カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[64日目]

投稿日:2017年11月21日

久しぶりに朝湯に入れず

本州西部編 15日目(2007年1月24日)

 毎朝、7時30分朝湯、8時朝食、9時出発というパターンがつづいていたが、青井谷温泉「おぐら館」では朝湯に入れなかった。泊り客はぼく一人のようで、一人だけのためには湯を沸かしてはいられないのだろう。原油高騰のご時勢では仕方ないか…。温泉宿の経営はどこも大変なのだ。ということで朝湯が朝寝に変わり、朝食までの30分間、ぐっすりと眠った。

 ご飯、味噌汁、目玉焼き、塩ジャケ、ウド、のり、漬物という朝食を食べ、9時、青井谷温泉を出発。

 第1湯目は山田温泉「玄猿楼」の湯。広い湯船。湯につかりながら熱心に年金を論じ合っている2人の話を聞いた。年金をもらえる人はいいが、年金とは縁のないカソリは一瞬、不安がよぎる。「まあ、いいか。明日は明日の風が吹くさ」と自分で自分に言い聞かせて湯を上がった。

 第2湯目は牛岳温泉「牛岳温泉健康センター」の湯。ここの入口には「牛岳温泉の開湯」と題して、開湯までのいきさつが書かれている。次の寺尾温泉の一軒宿「寺尾温泉」は入浴不可。

 第3湯目は湯来楽温泉「湯来楽」の湯。大浴場と露天風呂。赤褐色の湯で、深さ1250メートルの深さまで掘った大深度温泉。湯から上がると大広間で昼食。「かき揚げ丼」を食べたが、ジャンボかき揚げで、丼からはみ出すような大きさだ。

 砺波からは庄川に沿って南下し、庄川温泉郷の温泉めぐりを開始する。

 水神温泉の一軒宿は廃業湯で入れず。

 第4湯目は庄川清流温泉「やまぶき荘」の湯。かわいらしい湯船。浴室からは庄川の流れを見下す。次の弁天温泉の一軒宿「弁天温泉」はまだ湯を沸かしていないということで入れなかった。

 第5湯目は雄神温泉の旅館「川金」。ここは見るからに「入浴のみは無理だな…」と思わせるような上宿だったが、だめもとで入浴を頼んだらOK。こういうときはうれしいものだ。午後の温泉宿には誰もいない。そんな上宿の大浴場と露天風呂の湯に自分一人、ゆったり気分で入った。次の庄川温泉の一軒宿「ゆめつづり」は入浴のみは不可。赤岩温泉の一軒宿は廃業湯。

 第6湯目は薬師温泉「庄永閣」の湯。庄川温泉郷では入れない温泉がつづいているのでホッとした気分。湯船には薬師像がまつられている。

 第7湯目は三楽園温泉の旅館「三楽園」。ここは「鳥越えの湯」で知られている。庄川温泉郷には7湯あるが、そのうち入れたのは4湯だった。

 庄川温泉郷から国道156号を南下し、庄川の谷間に入っていく。天気は崩れ、ザーザー音をたてて雨が降ってくる。

 第8湯目は湯谷温泉の「湯谷亭」。ここは食事とのセットで予約を入れた人しか入れないが、「今日は客もいないのでどうぞ」と若い人が湯屋の鍵をあけてくれた。そのおかげで木の湯船につかれた。

 湯谷温泉からが問題だった。庄川沿いに国道156号を南下していくつもりだったが、宿がとれない…。新大牧温泉の「かんぽの宿」は廃業、五箇山温泉の国民宿舎は休業。それではと岐阜県平瀬温泉の何軒かの温泉宿に電話したが、宿はとれなかった。おまけにこの雨が雪に変わる心配もあった。夜の雪道を走るのだけは避けたかった。そこで急きょ、「南」から「北」へと進路を変更。国道156号で砺波から高岡に向かった。

 第9湯目の高岡岩坪温泉の温泉銭湯「凧」に入った。

「凧」の湯から上がったのは20時50分。それからの宿探し。高岡や氷見周辺の温泉宿に電話したが、(この時間では当然のことだが)どこも宿はとれない。温泉宿を諦め、高岡のビジネスホテルに泊ろうと思ったが、「これが最後」と電話した宮島温泉「滝乃荘」に宿がとれたのだ。カソリの執念が勝った!

 すぐさま石川県との県境に近い宮島温泉へ。「滝乃荘」に到着したは21時30分。すぐさま第10湯目の「宿湯」につかり、冷え切った体をあたためた。

 それにしても旅はおもしろい。

 もし岐阜県の平瀬温泉に宿がとれていれば、「今ごろは白川郷の雪中ナイトランだったな」とそう思うと、心底よかったと思えるし、笑いがこみあげてくる。「一寸先は闇」、いやいや「一寸先はまったくわからない」からこそ、旅はおもしろいのだと思うカソリ。「南」から「北」への予定大変更を喜ぶのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝食 青井谷温泉「おぐら館」 ご飯、味噌汁、目玉焼き、塩ジャケ、ウド、のり、漬物
9時 青井谷温泉「おぐら館」を出発
音川温泉 廃業湯
558湯目 山田温泉「玄猿楼」(600円)
559湯目 牛岳温泉「牛岳温泉健康センター」(600円)
寺尾温泉 入浴のみは不可
560湯目 湯来楽温泉「湯来楽」(800円)
昼食 湯来楽温泉「湯来楽」「かき揚丼」(650円)
水神温泉 廃業湯
561湯目 庄川清流温泉「やまぶき荘」(500円)
弁天温泉 入れず
562湯目 雄神温泉「川金」(700円)
庄川温泉 入浴のみは不可
赤岩温泉 廃業湯
563湯目 薬師温泉「庄永閣」(800円)
564湯目 三楽園温泉「三楽園」(700円)
565湯目 湯谷温泉「湯谷亭」※好意で入れさせてもらった
566湯目 高岡岩坪温泉「凧」(370円)
21時30分 宮島温泉「滝乃荘」(1泊朝食7500円)
567湯目 宮島温泉「滝乃荘」
夕食 コンビニ弁当
本日の走行距離数 145キロ
本日の温泉入浴数 10湯

青井谷温泉「おぐら館」の朝食「おぐら館」を出発山田温泉「玄猿楼」

青井谷温泉「おぐら館」の朝食 「おぐら館」を出発 山田温泉「玄猿楼」

牛岳温泉「牛岳温泉健康センター」「牛岳温泉健康センター」の開湯碑寺尾温泉の一軒宿「寺尾温泉」は入浴のみ不可

牛岳温泉「牛岳温泉健康センター」 「牛岳温泉健康センター」の開湯碑 寺尾温泉の一軒宿「寺尾温泉」は入浴のみ不可

湯来楽温泉「湯来楽」「湯来楽」の「かき揚丼」砺波平野から南の山並みを眺める

湯来楽温泉「湯来楽」 「湯来楽」の「かき揚丼」 砺波平野から南の山並みを眺める

雄神温泉「川金」「川金」の大浴場「川金」の露天風呂に入る

雄神温泉「川金」 「川金」の大浴場 「川金」の露天風呂に入る

薬師温泉「庄永閣」三楽園温泉「三楽園」高岡岩坪温泉「凧」

薬師温泉「庄永閣」 三楽園温泉「三楽園」 高岡岩坪温泉「凧」

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