カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

ニュージーランド南島ツーリング[20]

投稿日:2012年10月25日

インバーカーギルに到着

世界最速の男が生まれた町

 ニュージーランド南島第2の都市、ダニーデンを出発。国道1号を50キロほど走ったミルトンのカルテックスのガソリンスタンドで給油。オクタン価91のレギュラーはリッター2ドル08セント(約143円)で日本とほとんど変らない。ハイオクはオクタン価95でリッター2ドル15セント(約148円)。レギュラーとハイオクには、それほど大きな差はない。
 ミルトンからさらに国道1号を行く。
 海岸地帯から内陸の丘陵地帯へと入っていくと、突如天気は崩れ、黒雲があっというまに空を覆う。それとともに猛烈な風が吹き始める。怖いくらいの風の強さだったが、安定感抜群のV?ストロームのおかげで吹っ飛ばされることもなく、ミルトンから100キロのゴアまで走りきることができた。
 ゴアから南へ。天気は一気に回復し、青空が広がる。風もやみ、つい先ほどの嵐のような天気がうそのようだった。
 14時、インバーカーギルに到着。この町のマックで昼食を食べると、映画「最速のインディアン」のマシンが展示されているというストアに行く。だが残念ながら新年で店は閉まっていた。
「トレードZゾーン・インダストリアル」というストアで、入口には「Come&See」のポスター。それには「店内に世界最速のインディアン」と書かれ、世界最速マシンの写真が飾られている。
「世界最速のインディアン」は1000cc以下のオートバイの地上最速記録保持者バート・マンローの実話に基づいた映画。バート・マンローは1899年にインバーカーギルで生まれ、60代も後半になってから、愛車(オートバイ)、1920年型インディアン・スカウトでアメリカ・ユタ州のボナビル・レーストラックを走り世界最速記録に挑んだ。
 そして1962年、850?エンジンで288キロの世界記録を樹立。その後、920?エンジンで305キロを達成。こよなく故郷を愛したバート・マンローは1978年、インバーカーギルで死んだ。78歳だった。
 そんな彼が世界最高速の高速走行の練習をしたのがインバーカーギル南西10キロほどのオレッティー・ビーチだという。
 バート・マンローが世界最速記録を樹立したボナビル・レーストラックは、ぼくにとっても懐かしの地だ。
 1972年にスズキの380?バイク、GT380で走った。
 ボナビル・レーストラックはグレートソルトレークの塩原部。真っ平な塩原がはてしなく広がっている。そこをアクセル全開で走り、時速100マイル(約160キロ)を突破した。強烈なスピード感。塩がまるで水しぶきのようにパーッと飛び散った。そんな40年前のシーンが、ニュージーランドのインバーカーギルで蘇ってくるのだった。

ミルトンに到着
ミルトンのガソリンスタンド


インバーカーギルのマクドナルド
マックの昼食


「世界最速のインディアン」が展示されている店


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