カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

ジクサー150分割日本一周[78]

投稿日:2020年8月31日

九州一周編 26(2017年4月23日)

国道3号で熊本へ

 8時50分に対馬の厳原港を出港した九州郵船のフェリー「つくし」は、13時25分、博多港に到着。博多港を出発すると、福岡から国道3号で熊本へ。大宰府、鳥栖、久留米と通り、小栗峠を越えて熊本県に入った。

 熊本県に入ると山鹿を通り、熊本へ。

 18時30分、熊本に到着。熊本駅前の「東横イン」に泊まる。大急ぎでシャワーを浴びると、ロビーで錦戸陽子さんを待った。

博多港を出発博多港前の通り福岡から国道3号で熊本へ

博多港を出発 博多港前の通り 福岡から国道3号で熊本へ

小栗峠を越えて熊本県に入る熊本駅前の「東横イン」に到着「東横イン」から見下ろす熊本駅

小栗峠を越えて熊本県に入る 熊本駅前の「東横イン」に到着 「東横イン」から見下ろす熊本駅

「目指せ、エアーズロック!」で盛り上がる

1993年の豪州軍団

ブリスベーンを出発

ブリスベーンを出発

ダートに突入!

ダートに突入!

大洪水の平原を行く

大洪水の平原を行く

川渡りの連続…

川渡りの連続…

大洪水地帯を突破

大洪水地帯を突破

エアーズロックをバックに記念撮影

エアーズロックをバックに記念撮影

エアーズロックの頂上で乾杯!

エアーズロックの頂上で乾杯!

 錦戸さんは約束した19時ぴったりに「東横イン」に来てくれた。錦戸さんとの飲み会の開始。熊本駅から歩いて行ける居酒屋の「十徳屋」に入った。

 再会を祝して、生ビールで乾杯。そのあとは熊本の郷土料理の辛子蓮根や馬刺しなどを食べながら球磨焼酎をおおいに飲んだ。

 飲むほどに「豪州軍団」の「目指せ、エアーズロック!」で盛り上がる。

 ぼくが初めて錦戸さんに会ったのは、道祖神のバイクツアー「賀曽利隆と走る!」の「目指せ、エアーズロック!」。出発したのは1993年7月3日のことだった。

 参加者は13名。成田空港で出会ったときから我々は大盛り上がり。13名のメンバーで「豪州軍団」を結成した。

 成田からオーストラリア東海岸のブリスベーンに飛び、ブリスベーンを出発点にして、スズキのDR350とヤマハのセローで西へ西へと走り、大陸中央部のエアーズロックを目指した。

 大分水嶺山脈の峠を越え、ダートに突入した時は最高に気分が高揚した。

「やったね〜!」という気分。ところがここで事故発生。「ターク」こと目木正さんと、「お水」こと小船智弘さんは砂にハンドルをとられて吹っ飛んだ。2人はひどい打撲でサポートカーに乗ることになった。

 すごくラッキーだったのは、錦戸さんと上原和子さん、増山陽子さんの3人の女性ライダーが参加していたが、そのうちの錦戸さんと上原さんの2人が看護師。そのおかげでタークとお水は、美人看護師の手厚い看護を受けることになった。

 ダートに突入して目の色を変えたのは坂間克己さんだ。ぼくがDRのアクセル全開で走っても、すぐ後ろまで迫ってくる。120キロ以上での高速バトルで、ギャップにはまったときなどは「ギャーッ!」と絶叫モード。それでもバトルをつづける2人。このバトルのせいで(おかげで)、後に坂間さんが結婚するときにはカソリ夫妻が仲人をすることになった。

 530キロのロングダート、「バーズビルトラック」の入口のバーズビルに着いたときは、なんともいやなニュースを聞いた。砂漠同然のこのあたりで、記録的な大雨が降ったというのだ。

 こういうときは瞬時の決断が必要だ。できるだけの情報を集め、「行ける!」という判断を下すと、「さー、突破してやるゾ!」と、全員で雄叫びを上げてマリーを目指した。

 それにしても、すさまじい洪水の光景。大平原が一面、水びたし。ダートはグチャグチャヌタヌタ状態。バイクは泥団子だ。

 氾濫した川渡りが大変。濁流の中で転倒し、あわやバイクごと流されそうになったこともあった。水をかぶったせいで、エンジンのかからなくなったバイクが続出。そのたびに押し掛けした。あまりの苦しさに心臓が口から飛び出しそうになる。それでも我々は、エアーズロックを目指した。

 530キロの洪水と泥土の「バーズビルトラック」を走りきってマリーに着いて、「豪州軍団」は大喜び。だが、その喜びもつかのまで、つづく610キロのロングダートの「ウーダナダッタトラック」も大雨にやられ、ズタズタの状態だと聞かされた。

 しかし洪水と泥土にすっかり慣れた「豪州軍団」は、「目指せ、エアーズロック!」を合言葉にして「ウーダナダッタトラック」も走りきり、大陸縦断のスチュワートハイウエイに出た。ここまで来ればもう大丈夫。あとは舗装路だ。

 マルラのキャラバンパークでキャンプしたが、我々は大きな難関を突破した喜びを爆発させ、焚き火を囲んでの大宴会になった。

 缶ビールをガンガン飲み干し、さらにワイン、ウイスキーと、あるものすべてを飲み尽くした。そのおかげで、翌日は割れるように痛む頭をかかえてバイクに乗った。

 ブリスベーンを出発してから7日目、ついにエアーズロックに到着。西日を浴びたエアーズロックは真っ赤に染まっている。ここまでの道のりが厳しかっただけに、エアーズロックに到着した喜びは大きかった。日が暮れるまでエアーズロックを見つづけたが、日が沈む直前のエアーズロックはまるで炎をたぎらせれ燃えさかるかのような赤さだった。

 翌朝はまだ暗いうちにキャンプ場を出発。今度は地平線に昇る朝日を浴びたエアーズロックを眺めた。そして急勾配の岩肌を這いつくばるようにして登り、標高867メートルの山頂に立った。まさに感動の瞬間。我ら「豪州軍団」はシャンペンをあけて乾杯。我々は360度の大展望を楽しんだ。スパーッと天と地を切り裂いた地平線、はてしなく広がる大平原が目の底に焼きついた。

 我ら「豪州軍団」は日本に帰ると、その年の秋に、「日本のエアーズロック」といわれる紀伊半島の古座川の一枚岩に集合した。それ以降、毎年、場所をかえてキャンプをつづいている。錦戸さんにはそのたびに会っている。

Comments

Comments are closed.