温泉めぐり日本一周[72日目]
投稿日:2018年1月16日
暴風雪と暴風雨のすさまじい一日
木場温泉の「湖山荘」は朝湯なし。朝湯が大好きなカソリにとってはちょっと残念。
ご飯、味噌汁、目玉焼き、鶏のから揚げ、ブリの照り焼き、ヒジキ、サラダ、漬物といった朝食を食べ、8時30分に木場温泉を出発。朝から雪。スズキDJEBEL250XCに降り積もった雪をはらいのけて走り出す。
まずは近くの木場潟の湖畔に立った。まさに冬の北陸といった風景。北西の季節風で湖面は波立ち、垂れ込めた鉛色の雪雲に覆われている。暴風雪の様相で、横なぐりの風にのって雪が舞っている。
第1湯目は粟津温泉。白山開山の祖、泰澄大師によって発見されたという北陸最古の歴史を誇る温泉だ。風格のある温泉宿が建ち並んでいる。ここでは温泉街の中心にある「総湯」に入った。雪に痛めつけられたあとだけにありがたい。体は芯まで冷え切っているので、掛け湯しても、湯船につかったときは「アチチチチ」と火傷しそうなほどの熱さに感じてしまう。
ところがそのときは、ほんとうに熱かったようだ。
毎日、入りにきているという常連さんが「熱くて入れないよ」と、番台のおばちゃんに文句をいっている。おばちゃんは「おかしいわね。朝、計ったときはちょうどよかったのに」といいながら、すぐさま湯温を計る。すると44度ある。いつもより1、2度高いという。この1、2度の差が常連さんにとっては不満なのだ。
このように温泉を管理するのは大変なことで、いつも適温に保たなくてはならない。ちなみに湯温にうるさいのは男性ではなく、女性の入浴客だという。男性客は温くても熱くても我慢して入るが、女性客ははっきりと「今日は温い」とか「今日は熱い」といいにくるという。
第2湯目は片山津温泉。国道8号よりも山側の粟津温泉は暴風雪だったが、海側の片山津温泉では暴風雨に変わった。ここでも「総湯」に入った。
「総湯」の入口では金沢から来たパン屋さんが店開き。おばちゃんたちがドドドッと集まり、次々とパンを買っていく。おばちゃんたちは誰もがパワフルでエネルギッシュ。それだからこそ長生きするのだろう。それにひきかえ男どもは…。
男たちは休憩室で「あそこが悪い、ここが悪い」で、まるで体の悪さ自慢をしているようなものだ。おばちゃんたちのように、「おいしそうなパンがある!」といって、目の色を変えて飛び出すようなことはしない。片山津温泉の「総湯」で目にしたささいなことで、男と女の生命力の違いを感じるのだった。
第3湯目の加賀橋立温泉へ。日本海の海岸に出ると、雨は上がった。そのかわりさらに風が強くなり、暴風が吹きまくっている。めまぐるしく天気が変わる冬の北陸。断崖が海に落ち、荒波が岩壁にぶち当り、白く砕け散る加佐ノ岬の風景を眺め、そのあと加賀橋立温泉の一軒宿「ゆもと」の湯に入った。源泉は62度という高温湯。ここも「旅館部」と「総湯部」から成っている。加賀というのはこのように温泉銭湯の「総湯」が発達しているところ。温泉好きにはたまらない。
加賀市の中心、大聖寺に出ると、そこから山代温泉→別所温泉→山中温泉と3湯をめぐる。
第4湯目の山代温泉は加賀屈指の大温泉地。ここでは総湯「山代温泉浴殿」に入る。浴室内には湯気がもうもうとたちこめている。2つの大きな円形の湯船が大浴場をより広く見せている。
第5湯目の別所温泉では温泉銭湯の「別所温泉」に入る。大浴場と露天風呂の湯につかったが、源泉は42度、飲泉可の温泉だ。
第6湯目の山中温泉まで行くと、雪は一気に激しくなり、吹雪の様相。路面も真っ白になる。雪と寒さに打ちのめされた。ここでは総湯「菊の湯」に入ったが、深い湯船に立ち湯でつかり、かろうじて体勢を整え直すことができた。
山中温泉を最後に、石川県から福井県に入る。一瞬だが、日が差してきた。これで「雪地獄ともお別れだ!」とよろこんだが、甘かった…。
第7湯目は福井県内では最大の温泉地、芦原温泉。温泉街の中心にある日帰り湯「セントピアあわら」の湯に入った。2階の「天の湯」が今日の男湯。明るい広々とした浴室。大浴場のほかに小さめの露天風呂もある。無色透明の熱めの湯。地階の「地の湯」が今日の女湯で、男湯と女湯は入れ替えをしている。
第8湯目は三国温泉の日帰り湯「ゆあぽ〜と」。ここは九頭竜川の河口に面している。堤防で日本海と隔てられた九頭竜川は穏やかだが、すぐ右隣りの日本海は牙をむいて荒れ狂い、真っ白な大波が次々と砂浜に押し寄せている。「ゆあぽ〜と」の大浴場の湯につかりながらそんな冬の日本海を眺めるのだった。
第9湯目は佐野温泉。天気は回復し、すっかり暗くなった夜空には月が出ている。日帰り湯「佐野温泉」の湯に入る。ここの大浴場は湯気がもうもうとたちこめ、人の顔も判別できないほど。飲泉可。内風呂と露天風呂に入り、40分ほどで出る。そのわずか40分で天気は急変し、激しく雪が降っている。あたりは一面、雪で真っ白。その雪も国道305号に出るころにはやみ、何事もなかったかのように月が出ている。あまりにもコロコロと変わる天気に翻弄される。
国道305号で越前岬へ。猛烈な風との戦いの連続。その間では何度となく天気が崩れ、そのたびに雪が降ってくる。
第10湯目の越前水仙の里温泉の日帰り湯「波の華」に入り、21時30分、越前玉川温泉の「玉川ビューホテル」に到着。ここが今晩の宿。5階の展望大浴場に入ったが、外は真っ暗で何も見えない。それにしてもすさまじい一日。ほとんど一日中、暴風雪と暴風雨に見舞われ、徹底的に痛めつけられた。
朝食 | 木場温泉「湖山荘」 ご飯、味噌汁、目玉焼き、鶏のから揚げ、ブリの照り焼き、ヒジキ、サラダ、漬物、味噌汁 |
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8時30分 | 木場温泉「湖山荘」を出発 |
643湯目 | 粟津温泉「総湯」(350円) |
644湯目 | 片山津温泉「総湯」(370円) |
645湯目 | 加賀橋立温泉「ゆもと」(370円) |
646湯目 | 山代温泉「総湯」(370円) |
647湯目 | 別所温泉「別所温泉」(370円) |
昼食 | 「サークルK」 「コンビニ弁当」 |
648湯目 | 山中温泉「菊の湯」(370円) |
福井県に入る | |
649湯目 | 芦原温泉「セントピアあわら」(500円) |
650湯目 | 三国温泉「ゆあぽ〜と」(500円) |
651湯目 | 佐野温泉「佐野温泉」(600円) |
652湯目 | 越前水仙の里温泉「波の華」(400円) |
夕食 | レストラン「305」 「オムライス」(620円) |
21時 | 越前玉川温泉「玉川ビューホテル」(1泊朝食10650円) |
653湯目 | 越前玉川温泉「玉川ビューホテル」 |
本日の走行距離数 138キロ | |
本日の温泉入浴数 11湯 |
木場温泉「湖山荘」の朝食 | 「湖山荘」を出発 | 廃業湯のだるま温泉にもう一度、行ってみる |
粟津温泉の「総湯」 | 片山津温泉の「総湯」 | 日本海に出る |
荒波が岩壁にぶち当り、砕け散る加佐ノ岬の風景 | 加賀橋立温泉「ゆもと」 | 山代温泉の「総湯」 |
別所温泉「別所温泉」 | 山中温泉「菊の湯」 | 国道305号で福井県に入る |
芦原温泉「セントピアあわら」 | 三国温泉「ゆあぽ〜と」 | 「ゆあぽ〜と」から見る日本海 |
佐野温泉「佐野温泉」 | レストラン「305」の「オムライス」 |