アドレス日本巡礼[277]
投稿日:2015年5月18日
国宝の天守に登る
琵琶湖の彦根港から井伊氏35万石の城下町、彦根の町に入っていく。JR彦根駅でカンコーヒーを飲み、駅の案内板を見てからまずは彦根城へ。ここは姫路城、犬山城、松本城と並ぶ「国宝四城」のひとつ。初代藩主の井伊直政から14代藩主の井伊直憲までの260年間、井伊氏は一度の国替えもなっかった。ということで井伊氏=近江・彦根ということになる。桜田門外で水戸浪士に暗殺された江戸幕府大老の井伊直弼は13代目の藩主だ。
駐車場にアドレスを止めると、入場料の600円を払って彦根城に入っていく。廊下橋でつながっている天秤櫓や見事な石垣の上に建つ西の丸三重櫓などを見て回り、3層3階の天守閣に登った。上の階に登る木の階段は垂直に近いほどの急勾配なので、スカート姿でやってきた若い女性たちはちょっと気の毒。最上階からは彦根の市街地を見下ろし、北には湖北の山々、東には息吹山地の山々を望んだ。西には琵琶湖が広がり、南には近江富士の三上山(432m)が見えている。近江を一望できる彦根城の天守閣なのである。
彦根城を歩いてすごく気になったのは、ツバメの巣を次々に落としていることだ。建物が汚れるし、観光客に糞が落ちるからなのだろうが、空を飛ぶツバメたちは困り切った顔をしている。日本人の多くはツバメを大事にし、「福を呼ぶ鳥」だと思っている。江戸時代、城主の井伊氏もまさかツバメの巣を落とすようなことはしなかったであろう。店先のツバメの巣を落としたばかりに店が傾いたり、玄関先のツバメの巣を落としたばかりに温泉宿を閉めるようになったという話を聞いたことがある。人気キャラの「ひこにゃん」で一躍有名になった彦根城だが、この先、悪いことが起きないことを願うばかりだ。
彦根城の次に、隣り合った玄宮園に行く。ここには彦根城と共通券で入園できる。4代目藩主の井伊直興が整備したといわれる大名庭園で近江八景を模してつくられた。隣接する楽々園はかつての井伊家の下屋敷。「御書院」には見事な襖絵がある。「地震の間」は普段は茶室として使われたということだが、地震の時に逃げ込む部屋だった。まさに江戸時代の耐震建築。その工法は現代に通じるものがあるという。