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生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本一周 west[89]

投稿日:2013年2月26日

駅前朝市

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 10月17日。夜明けとともに鹿児島一番の繁華街、天文館を歩いた。半そで1枚で十分。鹿児島はまだ残暑といったところだ。ところが「東横イン」に戻り、NHKの天気予報を見ると、旭川では今年、初めての氷点下になったといっている。北海道ではすでに秋が過ぎ、冬に突入していた。南北に細長い日本列島を見るような思いだった。
「おにぎり&味噌汁」の朝食を食べると「東横イン」を出発。
 さー、「奄美&沖縄編」の開始だ。
 スズキの125ccスクーター、アドレスV125Gを走らせ、鹿児島港へ。岸壁には十島村航路の「フェリーとしま」(1391トン)が接岸している。トカラ列島の島々を経由して奄美大島の名瀬港まで行く船。この「フェリーとしま」に乗り、トカラ列島の島々を眺めながら奄美大島の名瀬港に渡るのだ。
 十島村航路の事務所に行き、「鹿児島→名瀬」のチケットを買う。2等が11620円、アドレスが5000円で合計16620円になる。チケットを買うと、夢はトカラ列島から奄美大島へと飛んでいく。
「フェリーとしま」の出港は23時50分で、アドレスの受付は21時30分頃からだという。ということで1日かけて鹿児島をまわることにする。
 まずは鹿児島中央駅へ。アドレスを停めると、駅周辺を歩いた。
 温泉銭湯「みょうばん温泉」(入浴料金)の湯に入る。無色透明のツルツル湯。鹿児島はあまり知られていないが、日本の県庁所在地の中では一番の「湯の町」。市内には200近い源泉がある。それらが各所に散らばっているので、特に温泉街はない。温泉ホテルや温泉旅館だけではなく、西田温泉や錦江温泉、今村温泉、滑川温泉、有田温泉…といった温泉銭湯がいくつもある。みょうばん温泉のそんな鹿児島市内温泉の温泉銭湯のひとつだ。
 さっぱりした気分で鹿児島中央駅に戻ると、駅前の「月乃屋」で「さつま揚げ」(5個380円)を買って食べた。鹿児島といえばさつま揚げ。さつま揚げを食べていると、無性に薩摩焼酎が飲みたくなってくる。そのあとドーム内の朝市を歩いた。
 鹿児島中央駅(2004年九州新幹線開業と共に改称)が西鹿児島駅だった頃の駅前朝市はすごかった。狭い道沿いに露店がズラリと隙間なく並んだ。その朝市を見るために、鹿児島に来たことがある。早い人だと4時前には店を出すとのことで、6時過ぎから8時ぐらいが一番、にぎわった。
 露天の朝市には大根や白菜、キャベツなどの野菜類やサツマイモ、サトイモ、ジャガイモが山と積まれていた。さつま揚げや漬物、ソバ粉や粟餅、団子をつくるしん粉も売られていた。アロエの葉も。アロエは別名「医者いらず」。切り傷にはすってつけ、腹をこわしたときは煎じて飲むと、朝市のオバチャンに教えられた。
 その時は秋だったので、熟柿がおいしそうだった。アケビに似たウンベという実もあった。そのウンベの実の食べ方がわからないでいると、朝市のオバチャンは、ウンベの食べ方も知らないのといった顔をして、「割ってごらんなさい。中の黒い種のまわり、そこが甘いのよ」と教えてくれた。
 朝市の食べ歩きは楽しいもので、炭火で焼いた丸餅やいも餅も食べた。
「遠い人は山川や指宿から来ているの。毎朝、3時前には起きてね。朝市に出す品物を用意して、一番列車に乗って。西鹿児島駅に着くのは6時20分。薩摩の女は働き者なのよ」といって笑って話してくれた朝市のオバチャンをなつかしく思い出すのだった。

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「東横イン」の朝食
「東横イン」を出発


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鹿児島港の「フェリーとしま」
温泉銭湯の「みょうばん温泉」


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鹿児島中央駅
鹿児島中央駅の改札口


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鹿児島中央駅前の「月乃屋」
鹿児島名物の「さつま揚げ」を食べる


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鹿児島中央駅前の朝市
朝市を歩く


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