カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[75日目]

投稿日:2018年1月28日

山陰海岸、ここより始まる

本州西部編 26日目(2007年2月4日)

 木津温泉「ゑびすや」の朝湯に入り、そのあと朝食。大広間での朝食は豪勢なもの。金塗りの大鉢には干物やちくわ、ちりめん、凍み豆腐、玉子焼き、レンコン、サツマイモがのっている。それに湯豆腐や刺身コンニャク、サラダなどがついている。湯豆腐は昆布でしっかりとダシをとっている。そんな大広間での朝食を竹林の庭園を見ながら食べた。

 木津温泉「ゑびすや」を出発。国道178号を行く。

 第1湯目は久美浜温泉。「湯元館」の露天風呂に入ったが、朝からおおにぎわい。湯につかりながら3人組の温泉談義を聞いている。関西の温泉を「ああだ、こうだ」といっているのだが、湯につかりながら耳にする「湯の中温泉情報」は貴重だ。

 県道11号で京都・兵庫境の三原峠を越え、第2湯目の城崎温泉へ。ここでは城崎駅前の「さとの湯」に入った。ここは関西の日本海側では最大の温泉地。駅周辺では大勢の観光客が見られた。閑古鳥が鳴くような温泉地が増えている中で、城崎温泉の活況はひときわ目を引いた。

 城崎温泉から円山川の河口へ。

 第3湯目は円山川温泉の日帰り湯「円山川温泉」。にごり湯でかなり塩分が濃い。露天風呂はより塩分が濃くなる。この円山川温泉の塩分の濃い湯に入っても、手の「あかぎれ」はそれほど痛まなかった。前日のぽかぽか陽気のおかげなのだ。「あかぎれ」は気温1度の違いによって、痛みもずいぶんと違ってくる。

 今日は立春。暦の上だけでなく、薄らいだ「あかぎれ」の痛みで冬が終わり、春がやってきたことを実感するのだった。

「松葉ガニ」の水揚げ港で知られる日和山の津居山港を見たあと、日本海の海岸線を行く。

 山陰海岸、ここより始まる。

 断崖上のワインディングロードを走り、第4湯目、竹野温泉「北前館」内の日帰り湯「遊湯館」の湯に入った。内風呂の湯につかりながら目の前に広がる日本海を眺めた。竹野は北前船の寄港地で、「北前館」には北前船の模型が展示されている。

 湯から上がると、館内のレストランで昼食。「お造り定食」を食べた。マグロ、カンパチ、イカ、甘エビ、サザエの刺身は鮮度抜群でうまかった!

 竹野温泉ではうれしい出会いが待っていた。

 ホンダのビッグバイク、バラデロに乗って、八田さんが西宮から駆けつけてきてくれた。このあとの1湯をつきあってくれるという。

 八田さんのバラデロとカソリのジェベルで山陰海岸を行く。

 朝のうちは雲が垂れ込めていたが、竹野温泉を出るころには真っ青な空が広がっている。青い海と青い空。それほど寒くもなく、絶好のツーリング日和。「今日が今年、最初のツーリングなんですよ」という八田さんも喜んでいる。

 第5湯目はかすみ矢田川温泉の日帰り湯「かすみ矢田川温泉」。露天風呂の湯につかりながら、八田さんとの「湯の中談義」。

「昨年は仕事に追われ、ほとんどツーリングにも行けなかったけど、今年はこうしてカソリさんにも会えたんで、あちこちまわってみたいです」
 という八田さんは、「露天風呂って、ほんとうにいいですねえ。湯につかりながらいい空気を吸って、目の前のいい風景を眺めて、湯の中で思いっきり体を伸ばして」と、存分に温泉を楽しんでいる様子。湯から上がると、八田さんの差し入れの「リポビタンD」で乾杯。ここで八田さんと別れた。

 香住から国道178号を行く。

 第6湯目は七釜温泉「ゆ〜らく館」の湯。内風呂と露天風呂。緑っぽい色をした湯で無味無臭。

 第7湯目は浜坂温泉「ユートピア浜坂」。無色透明の湯で、若干のミネラル分の味がする。ここは地元のみなさんの社交場といったところで、湯につかりながらみなさんの会話を聞いている。さすが浜坂、漁の話が飛び交う。

 浜坂温泉を過ぎると、兵庫・鳥取の県境を越える。関西から中国に入った。ここで『ツーリングマップル』を「関西編」から「中国・四国編」に変えた。

 第8湯目の砂丘温泉が中国地方の最初の温泉。日帰り湯「ふれあい会館」の湯に入る。浴室に入った瞬間、思わず「スゲー!」の声が出る。夕日に照らされた日本海が目の前いっぱいに広がっている。総ガラス張りの内風呂の湯につかりながら真っ赤に染まった日本海を眺めた。

 砂丘温泉の湯から上がると、鳥取砂丘に急いだ。

「間に合った!」

 ちょうど大きな夕日が砂丘の向こうに沈んでいくところだった。

 鳥取到着は17時40分。ここからは鳥取周辺の温泉をめぐる。

 第9湯目は湯谷温泉の日帰り湯「湯谷荘」。小さ目な浴室と小さ目な湯船。地元のひとたちでにぎわっている。こじんまりとした温泉だが、休憩用の大広間はしっかりとある。

 第10湯目は船岡温泉の日帰り湯「船岡美人湯」。美人湯の名前通りのツルツル湯だ。

 鳥取の市内にに戻ると、第11湯目の鳥取温泉の温泉銭湯「元湯温泉」に入った。円形の湯船。ここでは小さな子供連れのお父さんと一緒になる。子供は歓声を上げて湯船でばしゃばしゃ泳いでいるが知らんぷり。ぼくも見て見ぬふりをしている。年配の入浴客の人はしかめっ面をしていたが、結局、最後まで何もいわなかった。

 第12湯目、鳥取近郊の吉岡温泉に到着したのは21時30分。何軒かの宿のある温泉地なので、きっと開いている店があるだろう、そこで夕食にしようと思ったのだが、読みが外れた。

「鳥取でコンビニ弁当でも買っておけばよかった」と後悔しても、もう遅い…。

「加藤商店」という小さな店からはカーテン越しに明かりが見えるので、無理をいって店を開けてもらい、「カップヌードル」と焼きそばの「UFO」、それと「ポテトチップス」を買うことができた。それを持って、今晩の宿の「あづまや旅館」へ。

 宿湯から上がるとポテトチップスをつまみにビールを飲み、そのあとで「カップヌードル」と「UFO」を食べた。困ったのは箸…。箸がないのだ。何かないかと探した末に、歯ブラシの柄を使うことにした。1本箸で食べる「カップヌードル」と「UFO」も悪くはなかった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝食 木津温泉「ゑびすや」 ご飯、、味噌汁、湯豆腐、コンニャクの刺身、干物、チクワ、玉子焼き、凍み豆腐、レンコン、チリメン、きんぴら、サラダ
9時 木津温泉「ゑびすや」を出発
671湯目 久美浜温泉「湯元館」(400円)
三原峠 峠越え
兵庫県に入る
飯谷峠 峠越え
672湯目 城崎温泉「さとの湯」(800円)
673湯目 円山川温泉「円山川温泉」(500円)
674湯目 竹野温泉「北前館」(400円)
昼食 「北前館」 「お造り定食」(2000円)
「八田さん」との出会い
675湯目 かすみ矢田川温泉「かすみ矢田川温泉」(500円)
「八田さん」との別れ
香住温泉には入れず
676湯目 七釜温泉「ゆ〜らく館」(500円)
677湯目 浜坂温泉「ユートピア浜坂」(300円)
鳥取県に入る
678湯目 砂丘温泉「ふれあい会館」(500円)
679湯目 湯谷温泉「湯谷荘」(300円)
680湯目 船岡温泉「船岡美人温泉」(500円)
681湯目 鳥取温泉「元湯温泉」(350円)
21時 吉岡温泉「あづまや旅館」(1泊朝食6330円)
682湯目 吉岡温泉「あづまや旅館」
夕食 「インスタント焼きそば」、「カップヌードル」
本日の走行距離数 188キロ
本日の温泉入浴数 12湯

木津温泉「ゑびすや」の朝湯に入る「ゑびすや」の朝食「ゑびすや」を出発

木津温泉「ゑびすや」の朝湯に入る 「ゑびすや」の朝食 「ゑびすや」を出発

久美浜温泉「湯元館」湖のような久美浜湾三原峠を越えて兵庫県に入る

久美浜温泉「湯元館」 湖のような久美浜湾 三原峠を越えて兵庫県に入る

城崎温泉の「外湯めぐり」の案内板城崎温泉「さとの湯」円山川温泉の「円山川温泉」

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円山川の眺め円山川河口の日本海の海岸線竹野温泉「北前館」。1階は北前船の資料館

円山川の眺め 円山川河口の日本海の海岸線 竹野温泉「北前館」。1階は北前船の資料館

北前船の航路図北前船の模型竹野温泉「北前館」の大浴場

北前船の航路図 北前船の模型 竹野温泉「北前館」の大浴場

「北前館」の「お造り定食」「北前館」での八田さんとの出会いかすみ矢田川温泉の「かすみ矢田川温泉」

「北前館」の「お造り定食」 「北前館」での八田さんとの出会い かすみ矢田川温泉の「かすみ矢田川温泉」

香住温泉「さだ助」。ここには入れず七釜温泉「ゆ〜らく館」浜坂温泉「ユートピア浜坂」

香住温泉「さだ助」。ここには入れず 七釜温泉「ゆ〜らく館」 浜坂温泉「ユートピア浜坂」

国道178号から見る日本海国道178号の兵庫・鳥取県境鳥取砂丘に落ちる夕日

国道178号から見る日本海 国道178号の兵庫・鳥取県境 鳥取砂丘に落ちる夕日

湯谷温泉「湯谷荘」船岡温泉「船岡美人温泉」鳥取温泉「元湯温泉」

湯谷温泉「湯谷荘」 船岡温泉「船岡美人温泉」 鳥取温泉「元湯温泉」

これが夕食。食べられてよかった!

これが夕食。食べられてよかった!    

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