カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

ジクサー150分割日本一周[13]

投稿日:2020年5月25日

中国一周編 3(2017年3月3日)

備前の一宮「石上布都魂神社」

津山を出発。「ジクサー150よ、さー、行くぞ!」

津山を出発。「ジクサー150よ、さー、行くぞ!」

津山を流れる吉井川

津山を流れる吉井川

津山からは国道53号を南下する

津山からは国道53号を南下する

久米南町の役場前。久米南町は美作だ

久米南町の役場前。久米南町は美作だ

国道484号から県道468号へ

国道484号から県道468号へ

 美作の一宮、中山神社の参拝を終えると、津山を出発だ。ジクサー150に、「さー、行くぞ!」と、いつものようにひと声かけて走り出す。

 津山からは国道53号を南下する。吉井川の支流、皿川に沿った道。吉井川は旭川、高梁川と並ぶ岡山県の三大河川。中国山地の美作・因幡・伯耆の3国国境の三国山(1213m)が源になっている。

 国道53号に並行してJR津山線が走っている。JR津山線の小原駅のあたりが、吉井川と旭川を分ける分水嶺の峠。よっぽど気をつけていないと通り過ぎてしまう。峠を越えるとすぐに久米南町に入る。この久米南町も美作になる。

 旭川の支流、誕生寺川に沿って下る。久米南町の町役場前、道の駅「くめなん」を通り、JR津山線の神目(こうめ)駅を過ぎると、岡山市に入る。この久米南町と岡山市の境が美作と備前の国境になる。平成の大合併前は久米南町と建部町の町境だった。

 誕生寺川と旭川の合流地点の川口に出る。

 この地方には、
「行こうか岡山、戻ろか津山。ここが思案の福渡」
 という里歌が歌い継がれている。

 いかにも美作と備前の国境らしい歌ではないか。

 福渡は川口から国道53号を南に下ったところで、JR津山線の福渡駅がある。

 福渡から旭川を渡った対岸には、我がなつかしの八幡温泉がある。「みずほ荘」の湯に入ったのだが、湯から上がると大衆演劇を楽しんだ。ここは温泉と観劇がセットになっていて、旅まわり一座のチャンバラ時代劇を見たのだ。舞台にかぶりつきで声援を送るオバチャンたちの姿が、今でもはっきりと目に残っている。

 あれから20年、八幡温泉の観劇はまだあるのだろうか。

 さー、備前の一宮だ。

 国道53号の建部トンネルを抜けたところが国道484号との交差点。この交差点を左折して赤磐市に入っていく。「赤磐市」というのはまったく知らなかったが、2005年に赤磐郡の山陽町、赤坂町、熊山町、吉井町の4町が合併して誕生した。合併から10年以上もたっているが、ぼくにとっては初めて聞く名前だった。

 まあ、それはおいて、備前の一宮の石上布都魂(いそのかみふつみたま)神社である。

 ここは探し出すのが難しかったが、国道484号から県道468号に入った旧吉井町の石上にあった。ここは岡山市と赤磐市の境に近い。

 山中の石上布都魂神社を参拝する。ここの祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)。素戔嗚尊は『日本書紀』に登場する八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した。濁酒を醸造して、8つの頭を持った八岐大蛇に飲ませ、眠らせてから剣で頭や腹を断ち切った。最後に尾を切ると、中から剣が出てきたが、それが「草薙の剣」。素戔嗚尊が八岐大蛇を退治した剣が石上布都魂神社に祀られている。

 草薙の剣の方はその後、「三種の神器」のひとつになり、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の時に持って出る。日本武尊の死後、草薙の剣は熱田神宮のご神体になっている。

石上布都魂神社に到着石上布都魂神社を参拝石上布都魂神社の本殿

石上布都魂神社に到着 石上布都魂神社を参拝 石上布都魂神社の本殿

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