アドレス日本一周 west[28]
投稿日:2012年12月20日
自然こそ神
新宮から国道42号で那智へ。熊野灘の潮風を切り裂いてアドレスV125Gを走らせ、JR紀勢本線の那智駅前で国道42号を右折。そこには補陀落山寺がある。
南海のかなたの観音浄土の地、「補陀落」を目指して、この寺の歴代の住職たちは那智の浜からひとりぼっちの船出をした。それも2度と外に出られないように、釘で打ちつけられた船にのって沖に流されていった。寺の裏山にはそんな13人の「渡海上人」たちの墓がある。
那智の滝にむかっていくと、一気に山中に入っていく。海と山が接する紀伊半島の地形がよくわかる風景だ。
やがて右手には高さ133メートルの日本一の大滝、那智の滝が見えてくる。駐車場にアドレスを停め、飛瀧神社の鳥居をくぐり、うっそうとおい茂る杉木立の石段を駆け下っていく。すると「グウオーーー!」と耳をつんざくような音を轟かせてる流れ落ちる那智の滝が目の中に飛び込んでくる。
「すごい!」。
何度目かの那智の滝だが、何度見ても、感動する瞬間。那智の滝は飛瀧神社の御神体。自然のつくり出すあまりの神々しさに思わず手を合わせてしまう。
那智の滝の風景を目に焼きつけ、急坂を登り、「熊野三山」3社目の熊野那智大社へ。アドレスを降りて参道を歩く。参道の両側にはみやげもの店が並ぶ。那智名物の那智黒や那智石の碁石などが目につく。464段の石段を息を切らして登り、朱塗りの社殿に参拝した。境内には樹齢800年という大楠が枝を広げている。
那智山には豊かな自然が残されている。その中心に熊野那智大社がある。
「熊野三山」というのは、熊野・那智の豊かな自然を崇拝する霊場。「自然こそ神」の世界なのだ。
熊野那智大社に隣り合った青岸渡寺は西国33番第1番の札所。巡礼人気で白装束姿の巡礼者たちを多く見かける。入母屋造りの大本堂は豊臣秀吉によって再建された。本堂内には秀吉が寄進したという直径1・4メートルの大鰐口がかけられ、本堂脇には「元亨二年(1322年)と銘の入った高さ4メートルほどの宝篋印塔がほぼ完全な姿で残されている。青岸渡寺の境内には樹齢700年のタブノキ。展望台から見る三重塔は昭和47年に再建された。戦国時代に焼かれてから400年ぶりの再建だという。三重塔の右手には那智の滝が流れ落ちている。
かつて那智山には7ヵ寺36坊の堂塔伽藍があっておおいに賑わった。それが明治維新の廃仏毀釈によって寺はことごとく打ち壊され、青岸渡寺だけが残った。そして神仏分離で熊野那智大社と青岸渡寺に分けられた。