アドレス日本一周 west[72]
投稿日:2013年2月9日
島原人、生活の舞台
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樺島から脇岬に戻ると、海沿いの県道34号で茂木へ。橘湾を右手に見ながらアドレスを走らせる。橘湾の対岸の島原半島がよく見える。その中央が雲仙・普賢岳。茂木からさらに県道34号を走り、国道251号に合流。有料の矢上大橋を渡る。アドレスの通行料金は10円だ。
国道251号沿いの食堂「喜多」で昼食。「長崎チャンポン」(550円)を食べた。具だくさんのうまいチャンポンだった。
国道57号に合流し、島原半島に入っていく。小浜温泉でアドレスを止め、「浜の湯」(入浴料150円)に入った。150円の入浴料にはうれしくなってしまうが、ここはいい湯だ。湯量豊富で源泉かけ流し。若干の白濁湯。熱めの湯と温めの湯、2つの湯船がある。朝は6時から夜は9時までやっているし、国道57号の脇にあるので見つけやすい。もういうことなしの共同浴場だ。
「浜の湯」を過ぎたところが国道57号と国道251号の分岐点。そのまま直進し、さらに海沿いの国道251号を南下していく。
崖下を走っているときのことだ。台地上に登る細道が目に入った。すぐに国道を外れ、軽トラックが通れるぐらいの小道をアドレスで登っていく。そしてたどり着いた台地上の世界は「あっ!」と驚くほどだった。
そこは下からではうかがい知れない島原人の生活の舞台。棚田が天に届かんばかりにつづいている。収穫を目前にした棚田は一面、黄金色に染まっている。1枚1枚の田の境には、それこそ島原人の汗と涙の結晶のような石垣が築かれている。
さらに小道を登りつめ、台地のてっぺんに立つと、天がぐっと近くなる。目の前の海には天草の島々が浮かび、右に視線を移せば、島ひとつ見えない東シナ海の大海原が広がっている。
「おどみゃ島原の、おーどみゃ島原の…」
と、「島原の子守唄」が口をついて出た。
国道251号を右折し、島原半島最南端の瀬詰崎へ。
岬近くの集落には亜熱帯樹のアコウが群生していた。サツマイモ畑が広がる台地がストンと落ちたところが瀬詰崎。有明海口の早崎瀬戸に突き出た岩礁の上に灯台が立ち、その向こうに天草下島が見えている。瀬詰崎から天草までは、わずか4キロでしかない。
早崎瀬戸は浅瀬が多く、潮の流れが速いので、昔からの海の難所として恐れられてきた。とくに大潮の満潮時や干潮時には潮流が段をなして押し寄せ、激しく渦を巻いて荒れ狂うという。灯台の下まで行き、そんな早崎瀬戸を眺めるのだった。