カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

ジクサー150分割日本一周[15]

投稿日:2020年5月27日

中国一周編 5(2017年3月3日)

備中の一宮「吉備津神社」

ここが備前と備中の国境。細谷川に両国橋がかかっている

ここが備前と備中の国境。細谷川に両国橋がかかっている

「吉備の中山」から流れてくる細谷川。この川が備前と備中を分けている

「吉備の中山」から流れてくる細谷川。この川が備前と備中を分けている

 備前の一宮、吉備津彦神社の参拝を終えると、備中の一宮の吉備津神社に向かう。その間は1・6キロ。その中間地点が備前と備中の国境だ。「吉備の中山」から流れ出る細谷川が境で、両国橋がかかっている。

 ジクサー150で両備(備前・備中)国境を越えたのだが、よっぽど注意していないと、細谷川も両国橋も気がつかないまま通り過ぎてしまう。

 このように備前と備中の国境というのは、何ともわかりにくい。日本でも、たどるのが一番難しい国境といってもいいほどだ。

 ということで『ツーリングマップル中国・四国』で備前・備中の国境線を追ってみた。

 中国道の北房JCTの近くに、県道332号の三飛峠がある。この三飛峠は備前・備中・美作の3国国境の峠で、吉備中央町と高梁市、真庭市が接している。吉備中央町が備前、高梁市が備中、真庭市が美作になる。

 備前と備中の国境線はここから南へ。吉備中央町と高梁市の境が国境で、笹目峠を通って大平山へ。ここまではわかりやすい。大平山からは吉備中央町を分断するように黒嶽へとつづく。この間はたどるのが難しい。というのは吉備中央町というのは、備前の加茂川町と備中の賀陽町が国境をまたいで合併した町だからだ。

 黒嶽からは国道429号の千升峠を通って鼓山へ。この間は吉備中央町と岡山市の境なのでわかりやすい。

 鼓山からは本陣山を通って県道71号の勝尾峠へ。この間は岡山市になるが、まあまあわかりやすい。というのは元の岡山市と、岡山市に合併した旧御津町との境だからだ。

 県道71号の勝尾峠から南の岡山市内はお手上げだ。岡山市内を流れる阿部倉川→砂川がそうなのかなと推測する。そして備前の一宮の吉備津彦神社と、備中の一宮の吉備津神社の間を通って、「吉備の中山」を越える。JR山陽本線の庭瀬駅、JR宇野線の備中箕島駅の近くを通り、倉敷市を横切って瀬戸内海に抜けていく。

 JRの駅名は国境線を見るときの絶好の目印になる。旧国名をつけた駅名が多いからだ。備中箕島駅といえば「ここは備中ですよ」といっているようなものだ。

 備中の一宮の吉備津神社に到着。国道180号だと、吉備津神社前の交差点からわずかに南に入ったところにある。近くにはJR吉備線の吉備津駅がある。

 さー、吉備津神社の参拝だ。ここは古くは備前、備中、備後を併せた「三備」の一宮といわれた。備前の一宮の吉備津彦神社、備後の一宮の吉備津神社は、ともに備中の一宮、吉備津神社の分社だともいわれている。祭神は吉備津彦命。

『日本書紀』によると、崇神天皇は大彦命を北陸道に、武淳川別命を東海道に、丹波道主命を丹波に、吉備津彦命を吉備に派遣した。いわゆる「四道将軍」。吉備津彦は吉備を平定したあとも吉備に留まり、その結果、吉備の豪族の吉備氏は大和朝廷と密接な関係を築くようになる。

 吉備津神社の本殿は国宝だ。拝殿と一体になっているが、2つの入母屋造が並行して並んだ様式の比翼入母屋造。その2つの棟を直角に連ねる棟に拝殿が突き出している。和洋天竺様の折衷様式で、「吉備造」といわれている。

 吉備津神社といえば御釜殿でおこなわれる「鳴釜神事」でよく知られている。湯をグラグラ沸かした釜鳴の音の大小長短で吉凶禍福を占うのだ。

備中の一宮、吉備津神社に到着吉備津神社の参道吉備津神社の北随神門

備中の一宮、吉備津神社に到着 吉備津神社の参道 吉備津神社の北随神門

吉備津神社を参拝吉備津神社の本殿

吉備津神社を参拝 吉備津神社の本殿

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