カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第52回 別府温泉2

投稿日:2011年2月21日

2010年 林道日本一周・西日本編

地獄めぐりの鉄輪温泉から温玉の明礬温泉へ

 大分在住の「日本一周ライダー」、はるさんに案内されて、「別府めぐり」はさらにつづく。
「別府八大地獄」をまわり終えると、「別府八湯」の鉄輪(かんなわ)温泉から明礬(みょうばん)温泉へ。はるさんのカワサキ250TRの後について、カソリのスズキDR-Z400Sを走らせる。
 明礬温泉は「別府八湯」では最高所の温泉。伽藍岳(1045m)中腹、標高400メートルの地点に位置している。江戸時代にはその名の通り、ここでは明礬を採取していた。その採取量は日本一だったという。今でも藁葺きの「湯の花小屋」があって、そこでは湯の花を採取している。
 ところで前回もふれた「別府八湯」は、別府温泉を中心とした次のような8湯。「別府八湯めぐり」はカソリのオススメなので、ひと言コメントでそれら8湯を紹介しよう。

1、浜脇温泉
国道10号沿いの大分寄りにある。ここは別府温泉の入口。国道沿いに共同浴場の「日の出湯」がある。
2、別府温泉
「九州編往路」の「門司港→宮崎」では別府駅前の共同浴場「駅前高等温泉」に入ったが、別府の市街地には数多くの共同浴場がある。その数は200ヵ所近い。日本一の湯の町別府の全共同浴場めぐりは大変なことだが、いつの日かチャレンジしてみたいと思っているカソリだ。
3、観海寺温泉
日本でも最大級の温泉ホテル「杉乃井ホテル」がある。ここには共同浴場はないので、どこか温泉宿の湯に入らせてもらうことになる。
4、堀田温泉
別府温泉の山側になる。ここには市営の共同浴場「堀田温泉」がある。
5、亀川温泉
別府の中心街から国道10号を北に行ったところにある。共同浴場の「浜田温泉」は趣のある湯。道をはさんで反対側にある古い建物は昔の「浜田温泉」。現在は「浜田温泉」の資料館になっている。
6、柴石温泉
共同浴場の「柴石温泉」には大浴場と露天風呂がある。大浴場には「あつ湯」と「普通湯」の2つの湯船。「あつ湯」はほんとうに熱い。「普通湯」も十分に熱い。露天風呂は若干、温めの湯だ。
7、鉄輪温泉
高台から見下ろす鉄輪温泉の光景は「泉都・別府」を象徴している。温泉街のいたるところから湯煙が立ち昇っている。ここには全部で11ヵ所の共同浴場があるが、そのうち「熱の湯」と「渋の湯」は無料湯だ。
8、明礬温泉
ここの温泉旅館「岡本屋」は超有名。温泉の噴気でつくる「地獄蒸しプリン」もよく知られている。青味を帯びた湯の色にはスーッと心が引かれていく。不思議な湯の色。というよりも、まさに芸術的な湯の色なのだ。

 明礬温泉では「地獄蒸し釜」の店で昼食。地獄蒸したまごの入った「温玉うどん」と、地獄蒸したまごを使った「たまごサンド」を食べた。
 あちこちで蒸気が噴き上がっている明礬温泉。ここでは地球の持つ膨大なエネルギーを間近で実感できる。
「温玉うどん」&「たまごサンド」の昼食を食べ終えると、国道500号→県道616号で塚原温泉へ。温泉に入る前に、まずは伽藍岳の火口を見学。硫黄山ともいわれる伽藍山の火口一帯からは、あちこちで蒸気が噴き上がっている。
 そのあと共同浴場の内風呂(入浴料500円)と露天風呂(入浴料600円)に入った。2湯の共通券だと入浴料は800円。別々に入浴券を買うよりも300円安い。
 塚原温泉は若干のにごり湯。湯には苦味がある。チクチクと目にしみる湯だが、それがまた、活発に活動をつづける伽藍岳から湧き出ている湯を強く感じさせた。
 塚原温泉の湯から上がると、はるさんと別れた。
 はるさんは半日の休みをとって別府を案内してくれたのだ。はるさん、ありがとう!

「由布院」と「湯布院」、2つが混在する理由は

 塚原温泉から由布院温泉へ。ここでは共同浴場「乙丸温泉会館」(入浴料100円)の湯に入る。入口の賽銭箱に100円玉を投げ入れ、天下の名湯、由布院温泉の湯につかった。
 ところでこの由布院温泉はまぎらわしい。
 大分道のICは「由布院IC」ではなく「湯布院IC」になっている。2005年の合併で由布市になったが、それ以前、ここは湯布院町。鉄道の駅は由布院。「由布院」と「湯布院」が混在していた。
 なぜそうなったかというと、1955年に由布院温泉のある由布院町と湯平温泉のある湯平村が合併し、新しい町名が「湯布院町」になったからだ。それ以降、湯布院町の由布院温泉だった。由布市になって由布院温泉もすこしわかりやすくなった?
 そんな由布院温泉を後にし、国道210号で水分峠(707m)を越える。この峠をはさんで東と西に流れる大分川と筑後川の水系の「分水嶺」に因んでの峠名だ。
「水分峠」とはいかにも峠らしい峠名ではないか。まさにそれは峠そのものといった感がする。
 水分は峠を境にして水が分かれるという意味で、川の流れが変れば、風土も変る。文化も変る。峠はその境目になっている。
 水分峠の東側は大分川の流れだが、西側は玖珠川の流れになる。玖珠川は日田盆地で大山川と合流し、三隅川になり、福岡県に入ると筑後川と名前を変える。
 九州第一の大河、「筑紫次郎」の筑後川だ。
 筑後川は下流に広大な筑紫平野をつくって有明海に流れ出る。
 そんな水分峠から日田盆地の日田までは、大分の名湯をめぐっていく。

フォトアルバム

明礬温泉の「湯の花小屋」
明礬温泉の「地獄蒸し釜」で昼食


地獄蒸しの「温玉うどん」&「たまごサンド」
はるさんの案内で塚原温泉へ


塚原温泉の案内板
あちこちから噴気の立ち昇る塚原温泉


伽藍岳の山頂
塚原温泉の共同浴場


塚原温泉の露天風呂
豊後富士の由布岳が見えている


由布院温泉近くの水田風景
由布院温泉の共同浴場「乙丸温泉館」の湯


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