カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第135回 有畑老部川林道

投稿日:2011年10月23日

2010年 林道日本一周・東北編

本州最涯の地・尻屋崎で北海道の山影を遠望する

 下北半島・太平洋側の泊漁港から国道338号を北上。六ヵ所村と東通村の境の物見崎でビッグボーイを停める。岬の突端には白い灯台。断崖上に立ち、岬突端の岩場と抜けるような青さの太平洋を見下ろした。
 東通村に入ると白糠漁港。漁港脇の道を走り、白糠の町並みを走り抜けたところで国道338号を左折し、下北半島横断のロングダート、有畑老部川林道に入っていく。
 東通村側が老部川林道で、すぐにダートに突入。支線が多くて迷いやすいが、老部川の渓流に沿って走っていく。渓流を離れると、下北丘陵の峠を目指して登っていく。9・2キロのダートを走り切ると東通村と横浜町境の名無し峠に到達。峠には伐採されたた原木が積み上げられていた。
 横浜町に入ると有畑林道。4・9キロのダートを下ると舗装路になる。合計するとダート14・1キロの有畑老部川林道だ。
 陸奥湾岸の有畑から国道279号でむつの中心街へ。そこでさきほどの国道338号に入り、横流峠、大峠と越える。このあたりが下北丘陵の北端で横流峠も大峠も気がつかないまま越えてしまいそうになるほどゆるやかな峠。そのうち大峠が下北半島を太平洋側と陸奥湾側に二分する分水嶺の峠になっている。
 国道338号から県道248号に入り北へ。尻屋崎を目指す。下北特産のヒバ林の中を走っていくときはたまらない。ヒバ特有の匂いが漂い、ヒバを使った木の湯船の温泉につかったような気分になった。
 快走路を北上し、T字の分岐点に出る。尻屋崎はそこを左折するのだが、右折して尻労(しっかり)へ。尻労の集落に入り、その先の漁港まで行く。断崖が海に落ち込んでいるが、漁港の先が行止まり地点。そこで折り返した。
 尻屋崎への県道6号に入り、津軽海峡を左手に見ながら走る。水平線上には北海道が見えている。
 岩屋の集落を抜け、岩屋漁港前を過ぎ、三菱マテリアルのセメント工場前を走る。右手にはセメントの積み出し港。背後にそびえる標高400メートルの桑畑山は石灰岩の宝庫。その埋蔵量は数億トンと推定されている。
 尻屋崎の入口に到着。自分でボタンを押して遮断機を開け、岬への道に入っていく。この遮断機は岬周辺の草地に放牧されている牛馬のためにある。
 尻屋崎で放牧されている骨太の馬は「寒立馬」と呼ばれている。
 下北半島の厳しい自然の中で育っているだけに抜群の耐久力。雌馬を残し、雄馬は食肉用として市場にだされている。
 松林を走り抜けて海岸に出ると、白い灯台が見えてくる。ぼくは日本に数ある灯台の中でも、この尻屋崎の灯台が一番絵になると思っている。そこでビッグボーイを停めて岬を歩く。本州最北東端の尻屋崎には「本州最涯の地」碑が立っている。
 岬の崖っぷちに座り、海を見る。
 左手には下北半島の山々が連なり、重なり合い、そのままストンと海に落ちている。
 目の向きを変えると、北海道の山影が津軽海峡の水平線上に青く見える。その一番右手が恵山岬だ。
 そんな風景を目に焼き付けたところで尻屋崎を離れた。

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今回のエリア:昭文社ツーリングマップル東北 101,103

泊→物見崎→白糠→有畑→尻屋崎

物見崎の灯台
物見崎の海岸線


物見崎から見下ろす白糠漁港
有畑老部川林道のダートに突入


有畑老部川林道の峠に到達
有畑老部川林道を下っていく


国道338号の大峠
県道248号のヒバ林を行く


尻労に到着
尻老の漁港


尻労の行止まり地点
尻屋崎の灯台


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