カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

環日本海ツーリング[120]

投稿日:2012年7月14日

狭量のナショナリズムは捨て去りましょうよ

「イースタンドリーム号」は日本海のピヨトール大帝湾を南下。ウラジオストクもルースキー島も遠くなった。
 ピヨトール大帝湾のルースキー島の南には点々と小島が点在しているが、すべてが無人島のようだ。
「イースタンドリーム号」の乗客の大半は韓国人で、そのほかロシア人がちらほら見られる。日本人は我々のほかには2、3人といった程度。韓国人はツアー客が多いようだ。
 甲板に日本海の地図を広げて見ていると、何人かの韓国人がやってきて激しい口調で何かいっている。
 ぼくはすぐにピンときた。
「わかった、わかった」
 という顔をして、「日本海」の下に「東海」と書いた。
 それを見て韓国人たちは納得の表情を浮かべて立ち去った。
 何という狭量のナショナリズム。
 韓国では日本海のことを東海といっている。日本から見たら西海ではないか。それを世界中で「日本海を東海にしろ!」と声高に叫びまわっている。韓国人は本気だが、我々の目から見たら何とも滑稽な話だ。
 このような例は世界中のあちこちにある。
 例えば「ペルシャ湾」はペルシャ人のいい方で、アラビア人は「アラビア湾」といっている。中朝国境の「白頭山」も、中国人は「長白山」といっている。韓国が中国に、「長白山を白頭山にしろ!」と抗議したというような話は聞いたことがない。
 日本海の呼称問題は、要は「日本」が気にくわないだけのことだ。
 長い日韓の歴史でいえば、韓国人にとって日本は蛮族の住むところぐらいでしか見ていなかった。こともあろうに100年前、そんな蛮族の国、日本に韓国は併合され、民族の誇りはズタズタにされてしまった。それが現在までズーッと尾を引いている。
 しかし今、韓国は世界でも有数の経済大国になった。
「もうそろそろ狭量のナショナリズムは捨て去りましょうよ」
 と、韓国人たちにいいたい。
 韓国では「日本海」を「東海」といっている、それでいいではないか。

ウラジオストクもルースキー島も遠くなった
ピヨトール大帝湾に浮かぶ島々


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