カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

東北を走ろう! 名水編

投稿日:2011年5月1日

湧水の国、東北! 名水を求めて走ろう

 東北の自然豊かな山野のあちこちには、何ヵ所もの名水が湧き出ている。清水の国、湧水の国、東北。まさに「瑞穂の国」の東北を象徴するかのような名水の数々だ。これら名水の多くには「延命」とか「長寿」の名前がついているように、ツーリング途中でこれらの名水を飲むと、「うわー、たまらん。生き返った!」という声が思わず出るほど。寿命がその瞬間、確実に延びたような気がする。
 地元のみなさんにとっても貴重なもの。ペットボトルに名水をくみにくる人たちをよく見かける。「このお水でご飯を炊くと、とってもおいしいのよ」とか「私は毎日、この水を飲んでいるおかげで、ほんとうに寿命がのびました」といった声を聞く。これらとっておきの名水はすべて無料水。
 さー、みなさん、名水を求めて自然豊かな東北を走ろう!

名水名のあとの数字とアルファベットは『ツーリングマップル東北』のページ数、位置を示しています。たとえば恐山冷水の103D-1は103ページのD-1を意味しています

1、恐山冷水 おそれざんひやみず[青森県]101D-1
恐山の外輪山の峠近くに湧き出る清水。「冷水」の名の通り、ひやっと冷たい。地元では不老不死の名水として知られている。周囲は下北名産のヒバ林。


2、渾神の清水 いがみのしつこ[青森県]88M-3
石筒から湧き出る水量豊かな清水。地元では「いがみのしつこ」という。坂上田村麻呂の眼病が治ったといい伝えられている。別名「目神の清水」。


3、お殿水 おとのみず[秋田県]87E-7
R101の道の駅「はちもり」にある清水。その昔、参勤交代の大名行列でここを通る津軽の殿様は「甘露、甘露!」といってこの名水を飲んだという。


4、峰越延命水[秋田県]62C-3
東北有数の絶景林道、真昼岳・峰越林道沿いにある清水。秋田・岩手県境の峠近くの秋田県側にある。この清水を飲んだ瞬間、林道走行の疲れが一発で吹っ飛んだ。その名の通り、「延命」の清水で知られている。


5、蛭川清水 ひるかわしみず[秋田県]56B-4
R342沿いにある清水なので、次々に車が停まり、清水をくんでいく。びっくりするのは県外ナンバーの車もやってくること。ここは江戸時代から知られた名水だ。


6、仙人水 せんにんすい[秋田県]51E-3
栗駒山の標高900mの地点に湧き出る清水。2008年の「岩手・宮城内陸地震」では大きな被害を受けたが、復活し、いまでは以前と同じように飲める。


7、栗駒神水 くりこましんすい[秋田県]51D-4
R398沿いにある清水。秋田・宮城県境の花山峠の秋田県側にある。この一帯は山菜やキノコの宝庫。山菜採りやキノコ狩りに来る人たちは、ほとんどの人がこの名水をくんでいく。東北の自然の豊かさを実感。


8、卯の花清水 うのはなしみず[岩手県]52D-3
平泉の中尊寺のすぐ近く、東北本線の踏切を渡ったところにある。地元のみなさんが大事にしている清水。その先が高館義経堂の入口だ。


9、神泉の水 かみこのみず[山形県]54C-6
女鹿の集落内にある。地元のみなさんは「かみこのみず」と呼んでいる。水量豊富。飲用から洗濯まで6つの使い分けをしている。まさに鳥海山の自然の恵み。鳥海山の山頂には出羽の一の宮、大物忌神社がまつられている。


10、長寿の名水 ちょうじゅのめいすい[山形県]39K-1
R347の鍋越峠近くにある。仙台から来たトラック運転手は「ここの水は東北で一番うまい」といって清水をくんでいた。R347を通るときは必ず水をくんでいくという。清水からの流れは手足がしびれるほどの冷たさ。


11、風早峠の名水[宮城県]40E-5
泉ヶ岳の山麓から湧き出ている。すごい水量。東北一の大都市、仙台のすぐ近くにあるとは思えないほど、泉ヶ岳周辺は自然の宝庫。そんな自然の恵みを強く感じさせる名水だ。


12、水神の名水[宮城県]40D-7
泉ヶ岳スキー場の先、樹林から湧き出る清水。大平桑沼林道へとつづく舗装路の脇にある。ここでは仙台市内から来た母娘に出会ったが、1週間に1度は必ず清水をくみに来るという。この名水で入れるコーヒーは「最高よ!」といっていた。


13、長命水[宮城県]33M-3
国道48号から北沢林道のダート3・5キロを走ると到着。伝説の「長命水」。近くにはキャンプ場もある。北沢林道の展望ポイントからの眺めはすごい。深い谷をまたぐJR仙山線の鉄橋を遠望。


14、二口渓谷湧水 ふたくちけいこくゆうすい[宮城県]33J-5
二口林道の脇に湧き出る清水。手の切れるような冷たさ。乗用車で水をくみにくる人が多い。二口峠は通行止だが、ここまでは問題なく行ける。


15、鏡清水 かがみしみず[宮城県]29C-4
羽州街道の宮城・山形県境の金山峠の宮城県側にある。この清水が白石川の源。江戸時代、弘前の津軽氏や秋田の佐竹氏、鶴岡の酒井氏など13大名の参勤交代の大名行列がこの峠を越えた。そのとき姫たちはこの清水を鏡がわりにしたという。


16、強清水 こわしみず[福島県]18F-7
R49のゆるやかな峠上に立派な水屋がある。やわらかな味わいのうまい水。車で清水をくみにくる人が多い。まわりには何軒かの手打ちそば店。


17、郭公名水[福島県]15K-7
乙次郎林道の脇にある。すぐ近くには郭公山。豊かな自然の山で新緑の季節、紅葉の季節は、それはすばらしい。阿武隈山地の自然の恵み!


18、大清水[福島県]17J-6
柳津の町中にある。「大清水」というほどの豊富な水量。町の人たちが次々に清水をくみにくる。別名「弘法清水」。弘法大師伝説が伝わる。どんなに日照りがつづいても、この清水が涸れることはないという。


19、大権現清水[福島県]12A-4
熊野権現をまつる熊野神社の鳥居前に湧く清水。目の前を只見線の線路が通っている。只見川の対岸には大塩温泉。湯上りに飲む名水はうまい。


20、冷湖の霊水 ひゃっこのれいすい[福島県]7F-1
玉川林道の脇にある。乗用車でわざわざ林道を走り、この水をくみにくる人が多い。「霊水」というからには、きっと霊験あらたかな清水なのだろう。R401に出、新鳥居峠を越えたところには高清水がある。


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