カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[234日目]

投稿日:2019年10月23日

岩手県に入った

北海道編 10日目(2007年8月30日)

 南三陸温泉「ホテル観洋」の朝湯に入る。大浴場と露天風呂。大浴場の大風呂はすごい。湯につかりながら眺める志津川湾と自分の体が一体になったかのような、そんな錯覚をおこさせる湯だ。志津川湾の風景はまさに「海の畑」。無数の養殖用の筏が海面を埋めつくしている。

 湯から上がると、ご飯、味噌汁、カツオの刺身、笹かまぼこ、サラダ、ハム、ソーセージ、タコ、煮物、豆腐、納豆、海苔、漬物の朝食を食べ、8時に出発。

 南三陸温泉からはいったん石巻まで戻り、そこから再度、北上する。

 第1湯目は石巻温泉「やまとの湯」。大浴場と露天風呂。何とも気持ちのいい「一番湯」に入った。2つの壺湯もある。

 石巻からは国道398号を北上する。

 第2湯目は女川温泉の日帰り湯「ゆぽっぽ」。JR女川駅に隣接した「駅舎温泉」だ。「ゆぽっぽ」は「湯」と「汽車ぽっぽ」を合わせたネーミングなのだろう。浴室内には女川駅への列車の接近を知らせる鉄道用信号がついている。

 女川からは三陸のリアス式海岸を行く。タイトなコーナーをDR−Z400SMの極太タイヤで攻める。交通量の少ない、じつに気持ちよく走れるルート。

「バイクっていいねえ!」

 走りながら思わずうれしくなってしまうようなルートだ。

 雄勝からは釜谷峠を越える。峠のトンネルを抜け出ると、北上川の流れが見えてくる。

 前日につづいて北上川河口の白浜岬に立ち、神割崎ではDRを停めて歩いて海岸に下った。真っ二つに割れた大岩。ここは「神割伝説の地」。しばらくは割れた大岩の間に押し寄せる波を眺めた。そして国道45号に出ると、南三陸温泉「ホテル観洋」に戻ってくるのだった。

 国道45号で気仙沼へ。ここでは第3湯目の早稲谷温泉に行く。家がポツンポツンと点在する早稲谷の集落に、一軒宿の「早稲谷温泉」がある。受付の部屋で大の字になって寝ているオバチャンを起こし、入浴料を払って浴室へ。誰もいない。湯船のふたをとって湯につかる。にごり湯で赤茶けた色をしている。湯から上がり、大の字になって寝ているオバチャンにそっと「ありがとうございます」と声をかけて早稲谷温泉を離れたが、なにか別世界をのぞいたような気分だった。

 気仙沼から国道45号を北へ。宮城県から岩手県に入った。

 気仙川を渡って、陸前高田の町に入っていく。道の駅「高田松原」で小休止。そのあと高田松原を歩き、堤防の外側の海水浴場を歩いた。残暑が厳しく、海水浴客の姿を多く見かけた。ここは東北でも有数の海水浴場だ。

 陸前高田を出発。国道45号で通岡峠を越えて大船渡に入る。大船渡からは国道107号→県道193号を行く。

 第4湯目は県道193号沿いの五葉温泉の日帰り湯「しゃくなげの湯っこ」。ここは大浴場の内風呂のみ。無色透明の湯につかる。浴室からは完成したばかりの鷹生ダムが見える。湯から上がると「わんたんめん」を食べた。

 県道193号で赤坂峠まで行き、ダート道を下り、「夏虫のお湯っこ」に入ったが、ここは天然温泉ではないようなのでカウントしない。国道45号に合流すると、釜石から大槌を通って山田へ。

 第5湯目は船越半島の三陸山田温泉「浜の湯」。ここは民宿の温泉。内風呂のみで、こじんまりとした湯船の無色透明の湯につかった。浴室からは山田湾が見渡せる。

 国道45号に戻ると、山田の町を走り抜け宮古へ。

 第6湯目の嶋田温泉は国道45号を右折し、山中に入ったところにある。一軒宿「ニュー嶋田荘」の湯に入る。内風呂のみで、2つの湯船はともに熱い湯。湯温を高めに設定している。とくに右側の湯船は熱く、火傷しそう。ところが地元の人は平然とした顔で入っていた。

 湯から上がり、外に出ると、「カソリさ〜ん」と声をかけられた。「koshiさん」だ。「koshiさん」は朝から昭文社のHPで「カソリ情報」をチェックし、仕事も手につかなかったという。仕事を終えるとすぐに三陸山田温泉「浜の湯」に向かったが、その途中でぼくのDRとすれ違い、急きょ、Uターンして来てくれた。「カソリさんにはもう、20年前から会いたかったんですよ」とうれしいことをいってくれる。

「koshiさん」との温泉めぐりが始まった。

 まずは嶋田温泉に近い長内温泉に行ったが休業中で入れなかった。

 国道45号に戻ると宮古へ。

 第7湯目は国道45号沿いの宮古湾温泉「マース」。大規模な温泉施設だが、入浴料は300円と安かった。サービス期間中のようだ。大浴場と露天風呂。無色透明の湯。湯から上がると、「koshiさん」と「グレープフルーツジュース」で乾杯。そのあと食堂で夕食の「とんかつ定食」を食べた。食べ終わったところで「koshiさん」はカソリ本を取り出し、「サインを」という。「家の本棚にはカソリさんの本がこんなにありますよ〜」といって両手を広げた。そんな「koshiさん」とは宮古の中心街で別れた。

 宮古から国道45号をさらに北上する。

 今晩の宿、小本温泉「小本温泉」に到着したのは21時30分。ここには何度か泊まっているので、我が家に帰ってきたかのようなホッとした気分になる。

 第8湯目の「宿湯」に入る。大浴場の湯船、ひとつづつに入り、露天風呂の湯につかる。湯から上がると、「koshiさん」差し入れの「元気の素」を飲んだ。すると体がぽっぽ、火照ってくる。その名も「ひとり」という「元気の素」だった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 南三陸温泉「ホテル観洋」
朝食 南三陸温泉「ホテル観洋」 ご飯、味噌汁、カツオの刺身、笹かまぼこ、サラダ、ハム、ソーセージ、タコ、煮物、豆腐、納豆、海苔、漬物
8時 南三陸温泉「ホテル観洋」を出発
2473湯目 石巻温泉「やまとの湯」(750円)
2474湯目 女川温泉「ゆぽっぽ」(500円)
釜谷峠(峠越え)
神割崎
2475湯目 早稲谷温泉「早稲谷温泉」(400円)
岩手県に入る
2476湯目 五葉温泉「しゃくなげの湯っこ」(600円)
昼食 五葉温泉「しゃくなげの湯っこ」わんたんめん(680円)
赤坂峠(峠越え)
「夏虫のお湯っこ」(300円・天然温泉ではない)
2477湯目 三陸山田温泉「浜の湯」(500円)
2478湯目 嶋田温泉「ニュー嶋田荘」(420円)
出会い koshiさん
長内温泉(廃業湯)
2479湯目 宮古湾温泉「マース」(300円・割引)
夕食 宮古湾温泉「マース」とんかつ定食(750円)
21時30分 小本温泉「小本温泉」(1泊朝食6300円)
2480湯目 小本温泉「小本温泉」
本日の走行距離数 378キロ
本日の温泉入浴数 8湯

南三陸温泉「ホテル観洋」から見る志津川湾「ホテル観洋」の朝食志津川湾に浮かぶ養殖筏

南三陸温泉「ホテル観洋」から見る志津川湾 「ホテル観洋」の朝食 志津川湾に浮かぶ養殖筏

石巻温泉「やまとの湯」女川温泉「ゆぽっぽ」三陸海岸の名勝、神割崎

石巻温泉「やまとの湯」 女川温泉「ゆぽっぽ」 三陸海岸の名勝、神割崎

早稲谷温泉「早稲谷温泉」「早稲谷温泉」の湯「早稲谷温泉」の湯に入る

早稲谷温泉「早稲谷温泉」 「早稲谷温泉」の湯 「早稲谷温泉」の湯に入る

五葉温泉「しゃくなげの湯っこ」「しゃくなげの湯っこ」の「わんたんめん」赤坂峠からダート道経由で「夏虫のお湯っこ」へ

五葉温泉「しゃくなげの湯っこ」 「しゃくなげの湯っこ」の「わんたんめん」 赤坂峠からダート道経由で「夏虫のお湯っこ」へ

三陸山田温泉「浜の湯」「浜の湯」に入る嶋田温泉「ニュー嶋田荘」

三陸山田温泉「浜の湯」 「浜の湯」に入る 嶋田温泉「ニュー嶋田荘」

宮古湾温泉「マース」の「とんかつ定食」

宮古湾温泉「マース」の「とんかつ定食」    

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