カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本一周 east[89]

投稿日:2013年10月21日

雨の利尻島一周

北海道←青森←岩手←宮城←福島←茨城←千葉←東京←神奈川←静岡←神奈川
←東京
2008年12月5日

 ザーザー降りの雨の中、鴛泊港を出発点にして利尻島を一周する。反時計回りでの一周。利尻島は円形の島で、中央に利尻富士で知られる島の最高峰、利尻山(1721m)がそびえている。しかしこの雨で山裾すら見えない。
 道道105号→108号で島を一周する。
 最北端の富士岬を皮切りに、利尻島の東西南北端の4岬をめぐる。
 富士岬の次は最西端の沓形岬。沓形港近くの岬で、四角い赤白2色の灯台が建っている。最南端は仙法志御崎。ここには丸い赤白2色の灯台が建っている。神秘的なオタトマリ沼でアドレスを止めたが、利尻富士はまったく見えない。
 最後に最東端の石崎に立った。ここにも丸い赤白2色の灯台が建っている。こうして雨に降られっぱなしで「利尻島一周」を走り終え、鴛泊港に戻った。
 全行程63キロの利尻島一周だったが、残念ながら利尻富士は最後まで見えなかった。それだけに「島めぐり日本一周」(2001年〜2002年)の時に登った利尻富士がなつかしく思い出されてくるのだった。
 利尻富士の登頂は2001年6月22日。それは次のようなものだった。

 4時前に宿を出発。鴛泊港前のペシ岬で朝日を見た。朝日は稚内のノシャップ岬あたりから昇った。利尻富士登山には絶好の天気。空が抜けるように青い。
 鴛泊港から登山口へ。その間は5キロほど。駐車場にスズキの50ccバイク、SMX50を止め、4時15には山頂を目指して歩き始めた。
 10人前後の登山者のグループを追い抜いていく。年配の人たちばかり。今や登山は中高年のものになった感がある。
 4時30分、3合目に到着。ここには「日本の名水100選」にも選ばれている「甘露水」がある。豊富な水量で、その名のとおり、ほのかな甘味のある利尻富士の湧水だ。3合目からが本格的な登山道になった。
 4時50分、4合目に到着。
 5時15分、5合目に到着。このあたりまでは順調。5合目を過ぎたあたりから、次第にきつくなってくる。
 5時45分、6合目に到着。ここには見晴台がある。眼下には鴛泊港。港外には「日本一周」中の大型客船が見える。礼文島もよく見える。
 6時05分、7合目に到着。ここでパンと缶紅茶の朝食にする。7合目を過ぎると、ガクッとペースが落ちた。
 7時05分、8合目に到着。ここは標高1218メートル地点。目の前には利尻富士がキューンと曲線を描いてそそりたっている。幾筋もの雪渓も見える。高山植物の「ハクサンイチゲ」の白い花がいたるところに咲いている。
 7時50分、9合目に到着。おにぎり2個を食べ、パワーをつけて頂上を目指す。9合目からは急傾斜の登り。火山岩の軽石に足が滑り、なんとも登りにくい。ハーハー息が切れてくる。最後はやっとの思いで標高1721メートルの頂上に立った。時間は9時ジャスト。4時間45分の登りだった。
 利尻富士の山頂には利尻山神社がまつられている。山頂からの眺めは絶景。30分ほど山頂にとどまり、そして一気に下ったが、下りには2時間30分かかった。往復で7時間45分になった。利尻富士登山は速い人で往復6時間、普通の人で往復8時間、遅い人だと往復10時間ぐらいだという。
 登山口に戻ると、SMX50にまたがり、鴛泊港へと下っていく。
 その途中にある「利尻富士温泉」(入浴料400円)の湯に入る。温泉効果は抜群。登山で疲れきった体を湯につけると、体は元に戻った。湯から上がると、温泉の食堂で「冷し中華」(700円)を食べた。
 鴛泊港16時00分発の「アインス宗谷」に乗り込み稚内へ。甲板に立ちつくし、遠ざかっていく利尻島を眺めた。利尻富士には雲がかかりはじめていたが、海上には雲ひとつない。海も空も底抜けの青さだった。

小学館文庫『50ccバイクで 島の温泉日本一周』より
IMG_6546IMG_6555

鴛泊港を出発
沓形岬


IMG_6556IMG_6557

沓形岬からの距離標
沓形港


IMG_6558IMG_6560

利尻島の一周道路を行く
仙法志御崎


IMG_6561IMG_6562

仙法志御崎の灯台
オタトマリ沼


IMG_6565IMG_6566

石崎の灯台
鴛泊港に戻ってきた


2001年6月22日の撮影

IMG_9014IMG_9018

9合目から見る利尻富士
利尻富士の山頂


Comments

Comments are closed.