カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本一周 west[21]

投稿日:2012年12月11日

流れ寄る椰子の実一つ

三重←愛知←静岡←神奈川←東京

 夜明けとともに起き、「ホテル黒潮」から歩いて伊良湖岬へ。太平洋から朝日が昇る。早朝のバードウオッチングに来ている人が多い。みなさん、望遠レンズのカメラを持っている。海岸に下り岬突端の灯台へ。そこでは何人もの人たちが海釣りをしている。
 伊良湖岬はウバメガシやハマヒサカキ、ヤブツバキ、ユズリハなどの緑濃い照葉樹で覆われている。灯台から東側へ、遠州灘に沿って延びる1キロほどの砂浜は、「恋路ヶ浜」とロマンチックな名前がつけられている。
 そんな砂浜の途切れるあたりに島崎藤村の詩碑が建っている。
「名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ」
 この詩、「椰子の実」は日本民俗学の父、柳田国男が浜に打ち寄せられた椰子の実を拾った話がモチーフになっているというが、伊良湖岬は黒潮という「海の道」によって、はるかに遠い南の島々と結びついている。
「ホテル黒潮」に戻ると朝食。サンマの焼き魚がうまい。味噌汁は三州の赤味噌だ。
 8時、「ホテル黒潮」を出発。スズキの125ccスクーター、アドレスV125Gに乗ってホテル近くの伊勢湾フェリーのターミナルへ。8時10分発の「知多丸」に乗船。フェリー代は人が1500円、アドレスが1500円。対岸の三重県・志摩の鳥羽港に向かっていく。
 船尾の長いすに座りながら、間遠になっていく伊良湖港を眺める。
 伊良湖港は昭和38年の完成。鳥羽だけでなく、知多半島先端の師崎や三河湾に浮かぶ篠島、日間賀島、対岸の蒲郡へのフェリーや高速船が出ている。ここは渥美半島の海の玄関口。伊良湖岬はそんな伊良湖港を守る天然の防波堤の役割を果たしている。それが海上からだとよくわかる。
 伊勢湾は東京湾や大阪湾と並ぶ海の銀座通り。大型船が次々に通り過ぎていく。三島由紀夫の名作「潮騒」の舞台になった神島を過ぎると、志摩半島の山々が正面に大きく見えてくる。伊良湖港から1時間、「知多丸」は鳥羽港に到着。船旅の良さを十分に実感できる伊勢湾フェリーだ。

伊良湖岬の灯台
「ホテル黒潮」の朝食


「ホテル黒潮」を出発
伊勢湾フェリーに乗船


伊良湖港を出港
離れゆく伊良湖港


伊良湖岬が遠ざかっていく
神島の脇を通っていく


伊勢湾フェリーとすれ違う
志摩の山々が大きく見えてくる


鳥羽港にまもなく接岸
鳥羽港に上陸!


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