カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[191日目]

投稿日:2019年5月9日

「日本一」の温泉がつづく

本州東部編 17日目(2007年7月6日)

「休暇村田沢湖高原」の朝湯に入る。露天風呂はブナ林の湯。いろいろな鳥がやってくる。そのたびに鳥が大好きな若林さんは目の色を変える。鳥の鳴き声もうまい。鳥以上!?

 朝湯から上がり、バイキングの朝食を食べ、7時45分に出発。

「休暇村田沢湖高原」は乳頭温泉郷の温泉めぐりには最適の拠点。

 第1湯目は孫六温泉。混浴の「石の湯」に入ったあと、渓流わきの混浴の露天風呂に入る。無色透明の湯につかりながら聞くせせらぎが何とも耳に心地よい。

 第2湯目の黒湯温泉では混浴の内風呂と露天風呂に入った。木の湯船。黒湯とはいっても白濁湯。この2湯が乳頭山から流れ出る先達川最上流部の温泉になる。

「休暇村田沢湖高原」に戻ると、次に妙ノ湯温泉、大釜温泉、蟹場温泉の3湯へ。

 第3湯目の蟹場温泉では混浴大露天風呂に入る。宿から50メートルほど歩いた森の中の湯。無色透明の湯だ。湯船のすぐわきが源泉で、ポコポコ音をたてて高温の湯が噴出している。

 第4湯目は大釜温泉。内風呂、露天風呂ともににごり湯。内風呂は熱めの湯、露天風呂はそれよりは温めの湯。

 第5湯目は妙乃湯温泉。ここでは渓流わきの混浴露天風呂に入った。大露天風呂はにごり湯(硫酸塩泉)、小さめな湯船は無色透明の湯(単純温泉)。

 これらの3湯の温泉に入ると再度、「休暇村田沢湖高原」に戻った。

 乳頭温泉郷の最後は第6湯目の鶴の湯温泉だ。

 鶴の湯温泉では混浴大露天風呂に入った。白濁湯。目のさめるような湯の白さだ。ぼくはここ以上の白濁湯に入ったことはない。ということで、鶴ノ湯温泉は日本一の「白濁湯」ということにしておこう。大露天風呂の岩底からはブクブク、ブクブクッと湯が湧き出ている。こうして乳頭温泉郷の6湯に入り、「休暇村田沢湖高原」に戻ってきた。ここまでの走行距離は17キロ。わずか17キロ間でこれだけの温泉に入れるのだ。

「休暇村田沢湖高原」を出発。下っていく途中で第7湯目、田沢湖高原温泉の日帰り湯「アルパこまくさ」の湯に入る。ここは以前、国民宿舎「駒草荘」のあったところで、その跡地にできた温泉施設。大浴場と内風呂。露天風呂は絶景湯。湯につかりながら田沢湖を見下ろした。

 国道341号に出ると北へ。八幡平の温泉群に突入する。

 第8湯目は新玉川温泉。大浴場の源泉100%の湯につかり、コップ1杯(200ml)の湯を一気に飲んだ。甘酸っぱい金属質の味。その衝撃のすごさに、「ヒェー!」と声を上げ、思わず飛び上がった。飲泉して飛び上がったのは、温泉めぐりをはじめて初めての経験。新玉川温泉の湯は間違いなく日本一の「濃ゆ〜い湯」だ。湯から上がっても、肌にはいつまでも、ピリピリチクチク感が残った。「飲泉」の注意書をあらためて読むと、2倍に薄めた源泉をさらに5〜8倍に薄めて飲むようにとあった。さらに1日の許容量は20mlとあった。ということはぼくは源泉のまま200mlを薄めずに一気に飲んだので、通常の許容量の100倍以上も飲んだことになる。これでは飛び上がるはずだ。

 第9湯目は玉川温泉。ここは日本一の強酸性の湯で、1ヵ所の源泉としては日本一の湧出量。この一帯には「日本一」の温泉がつづくのだ。「玉川温泉自然研究路」の遊歩道を歩き、「大噴」を見る。これが毎分9000リットルという日本一の湧出量を誇る源泉で、PH1.2という日本一の強酸性の湯だ。それも98度という高温湯。その硫黄泉の流れを樋で流し、「湯の花」を採取する湯畑もある。遊歩道を歩いた奥には混浴の露天風呂(無料湯)がある。岩盤浴をしている大勢の人たちを見ながら露天風呂の湯につかった。

 国道341号をさらに北へ。大場谷地峠を越える。アスピーテラインとの分岐の手前にはかつて赤川温泉と澄川温泉の2湯があったが、ともに大土石流に流されて消滅した。

 そのうちの赤川温泉には何度か泊まった。混浴の湯治宿で、男女が仲良く湯につかる温泉だった。木の湯船、木の洗い場がまだ目に残っている。ぼくはこの赤川温泉で「混浴」のすごさを教えられた。同じ炊事場で料理をつくり、1日に何度となく同じ湯につかっていると、見ず知らずの男女が急速に親近感を増していく。それとともに、みるみるうちに元気になっていく。それはまるで目の前でミラクルを見るかのようだった。

「男の元気の源は女、女の元気の源は男!」

 赤川温泉はそれを教えてくれたのだ。

 もうひとつの澄川温泉には、まるで池のような広さの大露天風呂があった。この大露天風呂も混浴の湯だった。自然災害とはいえ、消えた赤川温泉、澄川温泉の2湯はなんとも惜しい温泉だ。

 第10湯目は銭川温泉。渓谷の一軒宿「銭川温泉」の湯に入る。湯量豊富な(この一帯はどこもそうだが)温泉で、湯は湯船から音をたててあふれ出し、流れ出ていく。若林さんはそれを見て、「おー、ザブザブ級!」といっている。なるほど。湯がザブザブと音をたてて流れ出ているからだ。きつい新玉川温泉、玉川温泉の湯に入ったあとの銭川温泉のおとなしい湯はありがたかった。

 国道341号からアスピーテラインに入り、秋田・岩手県境の見返峠に向かっていく。

 第11湯目は大沼温泉。森の中の露天風呂は大沼を眺める絶景湯。熱めの湯、温めの湯、2つの湯船がある。湯から上がると、昼食の「カレーライス」を食べた。

 第12湯目は後生掛温泉。ここは温泉のデパートのようなところで、何種もの湯船がある。大浴場はにごり湯。泥湯や天然蒸気の蒸し風呂もある。

 第13湯目は大深温泉。若干の白濁した湯。木の湯船。ここには泊まったことがあるが、湯治棟は天然蒸気を使ったオンドルで、寒いときでも毛布一枚で寝られた。

 第14湯目は蒸ノ湯温泉。ここでは混浴の大露天風呂に入った。「男用」、「女用」もあるが、「混浴」が一番大きな湯船。周囲の山肌からは勢いよく蒸気がたちのぼっている。

 見返峠を越えて秋田県から岩手県に入り、秋田八幡平から岩手八幡平へ。

 第15湯目は藤七温泉「彩雲荘」の湯。ここは標高1400メートルで東北の最高所温泉になる。周囲には夏でも残雪が見られた。ここでは混浴の内風呂と露天風呂に入った。

 藤七温泉の湯から上がると、アスピーテラインを下っていく。その途中の御在所温泉は廃業湯。

 八幡平を下ったところで第16湯目の松川温泉へ。「松川荘」の男女別の内風呂と混浴の露天風呂に入った。白濁の湯。

 第17湯目は東八幡平温泉の日帰り湯「森乃湯」。第18湯目は国道282号に近い西根温泉の大規模な温泉施設「ゲンデルランド」。大浴場と露天風呂。露天風呂からは夕日を浴びた岩手山が正面に見えた。ここが若林さんと一緒に入る最後の温泉になった。昨日、今日と若林さんとは30湯の温泉に入った。そんな若林さんと西根温泉に近い東北道の西根ICで別れた。

 西根ICの先で国道282号を右折し、第19湯目の岩手焼走り温泉へ。「いこいの村岩手」の湯に入る。大浴場からは夕暮れの岩手山を眺めた。湯から上がったところで、「さー、どうしようか」と迷う。このまま盛岡周辺の温泉をめぐり、盛岡周辺の温泉宿に泊まれば20湯を突破し、21湯か22湯、もしくは23湯になる。新記録だ。

 だが若林さんと別れたら、すぐに一関に戻る予定にしていたので、さんざん考えた末に新記録よりも明日の方を優先した。

 一関に近い厳美渓温泉にねらいをつけ、「渓泉閣」に電話すると一発で宿がとれた。

 西根ICに戻り、夜の東北道を突っ走る。途中、前沢SAで夕食。「南部はっと」を食べた。ちまきつき。一関ICで東北道を降り、厳美渓温泉へ。「渓泉閣」に到着したのは21時30分。すぐさま第20湯目の「宿湯」に入る。黒っぽい湯。これで九州につづき、東北でも「1日20湯」を達成した。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 乳頭温泉「休暇村田沢湖高原」
朝食 乳頭温泉「休暇村田沢湖高原」 ご飯、味噌汁、サラダ、半熟卵、湯豆腐、ソーセージ、シシャモ、シューマイ、モヤシ、揚げ物、漬物
7時45分 乳頭温泉「休暇村田沢湖高原」を出発
1924湯目 孫六温泉「孫六温泉」(400円)
1925湯目 黒湯温泉「黒湯温泉」(500円)
1926湯目 蟹場温泉「蟹場温泉」(500円)
1927湯目 大釜温泉「大釜温泉」(500円)
1928湯目 妙乃湯温泉「妙乃湯温泉」(1000円)
1929湯目 鶴の湯温泉「鶴の湯温泉」(500円)
1930湯目 田沢湖高原温泉「アルパこまくさ」(500円)
南玉川温泉(休業中)
新鳩ノ湯温泉(休業中)
1931湯目 新玉川温泉「新玉川温泉」(600円)
1932湯目 玉川温泉「露天風呂」(無料)
大場谷地峠(峠越え)
赤川温泉(廃業湯)
澄川温泉(廃業湯)
トロコ温泉(廃業湯)
1933湯目 銭川温泉「銭川温泉」(400円)
1934湯目 大沼温泉「大沼温泉」(400円)
昼食 大沼温泉「大沼温泉」の「カレーライス」(650円)
1935湯目 後生掛温泉「後生掛温泉」(400円)
1936湯目 大深温泉「大深温泉」(450円)
1937湯目 蒸ノ湯温泉「蒸ノ湯温泉」(500円)
見返峠(峠越え)
岩手県に入る
1938湯目 藤七温泉「彩雲荘」(500円)
御在所温泉(廃業湯)
1939湯目 松川温泉「松川荘」(500円)
1940湯目 東八幡平温泉「森乃湯」(500円)
1941湯目 西根温泉「ゲンデルランド」(680円)
1942湯目 岩手山焼走り温泉「いこいの村岩手」(500円)
夕食 前沢SA 南部はっと(500円)
21時30分 巌美渓温泉「渓泉閣」(1泊朝食8550円)
1943湯目 巌美渓温泉「渓泉閣」
本日の走行距離数 293キロ
本日の温泉入浴数 20湯

乳頭温泉「休暇村田沢湖高原」の朝湯に入る「休暇村田沢湖高原」の朝食孫六温泉「孫六温泉」

乳頭温泉「休暇村田沢湖高原」の朝湯に入る 「休暇村田沢湖高原」の朝食 孫六温泉「孫六温泉」

黒湯温泉「黒湯温泉」の湯に入る蟹場温泉「蟹場温泉」「蟹場温泉」の露天風呂に入る

黒湯温泉「黒湯温泉」の湯に入る 蟹場温泉「蟹場温泉」 「蟹場温泉」の露天風呂に入る

大釜温泉「大釜温泉」の露天風呂に入る妙乃湯温泉「妙乃湯温泉」「妙乃湯温泉」の露天風呂に入る

大釜温泉「大釜温泉」の露天風呂に入る 妙乃湯温泉「妙乃湯温泉」 「妙乃湯温泉」の露天風呂に入る

鶴の湯温泉「鶴の湯温泉」「鶴の湯温泉」の露天風呂に入る田沢湖高原温泉「アルパこまくさ」

鶴の湯温泉「鶴の湯温泉」 「鶴の湯温泉」の露天風呂に入る 田沢湖高原温泉「アルパこまくさ」

「アルパこまくさ」の露天風呂に入る新玉川温泉の前に立つ若林さん玉川温泉の湯畑

「アルパこまくさ」の露天風呂に入る 新玉川温泉の前に立つ若林さん 玉川温泉の湯畑

玉川温泉の露天風呂に入る銭川温泉「銭川温泉」「銭川温泉」の湯

玉川温泉の露天風呂に入る 銭川温泉「銭川温泉」 「銭川温泉」の湯

大沼温泉「大沼温泉」の露天風呂に入る「大沼温泉」の「カレーライス」大深温泉「大深温泉」の湯

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蒸ノ湯温泉「蒸ノ湯温泉」の露天風呂秋田・岩手県境の見返峠に到達!藤七温泉「彩雲荘」の湯

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西根温泉「ゲンデルランド」東北道・前沢SAの「南部はっと」と「ちまき」

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