アドレス日本一周 east[91]
投稿日:2013年10月25日
氷河地形の大地を走る
←東京
12月6日。6時起床、7時朝食。「民宿宗谷岬」のスクランブルエッグ、ベーコン、とろろ、海苔といった朝食を食べ、食後のコーヒーを飲み、8時出発。気温は氷点下4度。「ヒェー」と思わず声が出るほど寒い。
スズキの125ccスクーター、アドレスV125Gリミテッドのエンジンをかけ、まずは宗谷岬の「日本最北端の地碑」の前に立つ。宗谷海峡には鉛色の雲がかかっている。それでもサハリンははっきりと見えている。
宗谷岬からサハリン南端のクリリオン岬までは43キロでしかないが、晴天のときよりもかえってこのような曇天のときの方がサハリンははっきりと見える。
つづいて宗谷丘陵上の「旧海軍望楼」に登り、そこからサハリンを見た。「日本最北端の地碑」の前よりも、ここからの方が、サハリンははるかに大きく見える。
宗谷岬の赤白2色の灯台前から宗谷丘陵を走る。
天塩山地北端の宗谷丘陵のなだらかな斜面は、約1万年前までつづいた最終氷河期の寒冷な気候のもと、氷河周辺部での凍結と融解を繰り返してできた周氷河地形。谷が樹枝状に、幾筋にもなって伸びている。それが大きな特徴。日本の氷河地形というと、北アルプス高峰群のカール(圏谷)がよく知られているが、日本最北の宗谷丘陵も日本の数少ない氷河地形なのだ。
「アドレス日本一周」の前に走った「南米・アンデス縦断」(2007年〜2008年)では、アンデスのモレノ氷河を見た。
アンデス山脈の稜線に端を発する全長350キロのモレノ氷河は、最後に4キロもの幅となって、アルゼンチナ湖に落ち込んでいる。
湖面にせり出した氷河先端の壁は100メートルほどの高さ。その巨大な氷壁はあちらこちらで崩れ落ち、そのたびに雷が落ちたような轟音をとどろかせ、氷の塊となって湖に浮かぶ。真っ青なアルゼンチナ湖の湖面に浮かんでいる大小いくつもの氷山は、夏の強い日差しを浴びて不気味なほどに青白く光り輝いていた。
日本の氷河地形の宗谷丘陵をアドレスで走っていると、そんなアンデスの氷河が目に浮かんでくるのだった。
(2008年1月5日撮影)