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生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本一周 east[69]

投稿日:2013年9月30日

オホーツク沿岸の岬

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2008年12月2日

 JR釧網本線の北浜駅をあとにし、国道244号で網走市内に入っていく。
 オホーツク海を右手に見ながらアドレスを走らせ、道の駅「流氷街道」で小休止。「流氷の町」、網走らしいネーミングの道の駅だ。
 1月から3月の流氷の季節になると、道の駅「流氷街道」のすぐ前、網走川河口の「おーろらターミナル」から流氷観光の砕氷船、「おーろら」が出る。北の紋別港からは同様の「ガリンコ号」が出るが、一度は乗ってみたい流氷観光の砕氷船だ。
 もう何年も前のことになるが、流氷を見たくて、2月上旬に網走にやってきたことがある。オホーツクの海をびっしりと埋め尽くした流氷には感動したが、それは壮観というよりも異様な光景で、とてもここが日本だとは思えなかった。
 流氷は強い風が吹き始めると、あっというまに離岸した。その先端はストンと海に落ち込み、崖のようになっていた。そこに荒波がぶち当たり、波しぶきが高く舞った。砕けた流氷は波間で揺れ動き、ものすごい音をたててぶつかり合った。巨大な流氷がまるで踊るかのように、立ち上がったり、ひっくり返ったりする様子を我を忘れて眺めつづけたのだ。「流氷の町」、網走にやってくると、そんな光景が思い出されてならなかった。
 道の駅「流氷街道」には流氷に関しての展示はないが、網走の特産品の販売コーナーがある。それらをひと通り見たところで出発。ここで国道244号を離れ、道道76号で能取岬に向かっていく。
 能取岬近くの樹林の中はアイスバーンの連続で、転倒しないように必死になってアドレスを走らせた。能取岬に到着すると雪は消え、心底、ホッとするのだった。
 知床半島突端の知床岬から、日本最北端の宗谷岬までのオホーツク海の海岸線は単調だが、その間にある唯一の岬らしい岬が能取岬だ。ここにはキタキツネがよくやってくる。岬周辺の広々とした牧草地は牛や馬を放牧する「美岬牧場」になっている。
 高さ5、60メートルの海食崖に囲まれた岬の先端に立つと、オホーツク海の向こうに知床半島の山々が見える。岬下の岩礁地帯には冬になるとアザラシの群れがやってくるということだが、その姿はなかった。きっとまだ早いのだろう。
 岬の突端には、白と黒に塗り分けられた八角形の灯台が立っている。
 かつては流氷が接岸する1月下旬から3月下旬まで休灯したということだが、それは流氷の岬、能取岬らしい話ではないか。

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網走の道の駅「流氷街道」
能取岬に到着


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能取岬の八角形の灯台
能取岬突端の断崖


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