温泉めぐり日本一周[56日目]
投稿日:2017年10月17日
1日15湯の記録達成
新湯田中温泉「旅館やすらぎ」ではいつものように4時前に起き、前日の第55日目の原稿を書き、送信した。熱っぽさはとれ、鉛をひきずるようなだるさもなくなり、体はずいぶんと楽になっている。
地獄のような思いをした一夜だったが、「眠り」の効果は絶大で、眠ることによって体は元に戻った。同行の桑原さんはずいぶんと心配してくれ、「カソリさん、きっとインフルエンザですよ。薬を飲んだほうがいい」といってくれたが、大の薬嫌いのぼくは薬も飲まず、医者にも行かなかった。それがよかったのだ。
朝湯につかりながら、桑原さんには「人間の記憶形状装置って、すごいものなんですよ。病気になったり、怪我したとき、元に戻そうとする強い力が働く。へたに薬なんか飲むと、そういった人間本来の持っている力が弱まってしまうんですよ」と、わかったようなことをいう。
それはともかくとして、「カソリさんは今日は絶対に無理だな」といっていた桑原さんは、ぼくの元気を取り戻した顔を見て驚いた顔をする。
湯から上がるとアジの干物やシラスおろし、アサリの佃煮、青菜のおひたし、のり、梅干といった朝食を食べる。桑原さんはいつものように3杯飯を食べているが、病み上がりのカソリは1膳のご飯を食べるのがやっとだった。それでもご飯を食べられたので、ふらつく足にすこしは力が入るようだった。
新湯田中温泉を出発し、第1湯目の角間温泉へ。ここでは共同浴場の「大湯」に入ったが、入浴料金の300円を近くの店で払い、木の鍵を借りて中に入る仕組み。湯から上がると店に鍵を返し、国道292号で志賀高原へと登っていく。志賀高原の温泉めぐりの開始だ。
登るにつれて雪が多くなる。日陰のコーナーはアイスバーン。何度もツルッ、ツルッと滑り、あやうく転倒しそうになった。それでもなんとか志賀山温泉への道との分岐点までは登れた。そこでドクターストップならぬ「桑原ストップ」がかかった。仕方ない…。ジェベルを雪原に置き、ここからは桑原さんの車に乗って志賀高原の温泉をめぐることにした。桑原さんはぼくの体をも心配してくれたのだ。それにしても車は楽。外は氷点下何度という寒さなのに、車内は常夏のようなあたたかさ。冬用のウエアを脱ぎ、インナーのフリースも脱いだ。桑原さんには「カソリさん、なかなかいいでしょ〜」と何度もいわれ、そのたびに「いいですよ、とっても!」というしかなかった。
第2湯目は志賀山温泉「ホテル渓谷」の湯。スキー場の目の前の温泉だ。
第3湯目は発哺温泉。ここでは「薬師の湯」、「リバティー志賀」とまわったが入れず、「サンシャイン志賀」の湯に入れた。女将さんに「女湯の方に入ってください」といわれ、女湯の内風呂と露天風呂に入った。男湯の方は清掃中のようだ。
第4湯目は高天ヶ原温泉。標高1650メートルの高地の温泉で、高天ヶ原スキー場を目の前にする。高天ヶ原神社があるが、その境内が源泉だという。ここでは「ホテルサニー志賀」の湯に入った。明るい広々とした浴室。湯につかりながら志賀高原の雪景色を眺めた。
これら3湯の温泉に入ったところで国道292号に戻り、長野・群馬県境の渋峠の方向に向かっていく。
第5湯目は木戸池温泉「木戸池温泉ホテル」の湯。源泉掛け流しで、湯の感触がさらりとしている。
第6湯目は石の湯温泉「石の湯ロッジ」の湯。思わず「おーっ」と声が出てしまったほどの「雪見の湯」。温室内の湯につかりながら、大画面の雪景色を見ているかのようだ。無色透明の湯はやわらかな感触。
第7湯目は熊の湯温泉「熊の湯ホテル」の湯。内風呂は木の湯船。湯の香がぷ〜んと鼻をつく。「いかにも温泉!」という湯だ。ここの湯は内風呂も露天風呂もきれいな緑色をしている。とくに露天風呂の色鮮やかな緑色は目に残った。
第8湯目はほたる温泉では「志賀プリンスホテル」、「志賀パレスホテル」、「一乗荘ホテル」とまわったが入れず。やっと「硯川ホテル」の湯に入れた。白濁した硫黄泉。ここで折り返し、第9湯目の幕岩温泉「ビワ池ホテル」の湯に入り、ジェベルを置いた雪原に戻った。
時間は16時15分。まだ日は沈んでいない。すぐさま国道292号を下っていく。恐怖の下り。下手にブレーキをかけようものなら、その瞬間にツーーーッと滑って転倒してしまう。上手くギアをチェンジしながら下ったが、もうヒヤヒヤもの。幸いにも転倒することなく志賀高原を下り、路面に雪や氷が見られなくなったときは「助かった!」と思わず声が出た。
最後は渋・湯田中温泉郷の温泉めぐり。
第10湯目は上林温泉「せきや」の湯。品のある温泉宿で、内風呂の湯につかった。
第11湯目はみやま温泉「わくわくの湯」。ここは自動改札口のクアハウス。500円を入れると中に入れるようになっている。ここの露天風呂は風情がある。湯から上がるとリンゴジュースをキューッと飲み干したが、体の調子はだいぶよくなっている。次の沓野温泉には何ヵ所かに共同浴場があるが、すべて鍵がかかっていてはいれなかった。
第12湯目は渋温泉。ここでは共同浴場「大湯」の前のみやげもの店のおばちゃんにお願いすると、鍵をあけてくれた。ありがたい。このあたりでは、温泉地を代表する共同浴場を「大湯」といっているが、渋温泉の「大湯」はいい。濁り湯の熱い湯につかった。
第13湯目は安代温泉「安代館」の湯。木の湯船。熱い湯で、木の板で湯もみをして入った。塩分を含んだ湯。
第14湯目の星川温泉「星川館」の湯に入り、今晩の宿、箱山温泉「元湯箱山温泉」に到着したのは20時30分。一軒宿の「元湯箱山温泉」は日帰り湯がメインだが、宿泊もできる。食堂のオーダーストップは20時30分なので、間一髪で間に合った。ということで先に「刺身定食」の夕食を食べ、そのあとで第15湯目の「宿湯」に入った。
1日15湯というのは、今回の「温泉めぐり日本一周」では最多。湯につかりながら桑原さんとガッチリ握手をかわした。おかげで体調も戻り、24時間前の「青菜に塩」状態の自分とはエライ違いだ。
それにしても箱山温泉の湯はいい。濁り湯で源泉そのまんま。名湯の集まる渋・湯田中温泉郷と志賀高原の温泉群をめぐってきたが、それらに負けず劣らずの湯。湯から上がると桑原さんと「1日15湯」に乾杯するのだった。
朝湯 | 新湯田中温泉「旅館やすらぎ」 |
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朝食 | 新湯田中温泉「旅館やすらぎ」 ご飯、味噌汁、焼き魚、生卵、シラスおろし、のり、アサリの佃煮、漬物 |
9時00分 | 新湯田中温泉「旅館やすらぎ」 出発 |
477湯目 | 角間温泉「大湯」(300円) |
478湯目 | 志賀山温泉「ホテル渓谷」(600円) |
479湯目 | 発哺温泉「サンシャイン志賀」(500円) |
480湯目 | 高天ヶ原温泉「ホテルサニー志賀」(500円) |
481湯目 | 木戸池温泉「木戸池温泉ホテル」(500円) |
482湯目 | 石の湯温泉「石の湯ロッジ」(500円) |
483湯目 | 熊の湯温泉「熊の湯温泉ホテル」(1000円) |
484湯目 | ほたる温泉「硯川ホテル」(800円) |
485湯目 | 幕岩温泉「ビワ池ホテル」(500円) |
486湯目 | 上林温泉「せきや」(500円) |
487湯目 | みやま温泉「わくわくの湯」(500円) |
沓野温泉 入れず | |
488湯目 | 渋温泉「大湯」※みやげもの店のオバチャンが鍵をあけてくれた |
489湯目 | 安代温泉「安代館」(500円) |
490湯目 | 星川温泉「星川館」(500円) |
20時30分 | 箱山温泉「元湯箱山温泉」(1泊2食5100円) |
491湯目 | 箱山温泉「元湯箱山温泉」 |
夕食 | 箱山温泉「元湯箱山温泉」 「刺身定食」 |
本日の走行距離数 71キロ | |
本日の温泉入浴数 15湯 |
新湯田中温泉「旅館やすらぎ」の朝湯に入る | 「旅館やすらぎ」の朝食を食べる | 「旅館やすらぎ」の女将さんとしばしの談笑 |
「旅館やすらぎ」の朝食 | 「旅館やすらぎ」を出発 | 角間温泉の共同浴場「大湯」 |
共同浴場「大湯」の鍵を開ける | 共同浴場「大湯」の鍵 | 共同浴場「大湯」に入る |
志賀高原の雪道を登っていく | 志賀山温泉「ホテル渓谷」 | 「ホテル渓谷」前のスキー場 |
「ホテル渓谷」の湯に入る | 発哺温泉「サンシャイン志賀」 | 「サンシャイン志賀」では女湯に入る |
「サンシャイン志賀」女湯の大浴場 | 「サンシャイン志賀」からの眺め | 高天ヶ原温泉「ホテルサニー志賀」 |
「ホテルサニー志賀」前のスキー場 | 「ホテルサニー志賀」の湯 | 木戸池温泉「木戸池温泉ホテル」 |
石の湯温泉「石の湯ロッジ」 | 「石の湯ロッジ」から見る雪景色 | 「石の湯ロッジ」の湯 |
熊の湯温泉「熊の湯温泉ホテル」 | 「熊の湯温泉ホテル」の大浴場 | 「熊の湯温泉ホテル」の露天風呂 |
ほたる温泉「硯川ホテル」 | 「硯川ホテル」の湯 | 幕岩温泉 |
幕岩温泉「ビワ池ホテル」の湯 | 上林温泉の温泉旅館「せきや」 | 温泉旅館「せきや」の湯に入る |
渋温泉の共同浴場「大湯」 | 安代温泉「安代館」 | 「安代館」の浴室はこちらです |