第127回 歌枕の地
投稿日:2011年10月9日
2010年 林道日本一周・東北編
芭蕉と正宗の足跡を訪ねる
東鳴子温泉「初音旅館」の朝湯に入り、朝食を食べ、女将さんと若旦那の見送りを受けて出発。ビッグボーイを走らせ、国道47号で大崎市の中心の古川へ。
その途中では川渡温泉の共同浴場の湯に入ったあと、「奥の細道」ゆかりの「美豆の小島」と「小黒崎」に立ち寄った。「美豆の小島」は「みづの小島」のことで、「水の小島」と書かれることもある。ともに古来より知られた歌枕の地だ。
南部道遥かに見やりて、岩手の里に泊まる。小黒崎・みづの小島を過ぎて、鳴子の湯より尿前の関にかかりて、出羽の国に越えんとす。(後略)
と『おくのほそ道』にあるが、芭蕉は岩手の里(今の岩出山)を出発すると鳴子に向かっていく途中、「みづの小島」と「小黒崎」を見ている。芭蕉の見た順番は「小黒崎」→「みづの小島」になる。
「美豆の小島」はかつては荒雄川(江合川)中州の小島だったが、いまでは河原の小さな岩山といったところ。
「小黒崎」は旧鳴子町と旧岩出山町境のあたりで、そこには「小黒崎観光センター」がある。その前には芭蕉像が建っている。
「美豆の小島」と「小黒崎」に寄ったあと、岩出山の町に入っていく。ここは若き日の「独眼竜」こと伊達政宗の居城のあったところで、城山公園には政宗像が建っている。
城山公園から岩出山の町を見下ろしたところで、国指定の史跡・名勝になっている「有備館」を見学。入口には次のような案内が書かれている。
有備館は江戸時代に岩出山伊達家の家臣子弟の学問所となった建物で、伊達家当主が時折講義に臨む場所であった御改所(主屋)とその付属屋が現在までその姿を伝えています。有備館の建物(主屋)は、2代宗敏の隠居所として延宝5年(1677年)頃に建てられたとする説が有力です。その後、下屋敷、隠居所、学問所として使用されてきました。
庭園は正徳5年(1715年)頃、4代村泰の時代に整備されたと伝えられています。仙台藩茶道頭、石川流3代清水道竿の作庭です。岩出山城本丸の断崖を借景として池中に島を配した廻遊式池泉庭園で、中には300年以上の樹木があり、四季を通じた緑や花等で庭の変化を楽しむことができます」
有備館を見たあと庭園をぐるりとひとまわりしたが、東北でも一、二の名庭園で、人工とは思えない自然にひたることができる。樹齢300年のカヤの大木が空を突く。池には中島のほかに兜島、鶴ヶ島、亀子中島と全部で4つの島が浮かんでいる。存分に楽しめる有備館とその庭園だ。
岩出山から古川へ。
古川の中心街、七日町に着くと、ビッグボーイを停めた。
バス停のベンチに座り、「初音旅館」の女将さんが作ってくれた「おにぎり」を食べた。手の温もりが伝わってくるようなおにぎりのうまさ。ここ古川の七日町が女将さんの生まれ故郷なのだ。
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今回のエリア:昭文社ツーリングマップル東北 46,40