東北四端紀行[18]
投稿日:2017年2月26日
東端編 7 本州の最東端「とどヶ崎」へ
JR山田線の陸中山田駅前を出発し、東北東端の温泉をめぐる。国道45号を北へ。重茂半島一周の県道41号との分岐を過ぎ、国道45号でブナ峠を登っていく。まずは峠の手前で右に折れ、わずかに行ったところにある光山温泉の一軒宿「岳泉荘」(入浴料450円)の湯に入った。
つづいてブナ峠を越え、峠を下った豊間根で国道45号を右折し、長内温泉に行った。だが残念ながら廃業湯。その先の嶋田温泉「ニュー嶋田荘」の湯には入れた。ここではそのまま宿泊をお願いすると、「素泊まりなら」ということで泊めてもらえた。素泊まりなので食事はつかないが、何と女将さんは特製の「カレーライス」をつくったからといって持ってきてくれたのだ。ありがたい。ここでも東北人のやさしさを感じるのだった。
翌日はいったん山田まで戻り、そこから県道41号で重茂半島へ。カキやホタテの養殖の盛んな山田湾から入っていく重茂半島は、海に近いとは思えないほど山が深く険しい。まるで深山幽谷の地に足を踏み入れたかのようだ。
山田から20キロほど行った地点で県道41号を右折し、東北最東端の漁港、姉吉漁港に下っていく。漁港のすみにスズキDR−Z400Sを停め、東北最東端の岬、とどヶ崎までの4キロほどの山道を歩いていく。北緯39度32分39秒、東経142度04分35秒のとどヶ崎は東北最東端のみならず、本州最東端の岬にもなっている。
1時間ほど歩いてとどヶ崎に到着。岬の突端には高さ34メートルの東北一のノッポ灯台が立っている。断崖上には「本州最東端」の碑。目の前には島影ひとつなく、太平洋が果てしなくひろがっている。目を南に向けると、船越半島突端の小根ヶ崎がよく見える。
とどヶ崎から姉吉の漁港に戻ると、漁師さんの話を聞いた。
「9月に入ると天然コンブの採取で忙しくなるんだよ。きれいな飴色をした三陸のコンブは質がいい。とどヶ崎の名前通りで、以前はここまでトドがやってきた。だけど最近ではほとんど見かけなくなったな」
コンブといい、トドといい、東北最東端の海は、北の親潮の海だということを強く感じる。植生を見ても、ナラなどの落葉樹が岬を覆っている。
姉吉漁港をあとにすると、重茂半島一周の県道41号に戻り、半島北側の白浜峠から林道に入り、4キロのダートを走って月山(455m)の山頂まで行った。そこからは宮古の町並みと宮古港を一望のもとに見下ろせる。
白浜峠を下ると、宮古湾の湾岸に出る。宮古湾を見ながら走り、国道45号に合流する。JR山田線の津軽石駅のすぐ近くだ。国道45号で宮古方向に走り、国道の右側にある宮古湾温泉「MARS」に泊まった。湯から上がると生ビールをキューッと飲み干し、夕食の「海鮮丼」を食べるのだった。