なのだという。
「まあ、仕方ないか…。10年に1度の旭橋を見れたんで、ヨシとしよう」
と、そう気持ちを切り替えて、旭川駅前の「東横イン」に戻った。
さー、出発だ。今度はスズキDR?Z400Sを走らせて旭橋を渡るのだ。駅前の道を直進すると国道39号にぶつかるが、そこを左折。すぐに「4条6」の交差点を右折して国道40号に入っていく。
この4条6丁目の交差点はまさに「道北の十字路」。国道12号(札幌→旭川)の終点であり、国道39号(旭川→網走)と国道40号(旭川→稚内)の起点になっている。
国道40号を行くと、全国的にも珍しいロータリーの交差点を通過し、石狩川にかかる旭橋を渡る。塗り替え工事中の旭橋を渡りながら、前夜の宴が思い出された。
カブタン夫妻や佐々木さんとの飲み会がお開きになったのは12時近く(佐々木さんはちゃんと名寄まで帰れたのだろうか…)。旭川市民のカブタンとは、「今度は旭橋の上で再会しようね!」といって別れた。カブタンは旭橋が大好きなのだ。
旭橋を渡りきると、そのまましばらく国道40号を走ったが、左手には陸上自衛隊の旭川駐屯地がつづく。ここが戦前までの「陸軍第7師団」跡になる。旭川は日本の北方警備の拠点となる軍都だった。陸上自衛隊の駐屯地が途切れたあたりで折り返し、旭川駅前に戻った。
旭橋と石狩川は切っても切れない関係だが、旭川のあとも、前回ふれた北海道遺産の石狩川をあちこちで見ることになる。
旭川から国道12号を南下すると神居コタンの峡谷を抜け、上川盆地から石狩平野に入っていく。石狩川の中・下流域の世界だ。
全長268キロ、日本では信濃川、利根川に次ぐ第3位の大河の石狩川は、まさに「北海道の母なる流れ」。石狩川は本流のみならず、支流がすごいのだ。
最大の空知川は長さ194キロ。四国の四万十川とほぼ同じ長さになる。十勝岳連峰の南側を源とし、富良野、芦別、赤平を流れて滝川で石狩川本流に合流する。国道38号の絶景峠で知られる狩勝峠は、空知川最上流部の峠になる。
そのほか雨竜川、夕張川、千歳川が100キロを超える長さになっている。
それらの大きな支流を合わせた石狩川流域の石狩平野は北海道屈指の穀倉地帯。そこを貫く国道12号の沿線には深川、滝川、砂川、美唄、岩見沢、江別といった町々が鎖状に連なり、そして札幌へとつながっている。まさに北海道の心臓部だ。
札幌からは石狩市の河口まで行き、日本海(石狩湾)に流れ出る地点でDRを停めた。それが石狩川を見る最後になった。石狩川河口の荒涼とした風景には、胸にジーンとくるものがあった。
こうして1本の川を上流から下流へ、最後は河口へと見ていくのはじつにおもしろいツーリングの仕方。バイクの機動力を活かせば、それが簡単にできる。もちろん河口から源流へと遡っていくのもいい。
ぼくはそれを「源流行」と呼んでいるが、石狩川などは「源流行」には最適の川なのである。。