ジクサー150分割日本一周[34]
投稿日:2020年7月2日
「国引伝説」
境港(鳥取県)を出港した隠岐汽船の「フェリーしらしま」は、鳥取・島根県境(伯耆・出雲国境)の境水道を行く。進行方向の右手には境港の町並みが見える。境港の赤白2色の灯台も見える。平坦地の灯台だ。境港側はどこまでも平坦だ。
進行方向の左側には島根半島の山並みが切れることなくつづいている。右と左ではまったく違う風景だ。
境水道にかかる国道431号の境水道大橋の下をくぐり抜けていく。境水道大橋は伯耆と出雲をつなぐ両国橋だ。
「フェリーしらしま」はさらに境水道を進み、水道の出口を通って美保湾に出る。境水道は中海と美保湾を結ぶ水道で、その名の通り、伯耆と出雲の境になっている。
島根半島の美保関の町並みがよく見える。日本と朝鮮半島の交易で栄えていた古くからの港町。美保神社の鳥居前町だ。
美保関を過ぎると、島根半島東端の地蔵崎。地蔵崎は古来「美保之碕」と言われてきた。岬の突端には美保関灯台がある。
島根半島西端の日御碕のところでは、出雲神話の「国引伝説」にふれた。
それによると日御碕は、朝鮮半島から引っ張られたことになっている。出雲・石見国境の三瓶山に綱を掛けて引っ張り、その綱の跡が園の長浜だという。
島根半島は隠岐やロシアの沿海州辺りから引っ張られてきたことになっている。
島根半島西端の日御碕に対して、東端の地蔵崎は出雲神話の「国引伝説」では、能登半島から引っ張られてきたことになっている。海越しに見る大山に綱を掛けて引っ張った。皆生温泉から境港にかけて弓なりに延びる海岸線の弓ヶ浜は、その綱の跡なのだという。
船上からその地形を見ると、
「う〜ん、なるほど!」
と、思わされてしまう。
島根県の地図を見ると、島根半島がじつに奇妙な形をしていることがよくわかる。どこからか無理やり引っ張られてきて、強力な接着剤かなにかで、出雲平野、宍道湖、中海の北側に強引にくっつけられたような形をしている。本来ならば出雲平野から宍道湖、中海、境水道への線が日本海の海岸線になっていておかしくないような地形をしている。
出雲大社も松江城のある松江の中心街もこの線よりも北になる。この奇妙な形をした島根半島こそ出雲神話の古里だ。