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生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本一周 west[175]

投稿日:2013年6月2日

漁村初、重要伝統的建造物群

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 11月6日。目をさますとすぐに伊根温泉「桜泉閣」の湯に入る。昨夜とは男湯と女湯が入れ替わっている。大浴場と露天風呂、それと桧風呂に入った。この朝湯の気持ちよさといったらない。
 湯から上がると朝食。朝食にはエテガレイの一夜干しが出た。肉厚で脂ののった、じつにうまいエテガレイだった。
 さー、出発。アドレスを停めた駐車場まで行くと、何と「300日3000湯」のとき、「北神戸ぽかぽか温泉」で出会った澤谷さんがぼくを待ち構えていた。三田に近い加東市からわざわざ来てくれた。おまけに日本酒とイカナゴのくぎ煮の差し入れまでしてくれた。そんな澤谷さんと一緒に伊根まで行く。
 伊根温泉からは海沿いの細道を行く。その途中にある荒井崎は「徐福伝説」の地。徐福は荒井崎の海岸に上陸したという。そこには荒井崎神社がまつられている。今回の「日本一周」では徐福の墓のある南紀・新宮の徐福公園に立ち寄っているので、「これでつながったな」と思った。
 もっとも徐福伝説は青森県から鹿児島県に至るまで、日本各地に残されている。徐福ゆかりの地としては串木野や延岡、佐賀、熊野、さらには富士吉田や八丈島などが知られている。青森県の小泊岬でも確か徐福上陸の地碑を見た記憶がある。ぼくはいつの日か、「徐福伝説」を追ってみたいと思っているのだ。
 秦の始皇帝に「東方の三神山に不老不死の霊薬がある」と具申した徐福は、始皇帝の命により、3000人の若い男女と多くの技術者を引き連れ、五穀の種を持って、東方に船出した、そして日本に上陸した、ということになっている。なんとも興味を引かれる徐福伝説ではないか。
 荒井崎の漁港に寄ったあと、道の駅「舟屋の里伊根」へ。ここからは天然の良港、伊根湾の伊根漁港を一望のもとに見下ろした。伊根では定置網漁が盛んで、とくに定置網でのブリ漁はよく知られており、「伊根ブリ」といえばブリのブランド品になっている。
 道の駅「舟屋の里伊根」で澤谷さんと別れ、海岸に下っていく。漁港の岸壁にアドレスを止め、対岸にずらりと並ぶ伊根の舟屋を眺めた。
 以前、舟屋の民宿で泊まったことがある。
 舟屋は妻入りの建物。海に向かって、伊根湾の海面すれすれに建てられている。いかにも波静かな伊根らしい造りだ。土台や柱は椎の木を用い、梁は松を用いているという。ともに水に強い木だ。1階は船揚場、物置、作業場になっている。ここで出漁の準備をしたり、漁具の手入れや干物を干したりする。2階が居室で民宿になっていた。
 海沿いにはこのような舟屋が200軒以上もびっしりと建ち並び、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。漁村では全国でも初めての指定だ。
 そんな伊根の舟屋の風景を目に焼き付けたところで国道178号に出る。伊根湾の出口には「伊根湾めぐり」の観光船の船着場があった。ちょうど船が出るところで、乗りたいところだったが、またの機会にした。
 船着場の対岸は青島。伊根湾は見れば見るほど、天然の良港だ。

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伊根温泉「桜泉閣」の朝湯に入る
「桜泉閣」の朝食


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エチガレイの一夜干し
荒井崎の荒井崎神社


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ここが徐福伝説の上陸地
伊根を一望!


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漁船が出ていく
漁船に網を積み込んでいる


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対岸に舟屋を見る
伊根の舟屋の風景


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伊根湾口に浮かぶ青島
「伊根湾めぐり」の観光船


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