カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第50回 松木内ノ八重林道

投稿日:2011年2月17日

2010年 林道日本一周・西日本編

真っ暗闇の林道でのガス欠の恐怖に勝てず

 九州最長ダートの椎葉内大臣林道は通行止めで走れず…。
 すぐにはどうしていいのか判断できず、とりあえずは椎葉村の中心、上椎葉まで行くことにした。
 上椎葉に着くと、
「ここでひと晩、泊まって、体勢を整えなおして。それからこの周辺の林道を走ろう!」
 と、気持ちが固まった。
 だが、民宿「ひえつき荘」など何軒かの宿に飛び込みで行ったが、泊まれず…。
 さー、困った。
「よし、こうなったら林道ナイトランだ!」
 と考えを変えて上椎葉のガソリンスタンドに行く。すると2軒ともすでに閉まっているではないか。
 さー、どうする、カソリ。
 こうなったら「一か八かの勝負だ!」
 ガス欠になったら、その時はその時。
 そう決めると、気持ちが楽になり、すぐさま実行に移す。
 スズキDR-Z400Sには、
「行くぞ!」
 と声をかけ、夕暮れの上椎葉を後にする。
 来た道を戻り、日向椎葉湖畔から松木内ノ八重林道への道に入っていく。松木の集落を通り過ぎ、林道入口から6・4キロ地点でダートに突入。山々の中腹を縫っていくので見晴らしがいい。
 途中の峠、松木越ではDRを停めて夕暮れの山岳風景を眺めた。
 峠を下り、12・1キロのダートを走り抜け、舗装路に出る。
 舗装化の進む松木八重ノ内林道だが、まだ10キロ以上のダートが残っているのがうれしかった。
 山上の集落、内ノ八重を通り、国道265号に出たが、ここでもまたまた悩む。
 最初はつづいて川内林道を走るつもりにしていたが、
「もし途中でガス欠になったら…」
 と思うと、気持ちが鈍る。
 ぼくは林道ナイトランは好きでよくやっているが、真っ暗闇の林道でガス欠になったときの恐怖といったらない。頭をよぎるその恐怖感には勝てず、ついに川内林道を断念。国道265号→国道327号で日向に向かうことにした。その途中できっと給油できると考えた。
 だがそれは甘かった。
 諸塚でも西郷でも東郷でも給油できず、超エコランで走りつづける。アクセルは極力開けず、少しでも下りがつづくとエンジンを切って走った。幸い耳川沿いの道なので、一方的な下りがつづくので助かった。
 そのおかげでガス欠することもなく国道10号に出た。24時間営業のGSで給油できたが、DRの燃料タンクはほとんどカラッポだ。
 カソリ、思わず心の中で「助かったー!」と叫んだ。ほんとうに助かった。
 日向でコンビニ弁当を食べると、国道10号のナイトランを開始。
 延岡を通り、宮崎・大分の県境を通過し、23時47分、大分駅前に到着。日付の変る前に着けてよかった。
 その夜は日向から電話を入れた大分駅前の「東横イン」に泊まった。

フォトアルバム

上椎葉に到着
松木八重ノ内林道のダートに突入!


松木越からの眺め
松木越を下っていく


日向のコンビニ弁当
大分駅前に到着


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