カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第14回 イタツゴ奥千丈林道

投稿日:2011年1月4日

2010年 林道日本一周・西日本編

紀伊半島を代表するロングダートも全線舗装

 野迫川温泉から第3本目のイタツゴ奥千丈林道に入っていく。林道入口から0・4キロ地点でダートに突入。ワクワクした気分でスズキDR-Z400Sのアクセルを開き、稜線に向かって一気に登っていく。高度を上げるにつれて展望が開け、紀伊半島の山々を眺めた。ダート距離は6・8キロと短かかったが、本格派林道を走ったという満足感があった。
 イタツゴ奥千丈林道を走りきると、奥千丈林道にぶつかる。
 第4本目の奥千丈林道はかつては紀伊半島を代表するロングダート。まだダートが2、3キロは残っているのではないかと淡い期待をいだいたが、残念無念…、全線が舗装化されていた。たとえ1キロでもダートが残っていると、すごく救われたような気分になるのだが。
 舗装林道の奥千丈林道から高野龍神スカイライン(国道371号)に入り、2キロほどで大展望が楽しめる「ごまさんスカイタワー」に到着。今回はタワーは素通りし、その脇から第5本目の猪笹林道のダートに突入。奈良・和歌山県境の護摩壇山(ごまだんざん 1382m)の山頂直下を走り抜けていく。
 護摩壇山は和歌山県の最高峰になっている。
 猪笹林道の入口にゲートがなかったので、
「おー、走れるぞ!」
 と喜んだのもつかのま、1・5キロ地点にゲート。残念ながらそこで折り返した。
 ほんとうは猪笹林道→猪笹今西林道とつないで走りたかった。
 2003年の「紀伊半島林道走破行」では猪笹今西林道が、一番印象に残った。
 猪笹今西林道は15・6キロのダート。幾重にも重なり合った山々を眺めながら奈良・十津川村の稜線上を走った。迫力満点のダート林道なのだ。
 すぐ下は目のくらむような深い谷。コーナーでは飛び出しそうになり、
「あー、ヤバイ!」
 と、ヒヤッとしたシーンがあった。そんなヒヤヒヤドキドキが林道ツーリングの大きな魅力になっている。

貸し切り状態で龍神温泉の美人の湯に

 猪笹今西林道の最後は幅広の舗装林道、川津今西林道とのT字。そこを右折し、今西の集落へと下っていったのだ。それが7年前の猪笹今西林道だった。
 猪笹林道のゲートから「ごまさんスカイタワー」に戻ると、高野龍神スカイラインで龍神温泉へ。ここは群馬県の川中温泉、島根県の湯ノ川温泉と並ぶ「日本三美人の湯」。
「龍神温泉元湯」(入浴料700円)に入る。大浴場の檜風呂と岩風呂、そして露天風呂に入る。露天風呂はよかった。目の中まで染まりそうな新緑を眺めながら湯につかった。湯口からは勢いよく湯が流れ出ている「龍神温泉元湯」は湯量豊富。さすが「日本三美人の湯」だけあって、ツルツル湯につかっていると肌がスベスベしてくる。ほかには入浴客もなく貸切湯状態なので、湯船の中では思いっきり手足を伸ばして湯につかった。
「うーん、たまらん!」
 龍神温泉の湯から上がると、さっぱりすっきりした気分で狭路の国道425号を走る。地元では「酷道425号」と呼んでいるほどの難路。対向車に注意しながら渓流沿いの道を突っ走り、猪笹林道の南側出口を過ぎると、一気に峠へと登っていく。
 和歌山・奈良県境の峠、牛廻越(うしまわしごえ)に到達。牛廻越は標高810メートル。牛廻山(1206m)北側の峠だ。
「牛廻」の意味を知りたいところだが、馬では越えられず、牛でも越えるのが大変といったニュアンスが伝わってくる。牛廻山南側の峠は県道735号の引牛越だ。
 牛廻越を越えて奈良県に入り、十津川温泉へ。ここはパスして紀伊半島縦貫の国道168号を南下。奈良県から和歌山県に入っていった。

フォトアルバム

イタツゴ奥千丈林道のダートに突入!
一気に高度を上げていく


イタツゴ奥千丈林道からの眺め
舗装林道の奥千丈林道に出る


中央に「ごまさんスカイタワー」、左手に護摩壇山を見る
高野龍神スカイライン


猪笹林道のダートに突入!
猪笹林道のゲート


龍神温泉の「日本三美人の湯」のプレート
「龍神温泉元湯」


「龍神温泉元湯」の檜風呂
「龍神温泉元湯」の露天風呂


「龍神温泉元湯」の湯口
国道425号を行く


和歌山・奈良県境の牛廻越
国道168号で和歌山へ


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