カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[12日目]

投稿日:2017年6月29日

雪の川場温泉へ

関東編 12日目(2006年11月12日)

 大塚温泉「金井旅館」の朝湯に入り、ご飯、納豆、煮豆、ソーセージ、漬物、梅干、味噌汁の朝食を食べ、9時に出発。なんとも厳しい天気。ミゾレ混じりの雨が降っている。国道145号で沼田へ。中山峠では雪になった。国道沿いの電光掲示板は氷点下1度を表示している。沼田に下っていくと雪から冷たい雨に変わったが、もうこの夏用のグローブでは無理。沼田駅近くの「ワークマン」で防水用の手袋を買った。この手袋を使うと、クラッチ操作やハンドル操作の操作性が悪くなるが、もうそんなことはいってられない。

 沼田からは国道120号を行く。昨夜、通った道だ。沼田盆地を見下ろす椎坂峠を越えると雪になった。雪の温泉めぐり。「これからの冬の温泉めぐりのちょうどいい訓練だ」と強がりをいう。それにしても寒いよう…。電光掲示板では「金精峠は積雪のためチェーン必要」の表示。すれ違う車の屋根にはかなりの雪が積もっている。何ともラッキーだった。もう1日、遅かったら、坤六峠の「峠越え」はできなかっただろうし、金精峠の「峠返し」もできなかっただろう。

 名所、吹割の滝を見たあと、第1湯目の吹割温泉へ。日帰り湯「吹割温泉センター」の「龍宮の湯」に入る。すっかり雪に打ちのめされ、ヘロヘロ状態で内風呂の湯につかると、もうぐったり。寒さとの闘い、雪との闘いは体力をものすごく消耗するものだ。ここでは長湯したというよりも、湯から上がれなかった。

 やっとの思いで湯から上がると、大広間で昼食にする。大広間は団体さんでおおにぎわい。会社の温泉旅行のようで、すでに何本ものビールが空き、みなさん上機嫌。幹事さんは盛んにまわりの一般客のみなさんに気をつかって頭を下げている。「銀座の恋の物語」を皮切りに、団体さんはカラオケモードに突入。ぼくはそんな団体さんのカラオケを聞きながら、「醤油ラーメンライス」の昼食を食べるのだった。

 吹割の滝で折り返し、沼田方向に戻る。

 第2湯目は老神温泉「朝日ホテル」の湯。ここは高層の温泉ホテル。7階の大展望風呂「おおぞら」と10階の露天風呂「巳の湯」の湯に入る。無味無臭の湯だが、若干、草色がかった湯の色。

 第3湯目は南郷温泉「しゃくなげの湯」。県道62号沿いにある温泉施設だが、今日は日曜日ということもあって混み合っていた。内風呂と露天風呂の湯は、ともに濁り湯。ここは人気の温泉。外では地元産の野菜の即売をやっている。

 第4湯目は白沢高原温泉「望郷の湯」。ここの露天風呂は絶景湯。湯につかりながら「上毛三山」の赤城山を眺める。ここも南郷温泉「しゃくなげの湯」同様、日曜日ということで大混雑。

 次に国道120号から県道64号へ。背嶺峠を越える道で、峠を越えると、昨夜入った花咲温泉に出る。

 第5湯目は塩河原温泉の一軒宿「渓山荘」の湯。大岩を配した露天風呂は趣がある。内風呂は木枠の湯船と石の湯船。ここは温泉情緒あふれる温泉宿だ。

 第6湯目は川場温泉の日帰り湯「いこいの湯」。ここは弘法大師ゆかりの温泉。湯量は豊富でドーッと音をたてて湯が湯船に流れ込んでいる。湯は熱め。湯から上がると、大広間で夕食。「中華丼」を頼んだが、できるまでの3、4分、ぐっすりと眠った。大広間の客はぼく一人だったが、「中華丼のお客さま」の大きな声で飛び起きる。中華丼もうかまったが、ここの水のうまさも印象的。

 川場温泉を過ぎ、背嶺峠に向かっていくと、雪はいよいよ激しくなった。ヘルメットのシールドにこびりついた雪をはらいのけながら走る。怖い…。雪で前方が見えなくなると、シールドを上げ、裸眼で走った。雪がまるでガラスのように眼球に突き刺さってくる。それでも「行くぞ!」とスズキのGSR400を走らせる。

 第7湯目の小住温泉「湯郷小住温泉」の湯。湯量豊富な温泉で、内風呂は熱めの湯、屋根つきの大露天風呂は温めの湯。この「湯郷小住温泉」はあの「湯郷玉川」と同じ東日本温泉株式会社の経営する温泉施設だという。ほかにも何ヵ所かにあるらしい。

 第8湯目は武尊温泉「武尊の湯」。ここまで来ると、あたりは一面、雪で真っ白。石造りの湯船の内風呂であたたまったあと、露天風呂に入ろうと外に出ると身を切られるような冷気に耐えられず、あわてて内風呂に戻るのだった。

 武尊温泉を最後に沼田に戻る。とはいっても恐怖の下り坂。路面はシャーベット状の雪で覆われているので、一瞬でも気を抜くと転倒し、そのままツーッと滑ってしまう。沼田まで下ると、雪も雨も降っていなかった。すでに路面も乾いている。見上げる夜空は星空に変わっていた。ほぼ一日、雪に痛めつけられたが、そんな雪に「勝った!」という高揚した気分になった。

 第9湯目は沼田の地蔵温泉の日帰り湯「ゆに〜いく」の湯。内風呂、大露天風呂とも温めの湯だが、大露天風呂では長湯をする。温湯の長湯というのはすごくいい。湯から上がると、ストロベリーアイスを食べた。

 沼田の地蔵温泉の日帰り湯「ゆに〜いく」の湯から上がると国道17号で渋川へ。そして第5日目にも泊まった伊香保温泉の「白雲閣」に再度、泊まるのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 大塚温泉「金井旅館」
朝食 大塚温泉「金井旅館」 ご飯、納豆、煮豆、ソーセージ、漬物、梅干、味噌汁
9時 大塚温泉を出発
中山峠(峠越え)
椎坂峠(峠越え)
96湯目 吹割温泉「吹割温泉センター」の「龍宮の湯」(500円)
昼食 吹割温泉「吹割温泉センター」の「龍宮の湯」「醤油ラーメンライス」(750円)
97湯目 老神温泉「朝日ホテル」(1050円)
98湯目 南郷温泉「しゃくなげの湯」(550円)
椎坂峠(峠越え)
99湯目 白沢高原温泉「望郷の湯」(550円)
宮山温泉 民宿「休み石の湯」(入れず)
100湯目 塩河原温泉「渓山荘」(800円)
101湯目 川場温泉「いこいの湯」(300円)
夕食 「いこいの湯」 「中華丼」(500円)
102湯目 小住温泉「湯郷小住温泉」(500円)
103湯目 武尊温泉「武尊の湯」(1000円)
104湯目 地蔵温泉「ゆに〜いく」(680円)
21時45分 伊香保温泉「白雲閣」(1泊朝食6900円)
本日の走行距離数 148キロ
本日の温泉入浴数 9湯

大塚温泉「金井旅館」の朝食沼田駅前吹割の滝

大塚温泉「金井旅館」の朝食 沼田駅前 吹割の滝

吹割の滝の紅葉吹割温泉「吹割温泉センター」の「吹割の湯」『ツーリングマップル関東』でプラニング

吹割の滝の紅葉 吹割温泉「吹割温泉センター」の「吹割の湯」 『ツーリングマップル関東』でプラニング

「吹割の湯」の大広間はおおにぎわい「吹割の湯」の「醤油ラーメンライス」老神温泉「朝日ホテル」

「吹割の湯」の大広間はおおにぎわい 「吹割の湯」の「醤油ラーメンライス」 老神温泉「朝日ホテル」

老神温泉「朝日ホテル」の露天風呂老神温泉「朝日ホテル」の湯につかる南郷温泉「しゃくなげの湯」

老神温泉「朝日ホテル」の露天風呂 老神温泉「朝日ホテル」の湯につかる 南郷温泉「しゃくなげの湯」

白沢高原温泉「望郷の湯」白沢高原温泉「望郷の湯」からの眺め川場温泉「いこいの湯」

白沢高原温泉「望郷の湯」 白沢高原温泉「望郷の湯」からの眺め 川場温泉「いこいの湯」

川場温泉「いこいの湯」の「中華丼」今晩の宿湯、伊香保温泉「白雲閣」の湯につかる

川場温泉「いこいの湯」の「中華丼」 今晩の宿湯、伊香保温泉「白雲閣」の湯につかる  

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