カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

東北四端紀行[40]

投稿日:2017年4月13日

西端編 8 ますます東北に魅せられて

2009年9月10日~10月9日

加茂漁港を出発

加茂漁港を出発

湯野浜温泉の砂浜を歩く

湯野浜温泉の砂浜を歩く

羽州浜街道の浜中宿

羽州浜街道の浜中宿

最上川河口の砂浜を走る

最上川河口の砂浜を走る

国道112号の出羽大橋から見る最上川

国道112号の出羽大橋から見る最上川

 加茂漁港のある加茂から国道112号を行く。高層の温泉ホテルが建ち並ぶ湯野浜温泉は、東北の日本海では最大の温泉地。広々とした砂浜がここの魅力だ。

 いよいよ「東北四端紀行」のゴールが近ずいてきた。

 庄内空港の滑走路下のトンネルをくぐり抜け、羽州浜街道の浜中宿を走り抜け、ゴールの酒田へ。

 酒田到着の前に、最上川にかかる出羽大橋の手前で国道112号を左折し、最上川の河口まで行ってみる。河口周辺は広い砂浜。そこではサハラ砂漠の砂道を思わせるような砂の轍を走った。そして国道112号の出羽大橋で最上川を渡った。出羽大橋は最上川にかかる最下流の橋だ。

 出羽大橋で最上川を渡って酒田の町に入っていく。酒田港の「飛島航路」のターミナルビル前でDRを停め、そこを「東北四端紀行」のゴールにした。

 日本海に浮かぶ飛島は鼠ヶ関の弁天島とほぼ同じ経度上にある東北西端の島。1日2便、船が出ている。片道2040円。DRを乗せることができれば飛島に渡りたかったが、残念ながら人のみなので断念した。だが、ここはなつかしの地…。

「島めぐり日本一周」(2001年〜2002年)は50ccバイクのスズキSMX50でまわった。そのときは50ccバイクということで、飛島行きの船に乗せてもらえた。飛島航路の桟橋に立つと、あのときのシーンが無性になつかしく思い出されてくる。

飛島航路のターミナル飛島の案内図飛島航路の桟橋

飛島航路のターミナル 飛島の案内図 飛島航路の桟橋

「島めぐり日本一周」で飛島に渡ったのは2002年5月21日。9時30分発の「ニューとびしま」(223トン)にSMX50ともども乗り込んだ。300人乗りの双胴船で、この季節、平日は1日1便。酒田港から日本海に出ると、鳥海山が大きく見えた。

 11時、「ニューとびしま」は飛島南端の勝浦港に到着。SMX50が岸壁に降ろされると、さっそく島を走り出す。海沿いの道を行くと、鳥海山の残雪がはっきりと見えた。

 勝浦からは中村を通って法木へ。これら3つの集落はすべてが漁村で、3つの漁港がある。飛島は漁業の島だ。

 勝浦から法木までは4キロ。法木から飛島北端の八幡崎へ。自動車道の行止り地点にSMX50を止めると、遊歩道を歩いて展望台に立ち、うっそうとおい茂る樹木で覆われた岬を眺めた。展望台の周囲には目にも鮮やかな真紅のハマナスの花が咲いていた。

 展望台からさらに遊歩道を歩き、八幡崎まで行った。そこには八幡神社。錆びた鉄製の賽銭箱に賽銭を入れた。

 勝浦港に戻ると飛島南端の舘岩に登り、勝浦港を見下ろした。目の前の百合島はウミネコの生息地。無数のウミネコが鳴いていた。勝浦港近くの「西村食堂」で昼食。日替定食を食べたが、メバルの煮魚とホッケの煮つけが出た。食堂のおかみさんには「今度は夏に泊まりでいらっしゃい」といわれた。「ここではね、体験イカ釣りができるの。早朝の4時から6時ぐらいまで。これが好評なのよ」ということだった。これを最後に勝浦港から「ニューとびしま」で酒田港に戻ったのだ。

「さかた海鮮市場」

「さかた海鮮市場」

食事処「海鮮どんや とびしま」の「海鮮丼」

食事処「海鮮どんや とびしま」の「海鮮丼」

 飛島航路の桟橋に立ち、しばし飛島に想いを馳せたところで、飛島航路のターミナルビルに隣り合った「さかた海鮮市場」の2階にある食事処「海鮮どんや とびしま」へ。鮮度満点の「海鮮丼」(1050円)を食べると、それを最後に酒田を離れた。酒田ICで山形道に入り、東北道で東京へ。DRで高速道を走りながら満ち足りた気分になった。

 こうして東北の四端、東西南北端にこだわって東北をまわってみると、東北の大きさがよくわかるし、ますます東北に魅せられていく自分がよくわかった。「東北四端紀行」を終えてみると、東北がより愛おしく感じられてくるのだった。(了)

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