カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[288日目]

投稿日:2020年4月20日

心熱き「越後人」にジーン

北海道編 64日目(2007年10月23日)

 野積温泉「旅館のぞみ温泉」では 朝一番で、「コンコンコン」と部屋のノック。

「カソリさんと朝湯を一緒に入りたいという人が来てますよ」
 と、石井さん。

 すぐにピンと来た。

 急いで玄関に行くと。「スパット神田さん」がにこやかな笑顔で立っていた。

 夜明け前に新潟を発ち、出勤前の時間を使って来てくれたのだ。

 さっそく「スパット神田さん」と朝湯に入った。

「スパット神田さん」を見送ったあと、8時に朝食。石井さんと一緒にいただいた。イカ刺し、サンマの塩焼きと朝から「魚三昧」。「魚大好き人間」のカソリにはたまらない。「あっ!」と驚いたのは味噌汁。

 タイのアラがゴソッと入っている。昨夜、刺身にさばいたタイの残りのアラだという。この「タイ汁」がメチャうま。骨までしゃぶったのはもちろんだが、目の玉のまわりもしゃぶりつくした。

 朝食を食べながら石井さんの話を聞いた。

「のぞみ温泉」の「のぞみ」は「野積」の古い呼び名だという。

 野積は「越後杜氏」の故郷。多くの若者たちが杜氏になった。一色さえ主演の映画「蔵」で野積が重要な舞台になったのは、そのような理由からだった。人気の「八海山」なども野積の杜氏がつくっているという。

 石井さんはほんとうによくぼくの本を読んでくれている。

「カソリさん、【警笛鳴らせ】のところで鳴らさなくって、罰金とられましたよね」
 といわれたときは、心底、驚いた。これはカソリ、30歳のときの「日本一周」の話。石井さんはそんな細部までおぼえてくれていた。

 石井さんとそんな話で盛り上がっているところに、寺泊の「佐野電機」の佐野さんが、電気工事で「旅館のぞみ温泉」にやってきた。

 佐野さんは「何でカソリさんがこんなところにいるんですか」と驚きの声を上げる。うれしいことに佐野さんもカソリ本の読者。昨夜、燕からバイクを走らせて来てくれた田辺さんといい、佐野さんといい、心熱き「越後人」の面々だ。

 石井さん、佐野さんの見送りを受けて野積温泉「旅館のぞみ温泉」を出発。2人とも大きく手を振ってくれている。DR−Z400SMを走らせ、日本海シーサイドラインの国道402号を南下したが、胸がジーンとしてしまう。

 国道402号→国道352号で日本海を行く。

 第1湯目は大崎温泉の日帰り湯「雪割草の湯」。昨日は「定休日」で入れなかった温泉だ。ここは大浴場の内風呂のみ。ほぼ無色透明の湯。鉄粉のような赤い粉が浴槽に沈殿している。浴室からは日本海を一望。ここは日本海に落ちていく夕日を見られる温泉。

 大崎温泉から柏崎に向かったが、その手前で国道は通行止め。このあたりが「中越沖地震」で一番、揺れがひどかったという。迂回路を通り、柏崎刈羽原発のわきを通り、柏崎の市街地に入っていく。

 第2湯目は柏崎潮風温泉の日帰り湯「ソルト・スパ潮風」。大浴場と露天風呂。その名の通り、かなり濃い塩湯。露天の打たせ湯もある。湯から上がり、外に出ると、ドンピシャのタイミングで「クレープ神田さん」がやってきた。朝は「スパット神田さん」、昼は「クレープ神田さん」と、神田兄弟とのリレー式の出会いだ。「クレープ神田さん」は夜勤明けに来てくれた。

 第3湯目は鯨波松島温泉。国道8号沿いの「ホテルメトロポリタン松島」の湯に入る。6階の展望浴場。無色透明の湯につかる。足下を国道8号が通っている。JR信越本線の6両編成の特急列車が通り過ぎていく。

 第4湯目は栃窪温泉「鷺乃湯」。国道8号から4キロほど山中に入ったところにある。秘湯の趣。内風呂のみの小さな湯船。ふたをとって湯に入る。にごり湯。蛇口をひねると、源泉の鉱泉水が出てくる。湯から上がると、近くのパン屋さんで昼食のパンを食べ、ここで「クレープ神田さん」と別れた。

 国道8号で直江津へ。

 第5湯目は上下浜温泉「ハマナスふれあいセンター」の湯。大浴場と露天風呂。塩分を含んだ若干の濁り湯。浴室からは日本海を一望する。

 第6湯目は長峰温泉「長峰温泉」の湯。大浴場と露天風呂。ほぼ無色透明で、塩分の濃い湯。体がべとつくほどだ。

 第7湯目は鵜の浜温泉では何軒もの温泉宿をまわった。

「人魚館」は休館日。「うの浜館」は入浴のみは不可。「みかん」は入れず。「日本海」は休業中。「酔洋」は入浴のみは不可。やっと「見はらし」の湯に入れた。館内には琴の音色が流れている。ここは大浴場の内風呂のみ。濁り湯でかなり濃い温泉の味がする。趣のある庭園を眺めながら湯につかる。

 17時、直江津駅前に到着。

 直江津を拠点にしての温泉めぐりを開始する。

 まずは、まるたき温泉にいったのだが、残念ながら定休日。

 第8湯目は霧ヶ岳温泉「ゆあみ」の湯。ここは大浴場の内風呂のみ。無色透明の湯。

 第9湯目は大山温泉「あさひ荘」の湯。大浴場と露天風呂。ほぼ無色透明のツルツル湯。

 第10湯目はゆきだるま温泉「雪の湯」。大浴場と露天風呂。無色透明の湯でかなり塩分が濃い。

 これらの3湯に入り、21時45分、直江津駅前に戻ってきた。

 今晩の宿は直江津駅に近い「上越サンプラザホテル」。小さなバスタブの「宿湯」(温泉ではない)に入り、湯から上がるとコンビニ弁当の夕食を食べ、「クレープ神田さん」が差し入れしてくれた地酒の「雪中梅」と「吟田川」を飲んだ。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 野積温泉「旅館のぞみ温泉」
朝食 野積温泉「旅館のぞみ温泉」
9時30分 野積温泉「旅館のぞみ温泉」を出発
出会い スパット神田さん、佐野さん
3019湯目 大崎温泉「雪割草の湯」(500円)
3020湯目 柏崎潮風温泉「ソルト・スパ潮風」(900円)
出会い クレープ神田さん
3021湯目 鯨波松島温泉「ホテルメトロポリタン松島」(500円)
3022湯目 栃窪温泉「鷺乃湯」(500円)
昼食 栃窪温泉近くのパン屋 パン
3023湯目 上下浜温泉「ハマナスふれあいセンター」(450円)
3024湯目 長峰温泉「長峰温泉」(600円)
3025湯目 鵜の浜温泉「見はらし」(400円)
3026湯目 霧ヶ岳温泉「ゆあみ」(500円)
儀明峠(峠返し)
3027湯目 大山温泉「あさひ荘」(450円)
3028湯目 ゆきだるま温泉「雪の湯」(650円)
21時45分 上越「上越サンプラザホテル」(1泊朝食5700円)
夕食 コンビニ弁当
本日の走行距離数 199キロ
本日の温泉入浴数 10湯

野積温泉「旅館のぞみ温泉」の朝湯に入る「旅館のぞみ温泉」の朝食石井さん、佐野さんに見送られて野積温泉「旅館のぞみ温泉」を出発

野積温泉「旅館のぞみ温泉」の朝湯に入る 「旅館のぞみ温泉」の朝食 石井さん、佐野さんに見送られて野積温泉「旅館のぞみ温泉」を出発

大崎温泉「雪割草の湯」柏崎潮風温泉「ソルト・スパ潮風」の露天風呂クレープ神田さんと一緒に栃窪温泉「鷺乃湯」に入る

大崎温泉「雪割草の湯」 柏崎潮風温泉「ソルト・スパ潮風」の露天風呂 クレープ神田さんと一緒に栃窪温泉「鷺乃湯」に入る

クレープ神田さんと一緒に昼食のパンを食べるゆきだるま温泉「雪の湯」クレープ神田さんの差し入れをいただく

クレープ神田さんと一緒に昼食のパンを食べる ゆきだるま温泉「雪の湯」 クレープ神田さんの差し入れをいただく

Comments

Comments are closed.