第51回 別府温泉
投稿日:2011年2月19日
2010年 林道日本一周・西日本編
毎日大型タンカー1隻分の湯が沸く、世界最大の温泉地
大分駅前の「東横イン」に、大分在住の「日本一周ライダー」、はるさんがバイクに乗って来てくれた。何ともうれしいことに、「別府八大地獄」を案内してくれるという。
さっそく大分駅前を出発。
国道10号で別府へ。はるさんのカワサキ250TRについて、カソリのスズキDR-Z400Sを走らせる。
別府温泉は素通りし、国道500号で「別府八湯」の鉄輪(かんなわ)温泉へ。温泉街のあちこちこちから湯煙りの立ち上る光景は、世界一の温泉地、別府を象徴している。
「別府八大地獄」の第1番目は「海地獄」。ここで8枚つづりになった観覧券(2000円)を買って中に入る。海のようなコバルトブルーの池には98度の熱湯が湧き出ている。1200年前の鶴見岳(1374m)の爆発で出来た海地獄の青色は硫酸鉄の色だという。温室にはアマゾンの大鬼蓮が浮かび、睡蓮の花が咲いていた。
第2番目は「鬼石坊主地獄」。ポコポコポコポコッと噴き出る熱泥はきれいな紋様を造り出している。それが坊主頭に見えるところから坊主地獄の名があるという。「鬼の高鼾」では100度の高温の蒸気が音をたてて噴出している。鬼石はこのあたりの地名。ここには「鬼石の湯」(入浴料500円)もある。
第3番目は「山地獄」。スケールの大きな地獄で、山肌のいたるところから噴気が上がっている。ここには象やカバ、フラミンゴがいる。南米のリャマまでいるのには驚いた。ここで小休止。はるさんと食べた温泉たまごは美味だった。
第4番目は「かまど地獄」。地獄の1丁目、2丁目、3丁目…とあり、さながら地獄の博物館。湧き出る熱湯の飲湯コーナーもある。砂蒸足湯は大にぎわい。氏神の竈門八幡宮の祭りでは、この地獄の噴気でお供えの飯を炊いたという。
第5番目は鬼山地獄。鬼山はこのあたりの地名で、入口には赤鬼が立っている。ここは別名「ワニ地獄」。大正12年に日本で初めて温泉熱を利用してワニの飼育を始めたとのことで、世界のワニ、100頭ほどが飼育されている。
第6番目は「白池地獄」。その名の通りで、和風庭園の白池は白濁色をしている。思わず湯につかりたくなるが、ここも100度近い熱湯。熱帯魚館にはピラニアがいる。世界一うまい淡水魚ともいわれるアマゾンの巨大魚、ピラクルもいる。
第1番目の海地獄から第6番目の白池地獄までは鉄輪温泉の周辺に固まっている。
鉄輪温泉から「別府八湯」の柴石(しばせき)温泉に下っていったところに、残りの2つの地獄がある。
第7番目は「血の池地獄」。血を流したような赤池の赤は、酸化鉄を含んだ泥の色だという。ここの湯温はほかの地獄と比べると、若干、低い。それでも78度。日本の温泉でいえば超高温湯になる。ここで売られている赤鬼マークの「血ノ池軟膏」は赤池で取れる粘土が原料。昔から皮膚病にはよく効くといわれる。
第8番目の「龍巻地獄」は間欠泉だ。105度の高温の湯がそれほど待たずに噴き上がる。世界の間欠泉の中でも、とくに休止時間が短いことで知られている。
それにしても「別府八大地獄」はすごい。
これだけの狭いエリアに、よくぞこれだけ個性的な地獄が集まったものだ。それぞれの地獄は衰えることもなく、千年以上も熱湯や熱泥、高温の蒸気を噴き上げつづけている。そのことに驚かされてしまう。まさに自然の驚異。「別府八大地獄」をめぐると、大自然の驚異を目の前で見せつけられる。
ところで「別府八湯」というのは別府温泉をはじめとして、その周辺の浜脇温泉、堀田温泉、観海寺温泉、亀川温泉、柴石温泉、鉄輪温泉、明礬温泉の総称。これら「別府八湯」には全部で2800もの源泉があるという。1日の湧出量は約13万トン。毎日毎日、大型タンカー、1隻分の湯が湧き出ていることになる。
世界最大の温泉都市、別府は、桁外れにすごいところだ。そのすごさの一端を「別府八大地獄めぐり」で見た。