ジクサー150分割日本一周[69]
投稿日:2020年8月20日
対馬第一の大社「和多都美神社」
厳原を出発。国道382号を北へと走り、対馬を上島(北島)と下島(南島)に分ける万関瀬戸を渡る。上島が上対馬、下島が下対馬になる。万関瀬戸には万関橋がかかっているが、この橋は対馬を南北に分ける大きな境目になっている。
上対馬に入る。東海岸を走る県道39号との分岐を過ぎたところで、国道382号を左折し、和多都美神社に行く。
和多都美神社の鳥居は海に立っている。
和多都美神社の祭神は彦火々出見(ひこほほでみ)尊と豊玉姫(とよたまひめ)命。彦火々出見尊は「山幸海幸」神話の山幸彦だ。
「山幸海幸神話」は次のようなものだ。
しかし山幸は、まったく魚を釣れなかった。それどころか兄の大事にしていた釣針を失くしてしまう。海幸も弓で鳥や獣をとることはできなかった。
そこで兄の海幸は「釣針を返してくれ」と山幸に言った。山幸は困り果て、「針を千本あげるからかんべんしてほしい」と頼んだ。しかし海幸は「ダメ、ダメ。元の釣針を返せ」というばかり。
山幸は釣針を探しに出かけた。海辺を歩いていると塩椎(しおつち)神に、「もしもし。釣針をお探しなら、この舟に乗っていらっしゃい」といわれた。竹籠の舟に揺られ、海神の宮殿の竜宮城に行った。
そこでは海神に大歓迎され、娘の豊玉姫と出会い、2人は結婚した。
竜宮城で楽しく暮らすうちに3年の月日が流れ、山幸は地上に帰らなくてはならなくなった。豊玉姫は山幸の失くした釣針を探してくれた。さらに、「危ない時には、お使いください」といって、山幸に青と赤の2つの玉を手渡した。
山幸は地上に戻り、海幸に釣針を返した。しかし海幸は、「出ていけ」と激しく怒り、剣を抜いて追いかけてきた。山幸は「危ない!」と叫んで、青い玉を投げた。すると海は荒れ、大波が押し寄せ、海幸は溺れかかった。そこで赤い玉を投げると、波は静まり、海は穏やかになった。海幸は「悪かった、許してくれ」と謝った。
海幸を懲らしめた山幸は、海幸に忠誠を誓わせるのだった。
その後、豊玉姫は子供を産んだ。その子が鵜茅草葺不合(うがやふきあえず)尊で、神武天皇の父。彦火々出見尊は神武天皇の祖父になる。
和多都美神社は対馬第一の大社として知られているが、この日本神話の「山幸海幸」はここから生まれたものだという。本殿の後方に夫婦岩があるが、その手前の壇は豊玉姫の墳墓(御陵)だという。
和多都美神社の参拝を終えると、境内に止まっている移動販売車でコーヒーを飲み、次に対馬国の一宮の海神神社に向かった。