東北四端紀行[26]
投稿日:2017年3月16日
北端編 6 陸奥湾のシーサイドラン
下北半島南西端の北海岬を出発。行止りの集落、九艘泊から県道175号で脇野沢に戻る。その途中では、牛ノ首岬でスズキDR−Z400Sを停め、再度、鯛島を眺めた。
鯛島には坂上田村麻呂と村娘の悲恋伝説が伝わるといったが、それは今から1200年前のことだ。蝦夷征伐のために脇野沢にやってきた征夷大将軍の坂上田村麻呂は、村の娘と恋に落ちた。娘は身ごもったが、田村麻呂は娘を置き去りにして都に帰ってしまう。娘は田村麻呂を恋しがって泣きつづけ、田村麻呂の子を産むと、自らの命を絶った。村人たちは娘を不憫に思い、亡骸をすこしでも都に近づけようと鯛島に埋めたという。その後、鯛島の周辺では船の難破がつづき、娘の霊の祟りだといい伝えられている。
脇野沢からは国道338号を行く。交通量の少ない快適なシーサイドライン。川内まで来ると、県道46号で内陸の湯野川温泉へ。ここは古くからの湯治場。「濃々園」(入浴料350円)の湯に入ったが、内風呂も露天風呂もいい湯だ。
川内からむつ市の中心部へ。
下北半島の大半を占めるむつ市は2005年3月にむつ市と大畑町、川内町、脇野沢村が合併して今のむつ市になった。それ以前のむつ市はといえば、1959年に今のむつ市の中心部を成す大湊町と田名部町の2町が合併して誕生した。最初は大湊田名部市で、1年後には「むつ市」に変わった。
そんなむつ市の大湊に入っていく。JR大湊線の終点、大湊駅のある大湊は、旧日本海軍の軍港だった。現在も海上自衛隊の主要な基地になっている。町を見下ろす釜臥山(878m)の山頂には巨大なレーダーがある。大湊から町つづきの田名部に入り、田名部からは国道279号を南下して野辺地に向かった。
途中、横浜では道の駅「よこはま」で小休止。野辺地に近づいたところで陸奥湾を赤々と染めて夕日が落ちていく。国道279号沿いの「レストラン常夜灯」では名物の「ホタテ丼」(1000円)を食べた。野辺地からは国道4号で青森へ。青森駅前がゴール。駅近くのビジネスホテル「みちのく」で泊まった。青森からは、東北のもうひとつの北端の地、津軽半島に向かっていくのだ。