カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

V-Strom1000で行く日本[9]

投稿日:2015年11月4日

七ヶ宿街道を行く

2015年9月12日(福島一周)

 相馬からは本州横断ルートの国道113号を行く。V−ストローム1000を走らせて太平洋から日本海へ。国道6号のバイパスの交差点から国道113号に入っていったが、国道6号の旧道を横切り、常磐道の新地IC入口を通り、阿武隈山地の大沢峠(150m)を越える。大沢峠は福島・宮城県境の峠で、福島県から宮城県に入った。丸森で阿武隈川を渡り、国道349号に合流して角田へ。角田の町中で国道349号と分かれ、ゆるやかな名無しの峠を越えて白石へ。ここで国道4号を横切り、阿武隈川の支流の白石川に沿って山中に入っていく。小原温泉を過ぎたところで、奥州街道と並ぶ東北の二大街道の羽州街道に合流。宮城県内の羽州街道には上戸沢宿、下戸沢宿、渡瀬宿、関宿、滑津宿、峠田宿、湯原宿と7宿ある。そのため七ヶ宿街道ともいわれるのだが、そのうち渡瀬宿から先の5宿が国道113号沿いになる。

 白石川をせき止めた七ヶ宿ダムを過ぎると七ヶ宿町に入る。七ヶ宿町はまさに羽州街道の町。残念ながら渡瀬宿は七ヶ宿ダムの底に沈んでしまったが、道の駅「七ヶ宿」の一角にある郷土資料館「水と歴史の館」で渡瀬宿の写真や渡瀬宿を描いた絵画をみることができる。またここに展示されている七ヶ宿街道を行く参勤交代の精巧な模型は一見の価値がある。関宿は七ヶ宿町の中心で、町役場はここにある。次の滑津宿は七ヶ宿街道のハイライトといっていい。まずは街道沿いの手打ちそばの「吉野屋」で「もりそば」(700円)を食べた。この一帯はソバの名産地。ツルツルッとすするそばのうまさもさることながら、茅葺屋根の店構えには心ひかれるものがある。「吉野屋」の反対側には本陣の「安藤家」。茅葺屋根で軒唐破風の玄関は立派な造り。隣りの土蔵にも目を奪われた。滑津宿を過ぎた所に白石川の滑津大滝がある。駐車場にV−ストローム1000を止め、遊歩道を歩くと徒歩5分ほどで滑津大滝を見られる。高さは10メートルほどだが、幅は30メートル以上ある。羽州街道第一の名瀑といっていい。国道113号のすぐ脇にこれだけの大滝があるのが驚きだ。

 峠田宿、湯原宿と、七ヵ宿街道の7宿を過ぎると追分に出る。羽州街道はここを右折し、県道13号で奥羽山脈の金山峠を越える。その金山峠まで行ってみる。追分から間宿の干蒲宿までの直線路を走り、干蒲宿を過ぎると峠道を登っていく。道幅は狭くなり、昼でも暗い樹林の中を行く。標高629メートルの金山峠に到達。宮城・山形県境のこの峠には白石川の源となる「鏡清水」がある。江戸時代、弘前の津軽氏や久保田(秋田)の佐竹氏、鶴岡の酒井氏など奥羽13藩の大名行列がこの峠を越えた。そんな大名行列の姫たちが清水に顔を映して鏡がわりにしたところから「鏡清水」の名がある。金山峠を越えると陸奥から出羽に入っていく。金山峠はまさに奥羽を結びつける峠なのだ。

 金山峠で折り返し、国道113号に戻ると右折し、宮城・山形県境の二井宿峠に向かった。

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▲相馬から国道113号を行く

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▲福島・宮城県境の大沢峠

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▲阿武隈川にかかる丸森大橋

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▲阿武隈川の流れ

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▲白石に到着

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▲道の駅「七ヶ宿」

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▲道の駅「七ヶ宿」の産直売り場

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▲道の駅「七ヶ宿」の「水と歴史の館」

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▲滑津宿の「吉野屋」

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▲「吉野屋」の「もりそば」

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▲滑津宿の本陣

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▲滑津大滝

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▲宮城・山形県境の金山峠

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▲宮城・山形の二井宿峠

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