温泉めぐり日本一周[100日目]
投稿日:2018年5月8日
伊豆半島経由で四国へ
さー、四国編の開始だ。
「四国編」は3パートに分けてまわることにする。パート1が「東京→高松」の「四国往路編」、パート2が「高松→高松」の「四国一周編」、パート3が「高松→東京」の「四国復路編」。これらを3回に分けてまわるのではなく、1回で連続してまわることにする。
パート1の「東京→高松」は「黒潮ライン」といってもいいようなルートで、伊豆半島、紀伊半島の海岸線を行き、岡山県の宇野からフェリーで高松に渡るというもの。
パート2の「高松→高松」は時計回りでの「四国一周」だ。海岸線をメインルートにし、松山からは「断層ライン」の中央構造線に沿って四国を横断し、日本列島の「割れ目の湯」をめぐり高松に戻るというもの。
パート3の「高松→東京」は太平洋側をメインルートとし、紀伊半島、伊豆半島の2つの「温泉半島」では内陸部の温泉をめぐることにする。「和歌山→伊勢」の紀伊半島横断は四国横断と同じく「断層ライン」で日本列島を二分する中央構造線上の温泉をめぐり、天城峠越えの伊豆半島縦断は「火山ライン」で富士火山帯の温泉をめぐることとする。
2007年3月10日の午前7時、スズキのスクーター、SKYWAVE400に乗って、東京・日本橋に到着。昭文社の井沢さん、若林さん、大久保さん、デザイナーの大熊さんが見送りに来てくれた。「甲信編」の石和温泉で出会った「ヤキソバンさん」も、スズキDR−Z400Sに乗って駆けつけてくれ、「デコポン」の差し入れをしてくれた。
早朝の東京を走り出す。ぼくはあまりスクーターには乗ったことがないので、すぐに足を動かしてフートブレーキをかけようとする。
「あ、いけねえ、これはスクーターなんだ」
と、そのたびに自分にいい聞かせる。同じようにギアチェンジをしようとしたり、あるはずもないクラッチを握ろうとする。早くスクーターに慣れなくってはいけない。
東京の中心部を走り、霞ヶ関で首都高に入り東名へ。多摩川を渡って神奈川県に入る。東名の東京料金所までは昭文社の若林さんが同行してくれた。
若林さんと別れると東名で秦野中井ICへ。スカイウェイブ400での高速走行は楽。晴天の高速道を快適に飛ばした。高速性能抜群!
秦野中井ICから相模湾沿いの二宮へ。二宮の「サンクス」で朝食。おにぎりと「ヤキソバンさん」が差し入れてくれたデコポンを食べる。デコポンの濃厚な甘さが口の中いっぱいに広がる。
二宮で西湘バイパスに入り、日の光を浴びてキラキラときらめく相模湾を見ながら走る。真鶴道路(有料)経由で第1湯目の湯河原温泉に到着したのは10時。ここでは日帰り湯「こごめの湯」に入った。無色透明のツルツル湯につかりながら、また温泉めぐりの毎日がはじまったことを実感するのだった。
湯河原温泉からは国道135号で県境を越え静岡県に入る。
第2湯目の熱海温泉では大湯間歇泉の近くにある日帰り湯の「大湯」に入った。大浴場と露天風呂。ここは源泉掛け流しの湯。熱海から海岸沿いの国道135号を南下し、伊豆半島に入っていく。
第3湯目の多賀温泉では日帰り湯の「妙楽湯」に入った。内風呂と小さめな露天風呂はともに風情のある湯。湯から上がると昼食。「玄米餅」を食べた。「いそべ」と「納豆餅」の2種。玄米の餅なので濃い茶色をしているが、白米の餅にはないような味の深さを感じた。
昼食を食べ終わって外に出たところでカソリ、青くなる。
「しまったー!」
スカイウェイブのスイッチをオンにしたまま「妙楽湯」に入ってしまい、バッテリーは完全に上がっている。もうウンともスンともいわない。バイクだと押しがけすればエンジンをかけられるが、スクーターだとそうはいかない。
「妙楽湯」は高台にある。とりあえず坂を下って国道135号に出ることにした。海辺の国道まではなんとか下れた。問題はそこからだ。ガソリンスタンドまで押していくことにした。わずかな登り坂が猛烈にきつい。全身の力をこめて押し上げる。
その途中にダイハツの販売店「鈴木モータース」があった。ありがたいことに、店のご主人はみてくれるという。ところが肝腎のバッテリーがどこにあるのかわからない。バイクだと普通、シートの下あたりにあるバッテリーが見当たらない。
すぐさま、さきほど東名の東京料金所で別れた昭文社の若林さんに電話する。若林さんは昭文社のバイク担当班のキャップ。若林さんのおかげで、バッテリーはハンドル下のボックスの奥にあることが判明。すぐさまエンジンをかけてもらった。今日は土曜日。「鈴木モータース」は本来は休みだということだが、新車の納入があって店を開けていた。何ともラッキーなことだった。
国道135号を南下。東伊豆の温泉をめぐる。
第4湯目は網代温泉の温泉旅館「松風苑」。大浴場と露天風呂の湯に入る。庭園のきれいな宿だ。
第5湯目は宇佐美温泉の温泉民宿「おっとと村」。屋根つきのサッシのはめ込まれた露天風呂からは宇佐美湾を一望。ここは源泉が62度という高温湯。
第6湯目は東伊豆では最大の温泉地、伊東温泉。ここでは「東海館」の湯に入った。木造3階建ての建物。総タイル張りの浴室は古き良き時代を感じさせる。「東海館」は平成9年に70年つづいた温泉宿としての歴史に幕を下ろし、その後は日帰り湯になっている。ここはすばらしい木造建築なので、見学者があとをたたない。温泉に入りに来る人たちよりも、建物を見学する人たちの方が多い。資料室にはかつての伊東温泉と「東海館」の写真が展示されているが、目の前を流れる松川はもっと川幅が広く、川で釣りをする人たちの姿が何人も写っていた。
伊東からさらに国道135号を南下する。
第7湯目は伊豆高原温泉の日帰り湯「高原の湯」。大浴場は湯気でもうもう。露天風呂は気持ちよく入れる。階段状に3つの湯船。樹林に囲まれた露天風呂だ。
第8湯目は赤沢温泉。ここでは海岸の無料湯の混浴露天風呂に入った。脱衣所はない。無色透明の湯につかりながら伊豆諸島の島々を眺めた。左手に伊豆大島、正面に利島、右手に新島が見えている。
第9湯目は大川温泉。小さな大川漁港に隣り合った日帰り湯の露天風呂「磯の湯」に入る。湯につかりながら目の前の暮れなずむ海を見る。
第10湯目は北川温泉の混浴露天風呂「黒根岩風呂」。ここからは正面に伊豆大島を眺める。黒々とした姿を水平線上に横たえる伊豆大島だが、ポツンポツンと灯りはじめた町明かりが見える。つづいて熱川温泉の日帰り湯「高磯の湯」に行ったが、すでに営業時間を終えていた。残念…。
第11湯目の稲取温泉では、まずは伊豆急伊豆稲取駅前の「海鮮茶屋一丁」で夕食。「アジちらし丼」を食べた。さすが魚のうまい稲取。アジの鮮度は文句なし。それがすし飯の丼にのっている。アジのちらしずしには「海鮮汁」がついている。金目のあら汁。これがまた美味だった。
「アジちらし丼」に大満足して温泉銭湯の「都湯」へ。ところが番台には誰もいない。中にいる人に、「かまわないから、そのまま入って大丈夫だよ。出るときにお金を払えばいいから」といわれ、その通りにした。
湯につかっていると、ここの主人がやってきた。なんと96歳の方。とても90を過ぎているとは思えないほど元気で、肌には張りがあり、つやつやしている。これは間違いなく温泉効果。一緒に湯につかり、しばらくは「湯の中談義」。
「知り合いが次々に亡くなって…。この年まで生きているのはもう私だけですよ。長生きするのはいいことなのか、悪いことなのか…」。
「いいことですよ〜!」とカソリ。
「都湯」のご主人とは湯の中で何度も握手をかわし、「また、いらっしゃいよ」の言葉に送られて湯から出た。いつまでもポカポカ感の残る湯。96歳の「都湯」のご主人との「湯の中談義」もあったので、ポカポカ感はさらに増した。
すごくいい気分でスカイウェイブ400に乗り、夜の国道135号を走り、下田駅前に到着したのは21時。下田駅に近い下田温泉の国民宿舎「ニュー下田」に泊った。
7時 | 日本橋を出発 |
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「四国編」を開始 | |
「若林さん」が東名の東京料金所まで同行してくれる | |
朝食 | 二宮の「サンクス」 「おにぎり&デコポン」 |
901湯目 | 湯河原温泉「こごめの湯」(1000円) |
奥湯河原温泉 入れず | |
伊豆山温泉 入れず | |
902湯目 | 熱海温泉「大湯」(1000円) |
903湯目 | 多賀温泉「妙楽湯」(1000円) |
昼食 | 多賀温泉「妙楽湯」 「玄米餅」(800円) |
904湯目 | 網代温泉「松風苑」(1000円) |
905湯目 | 宇佐美温泉「おっとと村」(500円) |
906湯目 | 伊東温泉「東海館」(500円) |
907湯目 | 伊豆高原温泉「高原の湯」(900円) |
908湯目 | 赤沢温泉・海浜混浴露天風呂(無料湯) |
909湯目 | 大川温泉「磯の湯」(500円) |
910湯目 | 北川温泉「黒根岩風呂」(600円) |
熱川温泉 入れず | |
夕食 | 稲取駅前の「海鮮茶屋一丁」 「アジのちらし丼」(1050円) |
911湯目 | 稲取温泉「都湯」(340円) |
21時 | 下田温泉「ニュー下田」(1泊朝食6955円) |
912湯目 | 下田温泉「ニュー下田」 |
本日の走行距離数 208キロ | |
本日の温泉入浴数 12湯 |
東京・日本橋を出発。「四国編」の開始! | 日本橋には「ヤキソバンさん」が見送りにきてくれた | 朝食は二宮の「サンクス」で。「おにぎり&デコポン」を食べる |
湯河原温泉「こごめの湯」 | 湯川原から見る相模湾。初島が見える | 伊豆山温泉の「走湯温泉跡」 |
熱海温泉を見る | 熱海温泉「大湯」 | 熱海温泉「大湯」の浴室 |
多賀温泉「妙楽湯」 | 「妙楽湯」に入る | 「妙楽湯」の「玄米餅」(いそべ) |
「妙楽湯」の「玄米餅」(納豆餅) | 網代温泉「松風苑」の湯 | 宇佐美温泉「おっとと村」の湯 |
「おっとと村」から見下ろす宇佐美湾 | 伊東温泉にやってきた | 伊東温泉「東海館」 |
「東海館」の雛飾り | 「東海館」の椿の花 | 伊豆高原温泉「高原の湯」 |
大川漁港 | 大川温泉「磯の湯」 | 稲取駅前の「海鮮茶屋一丁」で夕食。「アジのちらし丼」を食べる |
これが「アジのちらし丼」 | 稲取温泉「都湯」 |