カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[218日目]

投稿日:2019年8月2日

炎熱地獄の温泉めぐり

本州東部編 44日目(2007年8月2日)

 山形温泉「蔵王荘」の朝湯に入る。熱めの濁り湯。飲泉可で、コップ1杯の湯をキューッと飲み干した。湯から上がるとご飯、味噌汁、焼魚、納豆、サラダ、ゴボウ、ナス、漬物の朝食を食べ、8時50分に出発。

 梅雨が明けたとたん、朝から猛烈な暑さ。気温はすでに30度を超えている。その暑さから逃げるように蔵王の刈田峠を目指す。山形・宮城県境の刈田峠の「峠返し」だ。

 第1湯目は蔵王温泉「下湯共同浴場」の湯。木の湯船、木の洗い場。プーンと硫黄の臭いが鼻をつく。強酸性硫黄泉の白濁湯。湯には刺すような強い金属質の味がする。

 第2湯目は山形うわの温泉「天神乃湯」。屋根つきの露天風呂に入る。木の湯船と石の湯船はともに濁り湯。蔵王山麓の濃い緑を眺めながら湯につかる。「ミーンミーンミーン」と蝉の声。強い蔵王温泉の湯のあとだけに、ここの無味無臭のやわらかな湯には救われる。絶好の湯直しの湯だ。

 国道13号に下った。山形盆地はむせ返るような暑さ。まさに炎熱地獄。その中をDR−Z400Sで走る。

 第3湯目は黒沢温泉「ウェルハートピア山形」の湯。5階の展望風呂に入る。湯につかりながら真正面に連なる蔵王の山並みを眺めた。

 第4湯目は百目鬼温泉「百目鬼温泉」の湯。大浴場と露天風呂はともに濁り湯で、かなり濃い味がする。高濃度の温泉なので、「長湯しないようにして下さい!」と書かれた貼り紙がしてある。ここからは水田越しに山形の市街地を見る。その向こうには蔵王の山並みが連なっている。

 第5湯目は山辺温泉「山辺温泉保養センター」の湯。大浴場と露天風呂。塩分を含んだ茶色っぽい湯の色。湯から上がると、体には若干のべたつき感が残った。

 第6湯目は上山温泉の共同浴場「下大湯公衆浴場」の湯。時間帯によってはかなり混みあう下大湯だが、がら〜んとして入浴客はほかには誰もいなかった。みなさん、この暑さにまいって、温泉どころではないようだ。大浴場の大風呂に入る。熱い湯にどっぷりつかる。湯から上がると、もう腰が抜けたかのような状態で、ふらつく足で近くの「清来軒」へ。昼食の「冷やしラーメン」を食べて生き返るのだった。

 第7湯目は河崎温泉「ふじや旅館」の湯。ここは大浴場の内風呂のみ。無色透明の湯。浴室からは庭園を見る。

 第8湯目は葉山温泉の共同浴場「葉山公衆浴場」の湯。小さな湯船の無色透明の湯につかる。浴室からの蔵王の眺めがすごくいい。

 上山から赤湯へ。

 第9湯目はハイジア温泉「ハイジアパーク」の湯。ここの大浴場と大露天風呂はともに「あっ!」と驚くような広さ。浴室からは赤湯から米沢へとつづく米沢盆地を一望する。

 第10湯目は宮内温泉「宮内温泉本館」の湯。ここは小さめな内風呂のみ。仕事を終えた長期滞在者のみなさんで混みあっていた。女将さんに「泊まっていきなさい。部屋は用意するから」といわれてその気になったが、時間はまだ夜の7時前。「もう少し、夜の温泉をめぐります」といって宮内温泉を出た。

 第11湯目の赤湯温泉へ。この時間になると、やっと炎熱地獄もおさまった。ここでは共同浴場の「とわの湯」に入る。ほぼ正方形の湯船が浴室の中央にある。そんな湯船を囲んで入浴客のみなさんはドテーッとしている。聞こえてくる会話は「今日は暑かった!」と、もっぱら猛暑の話題。そんな会話を聞きながら熱めの湯につかった。

 赤湯から米沢へ。その途中では高畠の温泉に入っていく。

 第12湯目はまほろば湯温泉の日帰り湯「温もりの湯」。到着したのは19時45分。入口の券売機には「本日の受付は終了しました」の貼紙。それを見て、受付の年配の人に「あのー、すぐに出ますので、入らせてもらえませんか…」と聞いた。このような場合、普通は「もう終わりだよ」のひと言で追い返されてしまう。ところがここは違っていた。「8時に終了ですが、8時5分までに上がってくれればいいですよ」とまでいってくれた。さっそく湯につかる。すでに浴室には誰もいない。内風呂の無色透明の湯につかり、ジャスト8時に湯から上がった。

 お礼をいって出ようとすると、その方は深々と頭を下げ、「ゆっくりしてもらえなくて、ほんとうに申し訳なかったですね」といって、玄関で見送ってくれたのだ。胸が熱くなる。ぼくは東北人の真髄を見たような気がした。

 第13湯目は高畠駅舎温泉「太陽館」の湯。JR高畠駅の改札口のわきが温泉入口。大浴場の内風呂のみ。露天風呂は水風呂だった。高畠駅近くの「セブンイレブン」で夕食のおにぎりを食べ、米沢に向かった。

 国道13号で米沢に着くと、今晩の宿、小野川温泉へ。共同浴場「尼湯」前の温泉旅館「亀屋万年閣」に到着したのは21時05分。古風さを今に残すような温泉宿。こうして第14湯目の「宿湯」に入った。湯につかりながら、炎熱地獄の中の温泉めぐりでよくぞ体がもったと感謝した。それにしても辛い1日。真冬の温泉めぐりがしきりと思い出されてならなかった。極寒地獄と炎熱地獄、どちらの方がより大変だったかの判定を下すのは難しい。どっちもどっちだ。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 山形温泉「蔵王荘」
朝食 山形温泉「蔵王荘」 ご飯、味噌汁、焼魚、納豆、サラダ、ゴボウ、ナス、漬物
8時50分 山形温泉「蔵王荘」を出発
刈田峠(峠返し)
2312湯目 蔵王温泉「下湯共同浴場」(200円)
2313湯目 山形うわの温泉「天神乃湯」(300円)
2314湯目 黒沢温泉「ウェルハートピア山形」(400円)
龍王温泉(休業中)
2315湯目 百目鬼温泉「百目鬼温泉」(300円)
2316湯目 山辺温泉「山辺温泉保養センター」(300円)
2317湯目 上山温泉「下大湯公衆浴場」(100円)
昼食 上山温泉の「清来軒」 冷やしラーメン(650円)
2318湯目 河崎温泉「ふじや旅館」(300円)
2319湯目 葉山温泉「葉山公衆浴場」(100円)
高松温泉(入浴のみ不可)
中山温泉(休業中)
2320湯目 ハイジア温泉「ハイジアパーク」(700円)
2321湯目 宮内温泉「宮内温泉本館」(300円)
2322湯目 赤湯温泉「とわの湯」(100円)
2323湯目 まほろば温泉「温もりの湯」(300円)
2324湯目 高畠駅舎温泉「太陽館」(300円)
夕食 高畠駅近くの「セブンイレブン」 おにぎり
21時 小野川温泉「亀屋万年閣」(1泊朝食6600円)
2325湯目 小野川温泉「亀屋万年閣」
本日の走行距離数 195キロ
本日の温泉入浴数 14湯

山形温泉「蔵王荘」の朝湯に入る「蔵王荘」の朝食「蔵王荘」を出発

山形温泉「蔵王荘」の朝湯に入る 「蔵王荘」の朝食 「蔵王荘」を出発

蔵王エコーラインの刈田峠蔵王温泉「下湯共同浴場」「下湯共同浴場」の湯

蔵王エコーラインの刈田峠 蔵王温泉「下湯共同浴場」 「下湯共同浴場」の湯

山形うわの温泉「天神乃湯」「天神乃湯」の露天風呂百目鬼温泉「百目鬼温泉」

山形うわの温泉「天神乃湯」 「天神乃湯」の露天風呂 百目鬼温泉「百目鬼温泉」

「百目鬼温泉」の湯上山温泉「下大湯公衆浴場」「下大湯公衆浴場」の湯

「百目鬼温泉」の湯 上山温泉「下大湯公衆浴場」 「下大湯公衆浴場」の湯

上山温泉の「清来軒」の「冷やしラーメン」河崎温泉「ふじや旅館」の湯葉山温泉「葉山公衆浴場」の湯

上山温泉の「清来軒」の「冷やしラーメン」 河崎温泉「ふじや旅館」の湯 葉山温泉「葉山公衆浴場」の湯

まほろば温泉「温もりの湯」「セブンイレブン」の「おにぎり」

まほろば温泉「温もりの湯」 「セブンイレブン」の「おにぎり」  

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