第64回 島根半島
投稿日:2011年3月5日
2010年 林道日本一周・西日本編
境港で「環日本海ツーリング」に思いをはせる
日本の「熊野発祥の地」といってもいい出雲国の一の宮、熊野大社を参拝し、八雲温泉「熊野館」の湯に入ったあと、松江に戻った。
松江城の堀の脇の道を走り、国道431号に入る。松江の市街地が途切れると、やがて中海が見えてくる。湖岸を気分よく走る。ついついアクセルも開き気味になる。
中海が狭まり、境水道沿いの道に入ったところで「一斉」をやっていた。前の車について走っていたので事なきを得たが、「あー、ヤバかった!」と、ホッと胸をなでおろす瞬間だ。「日本一周ツーリング」で何が怖いって、これが一番怖い。
島根半島突端の地蔵崎に向かう前に、国道485号に入り、本土側の終点の七類港へ。ここからは隠岐汽船のフェリーが隠岐の島前と島後に出ている。国道485号も海を越え、島前・西ノ島の浦郷から島後の布施へとつづいている。国道485号は隠岐の「島国道」。七類港の岸壁にスズキDR-Z400Sを停め、しばし隠岐に想いを馳せた。
隠岐は日本の「島国」の5国のひとつ。そのほかの島国というと淡路、佐渡、壱岐、対馬がある。島前(どうぜん)は西ノ島、中ノ島、知夫里島の3島を中心とする群島の総称。島後(どうご)は隠岐諸島最大の円形の島。この島に島名はない。島後は島後で、あくまでも「島後」なのである。
隠岐はツーリングには絶好の島。島前、島後に短いダートが何本かあるが、残念ながら今回、隠岐には渡らない。
七類港から国道321号に戻ると、島根半島突端の地蔵崎に向かう。境水道の対岸には境港の町並みがつづいている。境水道大橋で境港に渡っていく国道321号と分れ、県道2号を行く。
美保関(みほのせき)の町並みに入ると、まずは美保神社に参拝。ここの祭神は「国譲り神話」の事代主(ことしろのぬし)神。古色蒼然とした神々しさを漂わせる美保神社だ。
そのあと漁港、そして町並みを歩いた。美保関は古くからの日本海海上交通要衝の地。日朝貿易の拠点になっていた。そのためこの地には海関が置かれ、それで「美保関」なのである。
美保関からさらに県道2号を行くと、島根半島最東端の地蔵崎に到着。そこには美保関灯台がある。
岬の突端には遥拝所の鳥居が建っている。この鳥居の眼下に横たわる島は「地之御前」、4キロ先の島は「沖之御前」と呼ばれているが、それらの島々に手を合わせるための遥拝所なのだ。
「地之御前」と「沖之御前」はともに美保神社の境内地。これらの島々は事代主神の魚釣り島といい伝えられている。毎年5月5日、美保神社ではこれらの島々から事代主神とその后の神霊を迎える神迎の神事がおこなわれている。
地蔵崎から国道321号に戻ると、境水道大橋を渡って境港へ。橋の中央が島根県と鳥取県の県境。美保関は島根県だが、境港は鳥取県になる。
境港のフェリーターミナルへ。ここからは隠岐のみならず、韓国の東海(トンヘ)港からロシアのウラジオストック港へと国際フェリーも出ている。
今年(2011年)の8月には「環日本海ツーリング」に出発するが、稚内港からサハリンに渡り、ロシア本土を走り、最後はウラジオストック港から韓国の東海港を経由して境港に戻ってくるという日本海一周のコース。それをDR-Z400Sで走る予定だ。
「環日本海ツーリング」で戻ってくる境港は今から楽しみなのである。
境港からは国道431号で皆生温泉を通り米子へ。その途中では日吉津(ひえづ)温泉「うなばら荘」(入浴料450円)の湯に入った。湯につかりながらきれいな夕焼けを眺める。目の前を流れる日野川の川面は赤々と染まっていた。
米子からは国道9号を行く。
国道沿いの「おおさか食堂」で夕食。腹がへった…。サンマの焼き魚、ホルモン、玉子焼き、シラスをおかずにし丼飯の大盛をおかわりした。丼に入った豚汁もうまかった。
「いやー、満足、満足!」。
そのあとは睡魔と闘いながらの国道9号のナイトラン。
暗い日本海を見ながら走り、22時30分に鳥取に到着。鳥取駅南口の「東横イン」に泊まった。