カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[7日目]

投稿日:2017年6月20日

1日10湯を初めて超えた

関東編 7日目(2006年11月7日)

 松ノ湯温泉「松渓館」の朝湯に入り、朝食を食べ、8時30分に出発。松ノ湯温泉「松渓館」の女将さんは、「1日にいくつもの温泉に入るだなんて、ほんとうに大変でしょ。お体には気をつけてくださいね」とやさしい言葉をかけてくれる。松ノ湯温泉には連泊するので、すごく楽な気分で走り出すことができた。ありがたいことにひと晩中降っていた雨も上がっている。

「さー、行くぞ!」
 とスズキGSR400にひと声かけて走り出す。

 第1湯目は松ノ湯温泉のすぐ近くにある川中温泉「かど半旅館」の湯。ここは「日本三大美人湯」のひとつとして知られている。豊かな自然に囲まれた露天風呂に入った。国道145号に出ると、名所の吾妻峡ではGSR400を止めて紅葉を眺めた。

 第2湯目は昨夜も行った川原湯温泉。ここでは共同浴場の「聖天様露天風呂」に入った。入浴時間は7時から19時。「吾八寿し」というすし屋の脇の階段を登ったところにある。入浴料の100円を料金箱に入れたが、以前は無料湯。源泉掛け流しで、源泉は80度くらいあるので熱い湯。ここでは年配の人と一緒になった。その人は北軽井沢に別荘を持っている。車でJR川原湯温泉駅まで来て車を駅前の駐車場に停め、高速バスで新宿まで行き、東京の本宅に帰るという。バスを待つ間は、いつもこうして「聖天様露天風呂」に入るという。「草津にも、こんないい湯はありませんよ」といっていた。露天風呂の上には聖天様がまつられている。「聖天様露天風呂」から上がると、川原湯郵便局で昨日の一時停止違反の罰金6000円を払い込んだ。

 第3湯目は横壁温泉「白岩の湯」。民家風の共同湯で、男湯と女湯に分かれている。若干、白濁した湯の色だ。

 横壁温泉からは国道406号で須賀尾峠を越える。峠周辺は紅葉の真っ盛り。目の覚めるような色鮮やかな紅葉だ。ここでは「峠返し」ではなく「峠越え」。須賀尾峠を越え、峠を下ったあたりが須賀尾。ここには浅間隠温泉郷の3湯がある。浅間隠山(1757m)の山裾にある温泉群だ。3湯とも一軒宿の温泉。そんな浅間隠温泉郷の3湯をめぐる。

 第4湯目は温川温泉「白雲荘」の湯。「目の湯」で知られ、洗眼用の湯が流れている。眼病にはことのほかよく効くとの定評のある温泉だ。

 第5湯目は鳩ノ湯温泉「三鳩楼」の湯。内風呂と露天風呂はともに白濁色の湯。湯治場の雰囲気を色濃く残した木造旅館の温泉だ。

 第6湯目は薬師温泉「旅籠」の湯。茅葺屋根の湯宿だ。浅間隠山温泉郷の3湯の中では一番、観光色が強い。長屋門をくぐって館内に入ると、エレベーターで下って露天風呂の「滝見の湯」に入る。湯から上がると昼食。「ざるそば」の大盛りを食べた。

 浅間隠山温泉郷からさらに国道406号を行き、国道406号沿いの4湯をめぐる。

 第7湯目は亀沢温泉「亀沢ログハウス温泉館」の湯。ここは「美人の湯」で知られている。広い湯船の内風呂と露天風呂。露天風呂には紅葉の落葉が浮かんでいた。風情のある温泉の光景。「美人の湯」だけあって、肌にやわらかな湯の感触。

 第8湯目は倉渕温泉「倉渕温泉旅館」。ここは一軒宿の温泉。総欅造りの内風呂と大露天風呂。湯は源泉掛け流し。ここの常連さんと「湯の中談義」をしたが、「このあたりでは一番の湯だね」と絶賛していた。

 第9湯目はくらぶち相間川温泉「せせらぎの湯」。ここの入浴料は700円なのだが、受付の女性は市民料金の300円でいいですよという。入浴時間が17時までなので、あまり時間がないからだという。ぼくはこれを称して「ギリギリ湯」といっているが、いろいろとドラマのある「ギリギリ湯」なのだ。内風呂と露天風呂に入ったが、黄土色の湯はしょっぱい味がする。湯を上がると、受付の女性にはよ〜くお礼をいった。

 第10湯目は相間川温泉「クライングルテン・ふれあい館」。旧倉渕村が造成した農園で、入園者が各人で管理する市民農園。ログハウスの宿泊施設もある。ここの湯は内風呂も露天風呂も塩分の濃い湯。内風呂は無色透明、露天風呂は黄土色の湯だった。

 国道406号沿いの4湯に入ると、夜の榛名山を越える。気温はガクッと下がり、ガタガタ震えながらGSR400を走らせた。

 第11湯目は榛名湖温泉「ゆうすげ」の湯。「展望風呂」にどっぷりつかり、冷えきった体をあたためた。草色の湯は無味無臭。「展望風呂」なのだが、残念ながら外は真っ暗で何もみえなかった。

 榛名湖温泉から伊香保温泉へと下っていく。伊香保温泉もかなりの高さだが、榛名山から下っていくと気温は上がり、あたたかさを感じる。このあたりがバイクの良さ。五感をフルに発揮して走るので、ちょっとした気温の変化も敏感に感じとれる。

 伊香保の温泉街に入っていくと、思わずなつかしさを感じてしまう。わずか2日前に泊まったというのに…。伊香保温泉からは吾妻川の河畔に下り、県道35号を走る。

 第12湯目は根古屋城温泉の日帰り湯「根古屋の湯」。ここの露天風呂は絶景湯なのだが、残念ながら暗くて何も見えない。湯から上がると、食堂で「激辛ラーメン」をライスつきで食べた。

 根古屋城温泉を出発したのは20時、松ノ湯温泉「松渓館」に到着したのは20時40分。すぐに宿の湯に入る。無色透明の温めの湯。湯量は膨大。湯は音をたてて湯船から流れ出ていく。「宿湯」は格別で長湯をした。すごくうれしい湯。この日は「日本一周」に出発してから7日目になるが、初めて1日で10湯を超えた。1日10湯のペースでないと、「300日3000湯」は達成できないからだ。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 松ノ湯温泉「松渓館」 
朝食 松ノ湯温泉「松渓館」 ご飯、納豆、目玉焼き、のり、塩ジャケ、オクラ、漬物、味噌汁
8時30分 松ノ湯温泉「松渓館」を出発
45湯目 川中温泉「かど半旅館」(0円)
※休業中にもかかわらず女将さんはタダで入れさせてくれた
46湯目 川原湯温泉「聖天様露天風呂」(100円)
47湯目 横壁温泉「白岩の湯」(300円)
須賀尾峠(峠越え)
48湯目 温川温泉「白雲荘」(500円)
49湯目 鳩ノ湯温泉「三鳩楼」(800円)
50湯目 薬師温泉「旅籠」(入場料&入浴料1200円)
昼食 「旅籠」 「大盛ざるそば」(880円)
51湯目 亀沢温泉「亀沢ログハウス温泉館」(400円)
52湯目 倉淵温泉「倉淵温泉旅館」(500円)
53湯目 くらぶち相間川温泉「せせらぎの湯」(300円)
※本来は700円なのだが、ギリギリの時間だったので市民料金
54湯目 相間川温泉「ふれあい館」(500円)
55湯目 榛名湖温泉「ゆうすげ」(400円)
56湯目 根古屋城温泉「根古屋の湯」(400円)
夕食 根古屋城温泉「根古屋の湯」 「激辛味噌ラーメン」(800円)&ライス(200円)
20時40分 松ノ湯温泉 「松渓館」(1泊朝食6150円)に到着
本日の走行距離数 135キロ
本日の温泉入浴数 12湯

松ノ湯温泉「松渓館」の朝食女将さんに見送られて松ノ湯温泉「松渓館」を出発松ノ湯温泉から川中温泉へ

▲松ノ湯温泉「松渓館」の朝食 ▲女将さんに見送られて松ノ湯温泉「松渓館」を出発 ▲松ノ湯温泉から川中温泉へ

川中温泉「かど半旅館」川中温泉「かど半旅館」の露天風呂に入る紅葉の吾妻峡

▲川中温泉「かど半旅館」 ▲川中温泉「かど半旅館」の露天風呂に入る ▲紅葉の吾妻峡

川原湯温泉の「聖天露天風呂」に入る川原湯温泉の「聖天露天風呂」から見る紅葉川原湯温泉の共同浴場「王湯」

▲川原湯温泉の「聖天露天風呂」に入る ▲川原湯温泉の「聖天露天風呂」から見る紅葉 ▲川原湯温泉の共同浴場「王湯」

横壁温泉「白岩の湯」横壁温泉「白岩の湯」に入る国道406号の須賀尾峠

▲横壁温泉「白岩の湯」 ▲横壁温泉「白岩の湯」に入る ▲国道406号の須賀尾峠

浅間隠温泉郷の道標温川温泉「白雲荘」温川温泉「白雲荘」の湯に入る

▲浅間隠温泉郷の道標 ▲温川温泉「白雲荘」 ▲温川温泉「白雲荘」の湯に入る

鳩ノ湯温泉「三鳩楼」鳩ノ湯温泉「三鳩楼」の湯薬師温泉「旅籠」の入口

▲鳩ノ湯温泉「三鳩楼」 ▲鳩ノ湯温泉「三鳩楼」の湯 ▲薬師温泉「旅籠」の入口

薬師温泉「旅籠」の湯薬師温泉「旅籠」の「大盛りざるそば」亀沢温泉「亀沢ログハウス温泉館」

▲薬師温泉「旅籠」の湯 ▲薬師温泉「旅籠」の「大盛りざるそば」 ▲亀沢温泉「亀沢ログハウス温泉館」

倉渕温泉「倉渕温泉旅館」倉渕温泉「倉渕温泉旅館」の露天風呂くらぶち相間川温泉「せせらぎの湯」

▲倉渕温泉「倉渕温泉旅館」 ▲倉渕温泉「倉渕温泉旅館」の露天風呂 ▲くらぶち相間川温泉「せせらぎの湯」

根古屋城温泉「根古屋の湯」の「激辛味噌ラーメン」松ノ湯温泉「松渓館」の宿湯に入る

▲根古屋城温泉「根古屋の湯」の「激辛味噌ラーメン」 ▲松ノ湯温泉「松渓館」の宿湯に入る  

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