カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[29日目]

投稿日:2017年7月25日

廃業湯の連続に心が沈む

甲信編 5日目(2006年12月5日)

 雨畑温泉「ヴィラ雨畑」で迎えた朝は強烈な寒さ。あたり一面、霜で真っ白だ。今年一番の寒さで氷点下5度まで下がったという。

 いつものようにまずは朝湯に入る。この朝湯の気持ちよさといったらない。硯の里の雨畑だけあって、大浴場の湯も「すず里の湯」。熱めの湯と温めの湯、2つの湯船に交互につかる。湯から上がると朝食。塩ジャケ、玉子焼き、納豆、ぜんまい煮物、のり、漬物、ご飯、味噌汁の朝食のあと8時30分に出発だ。「さー、寒さに負けないで行こう!」と相棒のスズキST250にひと声かけて走り出す。

 国道52号に出ると、一気に静岡県境まで南下。県境の甲駿橋で折り返し、国道52号を北上しながら山梨県内の温泉をめぐっていく。

 第1湯目は万沢温泉「別草旅館」の湯。内風呂のみで、小さ目な湯船に入る。湯につかりながら窓の外のミニ庭園を見る。今日は何しろ強烈な寒さなので、この第1湯目のありがたさをしみじみと実感する。寒さに痛めつけられた体が湯につかった瞬間に蘇る。温泉はほんとうにありがたい。ここからは真っ白な富士山を見る。

 第2湯目は佐野川温泉。大浴場と大露天風呂。内風呂に入ったあと露天風呂に入ったが、この寒さだと露天風呂の湯は温すぎて入っていられない。逃げるようにして内風呂の湯につかった。湯から上がり、佐野川温泉を出る頃には、寒さも幾分やわらいできた。

 国道52号の道の駅「とみざわ」から山中の奥山温泉へ。その途中にある富河温泉は廃業湯。奥山温泉も「本日、休業」で入れなかった。道の駅「とみざわ」に戻ると、富士川を渡ってJR身延線の内船駅へ。このあたりが南部町の中心。南部といえば、東北・南部藩の南部氏発祥の地で知られている。

 第3湯目は南部温泉の日帰り湯「なんぶの湯」。富士川の近くにある温泉施設。広々とした大浴場には自分一人、露 天風呂にも自分一人で、「なんぶの湯」を独り占めにした。湯から上がるとレストランで昼食。手打ちそばの「ざるそば」と「おにぎり」を食べた。

 南部の中心街からJR身延線の線路を渡り、狭路を走って山中に入り、内船温泉へ。ここには「喜遊荘」と「寿楽荘」の2軒の温泉宿があるが、ともに廃業湯で入れなかった。

 第4湯目は十枚荘温泉。南部の中心街から富士川を渡り、国道52号を横切り、剣抜大洞林道の入口まで行ったところに十枚荘温泉の「十枚荘」がある。湯船は舟の形をしている。湯船というのは江戸時代、船内に浴槽を設け、料金をとって入浴させた船のことで、移動式の銭湯のようなもの。浴槽を意味する湯船はそこからきている。ということで十枚荘の湯船はまさに湯船なのである。

 次の船山温泉の一軒宿「船山温泉」は入浴のみは不可で入れなかった。

 国道52号に戻ると北上し、南部町から身延町へ。国道沿いの相又峡温泉「相又荘」は廃業湯で入れず。入れない温泉が続出する。

 第5湯目は安倍峠下の湯口温泉「門野の湯」。ここは地元のお年寄りたちでにぎわっていた。湯につかりながら地元のみなさんの世間話を聞いていた。

 第6湯目は日蓮宗の大本山、久遠寺門前の身延温泉。「身延温泉」の湯から上がり、門前町を走り抜けたところにあるガソリンスタンドで給油したが、「こんなに寒いので、バイクでは大変だね」といわれた。その方はぼくのハスラー50での日本一周&世界一周の本を読んでくれたとのことで、その影響でゴリラで日本一周をしたという。

 つづいて第8湯目の塩沢温泉の湯に入った。民家の湯をもらうような感じで、かわいらしい家庭用のような湯船につかった。

 身延から国道52号を北上し、県道37号で昨日の早川町に戻った。

 第7湯目は昨日は定休日で入れなかった草塩温泉。石造りの2つの湯船。若干の色つき湯。ここには何度も入っているのでなつかしの湯。湯から上がると、近くの「いこい食堂」で夕食の「焼肉定食」を食べた。

 国道52号の交差点に戻ると、国道52号を横切り、国道300号に入っていく。富士川を渡ったところで右折し、県道9号を南下。さんざん探し回って第9湯目の塩之沢温泉の湯に入た。ここも家庭用バスといった小さな湯船だ。

 国道300号に戻ると、「信玄の隠し湯」で知られる甲州の名湯、下部温泉へ。ひと晩の宿を確保すると、国道300号で本栖峠に向かい、夜の温泉めぐりをする。ところが以前、泊まったこともある常葉温泉に行くと廃業湯、国道から右手に入ったところにある神名温泉に行くとまたしても廃業湯。今日だけで5湯もの廃業湯に胸が痛くなってくる。

 第10湯目の下部温泉に戻ったのは21時30分。温泉街の中心部にある「涌仙閣」に泊まった。大きな湯船は熱めの湯と温めの湯に分かれているが、温めの湯での長湯が気持ちいい。1時間以上もつかり、湯から上がると、部屋の冷蔵庫のビールをキューッと飲み干した。つづいて2本目…。廃業湯で胸を痛めたあとなので、飲まずにはいられない心境だった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 雨畑温泉「ヴィラ雨畑」
朝食 雨畑温泉「ヴィラ雨畑」 塩ジャケ、玉子焼き、納豆、ぜんまい煮物、のり、漬物、ご飯、味噌汁
8時30分 雨畑温泉「ヴィラ雨畑」を出発
山梨・静岡県境の甲駿橋(折り返し)
242湯目 万沢温泉「別草旅館」(500円)
243湯目 佐野川温泉「佐野川温泉」(550円)
富河温泉(廃業湯)
奥山温泉(定休日)
244湯目 南部温泉「なんぶの湯」(500円)
昼食 「なんぶの湯」 「ざるそば」(600円)、「おにぎり」(250円)
内船温泉(廃業湯)
245湯目 十枚荘温泉「十枚荘」(500円)
船山温泉(入浴のみ不可)
相又峡温泉(廃業湯)
246湯目 湯口温泉「門野の湯」(400円)
247湯目 身延温泉「身延温泉」(600円)
248湯目 塩沢温泉「塩沢温泉」(500円)
249湯目 草塩温泉「草塩温泉」(500円)
夕食 早川沿いの「いこい食堂」 「焼肉定食」(750円)
250湯目 塩之沢温泉「塩之沢温泉」(500円)
常葉温泉(廃業湯)
神名温泉(廃業湯)
21時30分 下部温泉「涌仙閣」(1泊朝食10000円)
251湯目 下部温泉「涌仙閣」
本日の走行距離数 184キロ
本日の温泉入浴数 10湯

雨畑温泉「ヴィラ雨畑」国道52号の山梨・静岡県境万沢温泉「別草旅館」

雨畑温泉「ヴィラ雨畑」 国道52号の山梨・静岡県境 万沢温泉「別草旅館」

万沢温泉「別草旅館」の湯佐野川温泉佐野川温泉の露天風呂

万沢温泉「別草旅館」の湯 佐野川温泉 佐野川温泉の露天風呂

佐野川温泉に近いJR身延線の十島駅南部温泉「なんぶの湯」南部温泉「なんぶの湯」の「ざるそば」

佐野川温泉に近いJR身延線の十島駅 南部温泉「なんぶの湯」 南部温泉「なんぶの湯」の「ざるそば」

内船温泉「喜遊荘」は廃業湯十枚荘温泉に向かっていく十枚山(1728m)が大きく見える

内船温泉「喜遊荘」は廃業湯 十枚荘温泉に向かっていく 十枚山(1728m)が大きく見える

十枚荘温泉十枚荘温泉の舟形の湯船船山温泉

十枚荘温泉 十枚荘温泉の舟形の湯船 船山温泉

相又峡温泉「相又荘」は廃業湯身延山に入っていく身延温泉

相又峡温泉「相又荘」は廃業湯 身延山に入っていく 身延温泉

身延温泉の湯塩沢温泉「いこい食堂」の「焼肉定食」

身延温泉の湯 塩沢温泉 「いこい食堂」の「焼肉定食」

塩之沢温泉の湯下部温泉「涌仙閣」の湯

塩之沢温泉の湯 下部温泉「涌仙閣」の湯  

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